第3章 魔界 42話 死
少し短いですが、ご了承ください
五年間のときを埋めるかの如く抱きしめていたガレオは、感情が収まってきたと同時にあることに気づき始めた。
これは奇跡で治ったわけではないーーということだ。
この難病は魔界屈指の医師や四天王、魔王ですら訳のわからない病気であった。それがただ奇跡で治ったということはふざけた話である。
なら、答えは一つである。
「誰かが治したのか.......」
誰かがこの難病を治したーーそう、ダレオは認識し始めた。
ガレオが熟睡している数時間の間でガーミルを治してしまった人物。そんな神業が出来るのはたった一人しかいないとガレオは思った。
「ゼン、お前なのか」
魔族と相対している種族でありながら、厳しい環境をともにした戦友ともいえる存在。
「お前ってやつは.......っ!」
「あ、あなた?」
ガレオは涙が止まらなかった。自分の大事な同胞、まして愛する妻までも救ってくれた友達に感謝しかなかった。
「ガーミル、少し出てくる」
涙を必死に拭きながらガレオは言った。感謝を伝えなければならないーーその衝動にすごく駆られた。
「何かあるのね、気をつけてね」
まだ弱弱しい声でありながら、夫の意志を尊重するその心構えは四天王の妻らしいものであった。
「あぁ、すぐ戻ってくる」
唇に軽く触れる程度のキスをし、ガレオは家を後にした。
◇◇◇◇
「はぁ、はぁ、はぁ」
ガレオは自身のもつ力を最大限に使って駆け出した。
「どうして見つからない!」
魔界を探しに探してもゼンの姿は見当たらなかった。
もう、数時間が経過しようとしていた。なのに、ゼンの姿は一向に見当たらなかった。
「ありえない、ここまで見つからないなんて.......」
しかし、まだガレオには探していない場所があった。今まで探していたのは魔界の『上界』である住民居住区であった。
そう、『下界』はまだ探していなかった。
『下界』には、常人から見れば信じられないほどの強さを誇るモンスターがうじゃうじゃといる区である。
「まさか!!」
ガレオはまたしても自身の持つ全力の早さで駆け出した。
「頼む、ゼン!!」
最悪のケースがないことを祈りながら、ある場所を目指した。
そして..........
「う..そ、、だろ」
ゼンは無残な姿となって息を引き取っていた。
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