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四人娘

これほど何日も高評価を頂けてとても嬉しいです!!これからもどうかよろしくお願いします

m(__)m

 さっきログアウトしたモンスターギルドの目の前に出現する。早速コールをかけることにしよう。待たせてしまっているしモンスター達の武器は後でいいかな。



「おーい、こっちは今ログインしたところだ。どこにいる?」


『あ、来た?私たちも今始まりの街に来たの。今はポータルのところにいるよ』


「そうか、じゃあ今からそっち行くわ」


『お願い』



 来た道を戻ってポータルのところに行く。そこには灯と、あまり顔に違和感を感じさせない三人の女性プレイヤーがいた。

 この人達が灯の友達とやらなのだろう。



「おい灯、待たせたな」


『あ、お兄ちゃん。大丈夫だよ、今来たとこだったし。皆、これが私のお兄ちゃんだよ』


「どうも。セスっていう。今日はよろしく」


「こちらこそよろしくお願いします。私はエミリアといいます。ジョブはメイジです」


「ボクはリサ、ジョブはレンジャーだよ。今日はよろしく」


「私はミイだにゃ。ジョブはアサシンだにゃ。よろしくお願いするにゃ」



 三人が挨拶をしてくる。


 エミリアは肩まで届く金髪で身長は170cmくらい。肩にかけるタイプのローブを着ていてしっかり者とした印象を受ける。

 リサは緑色のショートカットでどこかボーイッシュな感じだ。皮鎧を着ていて背中には弓を背負い、腰にはナイフを差している。

 ミイは三人の中では一番身長が低くて幼い感じを受ける、黒い布装備を身に着けた子だ。こちらは肩に届くか届かないかという長さの黒色の髪だった。ていうかなんでこの子は語尾に「にゃ」をつけるのだろうか。



「あ、ミイの語尾はスルーして下さい。この子、中二病なんです」


「あ、そうか。なるほどね」


「ニャー!中二病じゃないにゃ!RP(ロールプレイ)だって何回言えばわかるにゃ!」


「でもジョブでアサシンを選んだり狩りの時意味もなく『死ね!闇の者よ!』とか言うあたり明らかに中二病だよね」


「そうそう。いいかげん認めちゃいなよ」


「ニャー!だから違うって言ってるにゃー!あれはただ興奮しただけだっていてるでしょー!」


「あ、ボロが出たわね」



 あははー。と灯も混ざって姦しい会話を続ける四人。四人ともかわいいし見ていて飽きない。灯もよさげな友達と一緒にいるようで安心した。



「あ、すいません。セスさんをお待たせしてしまって」


「いやいや、眼福もんだったからいいさ。そろそろ行こうか?」


「ええ、お願いします」



 エミリアはどうやらこのパーティーの中でリーダー的な役割のようだ。



 このゲームではパーティーの上限数は四人なので灯以外とまずはパーティーを組んでポータルでエレガティスに跳ぶ。その後俺は始まりの街に戻って灯を連れてもう一度エレガティスに跳ぶ。

 


 連れてこられた四人は新しい街に興奮気味なようできゃあきゃあいいながらあちこちを見て回っている。

 ひとしきり見て回った後俺たちはメシ屋により一息つくことにした。



「いやーお兄ちゃんありがとう。βの時と街の様子が結構違くなってたから驚きっぱなしだったよ」


「そうそう。問屋とかこの食堂とか初めて見たよ」


「そうだにゃ。これの情報を売れば大儲けだにゃ」


「こら。セスさんも同じことをするんでしょうから自重しなさい」


「いや、俺はこの先のフィールドのアイテムは売るけどボスの情報やこの街の情報は売らないことにしたから大丈夫だぞ」


「ええっ!でも…いいんですか?」


「いいんだよ。ギルド作るんだろ?その足しにするといい」


「エミちゃん。お兄ちゃんもこう言ってるし甘えさせてもらおうよ」


「そう…じゃあお返しとしてこの先役に立たないとね」


「そうだね。じゃあお兄さんのために稼ぐとしようか」


「一杯稼ぐにゃ!」


「おいおいそんなに気張らなくてもいいんだぞ。それじゃあ行くか。俺は別パーティーでいいぞ」


「お兄ちゃん、いいの?」


「ああ。パーティーで戦ったのって初日だけだしな。今日はどんなもんか見させてもらうさ。それに経験値に関しては十分な策があるしな」


「そういえばいい経験値稼ぎの方法見つけたって言ってたもんね」


「この先でそれが使えるかはわからないけどな。とりあえずシュラーの森では通用するやり方だと言っておくさ」


「ちなみにお兄さんはレベルっていくつくらいなんだい?」


「12だ」


「「「12ぃ!?」」」


「ど…どうしたんだよ」


「どうしたもこうしたもどうやったらレベル12であの森を突破できるんですか!」


「それにボスまで倒したって……取り巻きですらプレイヤーと同じレベルなのに…」


「信じられないにゃー……」


「倒した時は10だったけどな。それに俺のジョブを聞いたらもっと驚くぞ」


「なんなんですか?」


「サモナーだ。今はサモンマスターだけどな」


「「「サモナー!?」」」


「だからサモンマスターだってば」


「サモナーなんて地雷職で一体どうやって戦えるんですか!?あんな扱いにくいジョブなのに!」


「攻略サイト見なかったの!?一体どうやって戦ってるのさ!」


「もうホント…驚きつかれた…」


「まあまあ皆。お兄ちゃんがおかしいのはジョブだけじゃないから」


「灯、お前のそれはフォローになってない」


「あれ?」



 とにかくその場の混乱を納め、フィールドに向かう。フィールドに出る際に『古代遺跡の密林へ出ますか?』というシステムメッセージが出た。これから行く先はどうやら密林らしい。



「古代遺跡の密林……聞いたことないね。βの時は『マグドリアン湖』っていう湖の淵を進んでいくフィールドだったのに」


「エレガティスの変更点といい、いよいよおかしくなってきたね」


「もしかしたら南側は大幅な改変がなされたのかもしれないわね」


「だな。もしかしたら南側だけでもテスターの影響を受けないようにして新規参入者が成り上がるチャンスを作ろうとしたのかもな」


「にゃー。情報が売れること間違いなしだにゃ」



 なんて会話をしながらフィールドに出る。出るとそこは未開の密林という感じで奥にはでっかい遺跡のような石造りの建物が建っていた。あの遺跡を目指せばいいんだろうか。



「どうやらあの遺跡を目指せばいいようですね。あっちに向かいましょうか」


「でもこの密林は歩きにくいし視界が悪いにゃ」


「ここはレンジャーの僕の出番かな?索敵は任せておいてよ」


「俺もいけるな。半径10メートルならモンスターもプレイヤーも地形も分かる」


「え、お兄ちゃんって索敵系のスキル買ったの?」


「いや、グレイウルフリーダーを倒した時のボーナスのこのメガネがそういう効果なんだ」


「いいなー。ちょっとかけさせてもらってもいいかな?」


「いいぞ。レンジャーからそれが使えるかどうか意見を聞かせてくれ」



 リサがかけてみたいと言ってきたのでメガネを渡す。本職の人間からの意見を聞けるいい機会だ。



 リサがメガネをかけたとたん「すごい!こんなにはっきりわかるなんて!」と驚いていた。そんなにすごいのか?



「お兄さん、これすごいよ。索敵距離で言えばボクもこれくらいだけどプレイヤーも確認できるしその詳細も分かる。おまけに地形も分かってそれがマップに反映される。これ、本当にすごいアイテムだよ!」


「リサの索敵だとできないのか?」


「うん。せいぜいがモンスターが範囲内のどこに何匹いるかだね。プレイヤーも発見できないし地形の把握なんてなおのことムリだよ」


「そっか。いいもの手に入れたらしいな」


「ううー。ボクも欲しかった…」


「悪いがやれんぞ。その代り今日の狩りで一気に稼ごう」


「そうだね。そうすることにするよ」



 結局索敵は俺が主に担うことになり歩を進める。しばらくすると10メートル先にモンスターが二匹近づいてきた。確認してみるとポイズンアゲハでレベルは両方とも22。皆に敵が来たことを知らせる。



「まずは私たちから行きますね。アカ、前衛お願い」


「わかってるよ。リサちゃん、先制攻撃はまかせたよ」


「わかったよ。…来るね」



 目の前に現れたのは羽が毒々しい紫色のアゲハチョウだった。バサバサと羽が振るわれるたびに鱗粉が落ちてくるのが分かる。



「気持ち悪いね。さっそく落ちてもらおうかな」



 リサが持っていた弓を引き絞り、「ファイアアロー!」と叫びながら打った。弓は右のポイズンアゲハの羽に当たり、その羽が燃えた。バランスを崩し、徐々に地上に落ちていく。



「よし来た!落ちたのは任せて。ミイちゃん、ガードお願い」


「任せるにゃ!」



 落ちてきたポイズンアゲハにものすごいスピードで向かっていき、連続攻撃をしかける灯。時折アゲハも反撃しようとするもそのたびにミイが攻撃をしてその手を止めさせる。このままでは何もできずにアゲハはHPが0になるだろう。



 飛んでいるもう一匹はどうかと見てみると今度はエミリアが「ファイアランス!」と魔法を唱え、これもまたアゲハの羽に当たり墜落させる。落ちたらリサが短剣を手に果敢に切りつけ、エミリアが次々と魔法を撃っていく。



 その後すぐに二匹の哀れなアゲハたちはほとんど何もできずにHPを0にさせられ消滅した。四人の連携がよく取れたいいパーティーだと思う。



「すごいじゃないか。相手にほとんど何もさせなかったな」


「未知のフィールドだからかなり本気でやったけど大丈夫だったみたい。この分ならいけそうかな?」


「ええ。けどさっきのペースだとすぐにMPが尽きてしまうわ。リサ、悪いけど次からは弓でお願いね」


「いいけどボクも矢がそのうち持たなくなるからね?」


「じゃあ私とミイちゃんが前で頑張ればいいんだね!」


「にゃあ、頑張るにゃ!」


「そんなアバウトでいいのかよ。じゃあ次は俺がいくな」


「わかりました。危なくなったらいつでも言ってください」


「そうならないように頑張るかな」



 しばらく歩いていくとまたモンスターが現れた。今度はレベル24のダッシュスネークという蛇のモンスターが三体出た。

 エミリアたちが手伝うと言ってくれたがとりあえず自分でやってみると言って待ってもらう。それにしてもつくづく自分よりもレベルが高いやつと戦うな、俺って。



「いくぞ。サモンヒートゴーレム!サモンリザードマン!サモンリッチ!そしてステータスサモン!」


「ゴゴゴー!」


「フシュー!」


「ガガガガ!」



 リザードマンは緑色で、トカゲを大きくして後ろ足で立っているようなよくイメージ画で見かけるあのスタイルだった。右手には槍を、左手には盾を持っている。目元は鋭く、ただのトカゲにしては口が大きく、歯も鋭い気がする



 ステータスサモンは使えば全体に効く魔法なので一度だけ使うだけでいい。後ろで灯たちが「ええっ!?」と驚いているがとりあえずムシして戦闘を開始する。



「シャ―――!」



 ダッシュスネークの一匹がゴーレムに向かって突進してくる。蛇なのに突進なんてしてくるなよ。しかもゴーレム相手に突進攻撃とか意味ないぞ。



「ゴゴゴー!」


「シャア!?」



 突進してきたダッシュスネークはその固さの前に逆に弾かれてしまった。



「ゴーレム!火であぶりながらそいつを掴んで叩きつけろ!スキがあればあいつらにぶつけるのも忘れるな!」


「リッチ!ウォーターウェーブをあいつらにぶつけろ!リザードマンはリッチの護衛だ!ただしお前もスキがあれば攻撃に参加しろ!」


「ゴゴゴー!」


「ガガガガ!」


「フシュー!」



 リッチの攻撃は手に入れた後移動中に確認した。ウォーターウェーブは一般的に使われている範囲攻撃の一種で、前方に津波のようなものを起こして攻撃できる。

 すると残りのスネークたちに高さ四メートルほどの津波が押し寄せる。二匹とも「フシャア!?」と呻いていた。



 そのスキにゴーレムが腕輪の火でスネークをあぶりながら鞭のようにして二匹に向かって叩きつける。さらにリザードマンもファイアを使いダメージを与えるのに一役買う。

 ゴーレムが持っているスネークはもうHPが半分になっている。残りの二匹も今までの攻撃でHPが三分の一は減った。



 あの爆発技はここでどの程度使えるのかと思い立ち、リッチに二匹のスネークに対して泥沼を発動させた。

 泥沼は拘束技で、フィールドを一時的に泥沼にして動きを封じるというものだった。拘束と違うのは一気に広範囲を泥沼にすることができるので狙いをつけなくていい。

 本来なら発動に少しだけ時間がかかるが、サモンモンスターの魔法攻撃はサモンモンスター自身のINTの値で威力や効果時間、準備時間が変わるのでリッチのINTの高さも相まってほとんどタイムラグなく発動する。



「よし、ちゃんとかかったな。じゃあリッチとリザードマンは下がってろ。ゴーレムは悪いがそのままで頼む。あとでちゃんと回復するから」


「ゴゴゴー!」



 気にするなというようにゴーレムが返事をしてくれる。やっぱりこいつが一番頼もしいと思いつつも爆発を起こすための準備をする。火種はちゃんと爆発するように今までと同じように松明だ。



「パラライズトルネード!そしてくらえ!」


ドオオオオオオオオオオン!



 相変わらずの爆発を引き起こすパラライズトルネード。後にはあの爆心地にいたにもかかわらずピンピンしているゴーレムがいる。

 スネークたちはというと、ゴーレムが持っていたやつはあと一回振り下ろせば倒せるほど弱り、泥沼に捕まってた方もHPの残りはあと三分の一というところまで落ち込んでいる。

 そして泥沼の効果が消える。



「じゃあリッチ、ダークボールでとどめを刺してくれ。一匹につき一発か二発で終わるはずだ」


「ガガガガ!」



 【ダークボール】は闇属性の魔法で、低確率ながらも当たった相手にステータス:恐怖を与えることができる。

 恐怖はなると一定時間の間全ステータスが半分になるという恐ろしい状態異常だが、使ってくる相手が強力なボス級モンスターが主なのでこのようなただのフィールドでなることはまずない。



 それぞれに一発ずつ打ち込んで二匹のHPが0になる。これで三匹が揃ってからの初めての戦闘は終了したが中々いいと思う。

 爆発技も結構有効だということが分かったし上々な戦果だ。



 後ろを振り向くと灯たちがかなり驚いたという様子で口をぽかんと開けている。まあ、地雷職と不人気技と松明であれだけのことができるわけないと思っていたのだろうから当然っちゃ当然だな。

 さてさて、あいつらの質問攻めにつき合ってやるかね。

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