EX4.もしもSSの封入ペーパーがあったら「地元限定版」
番外編の「もしもSSの封入ペーパーがあったら」第四弾です。遅くなりました。
もうここまで来ると県民でも「あ~あれかぁ」とは思えない読み手を選ぶ内容です。
繰り返しになりますが、トンデモな内容で本編の設定を意図的に無視している所があります。おふざけ企画が嫌いな方は読むのを止めといた方が良いかと思います。
最後にお知らせがあります。
こたつでぬくぬくしているレイチェルは、自分で煎れた煎茶をじっくり味わった。
「ほふぅ……」
薫り高いお茶に満足すると、親指大のきな粉餅を楊枝で口に入れる。
「ん~、届いたばかりの新茶と安倍川餅の取り合わせ。良いですねえ……最高です。キャンベルさんも実にいい仕事をしてくれました」
レイチェルは上機嫌で、こたつの上に座って自分の湯呑が冷めるのを待っているヘイリーに蘊蓄を語る。
「良いですかヘイリー、安倍川餅というのはサイズが大事なんですよ。そもそもこのお餅の由来は、小粒のきな粉餅を安倍川上流の金山から採れる金の粒に見立ててタヌキの神様に献上した物と伝承されています。きな粉餅ならなんでもいいんじゃないんですよ」
「ウキー」
「よその土地では手のひらサイズのきな粉餅に安倍川と名付けて売っていたりしますが、あんな大きなのはただのきな粉餅ですよ。由来になぞらえた遊び心が大事なんですよ。わかりますか?」
「ウキー」
気のなさそうなヘイリーの生返事を聞き流し、レイチェルは指先で楊枝を振りながら自説を主張する。ちなみにヘイリーは食べさせてもらえない食品には興味が無い。
「そしてお茶受けが安倍川餅なら、お茶にはやっぱり安倍川流域の本山茶。これは譲れませんね。本山茶は特に由緒ある生産地で、誰だったか偉い僧侶がどこかの国から持ち帰ったお茶の種を植えたと言われる静岡茶発祥の地でもあるんです」
レイチェルの蘊蓄も、遠い外国の話だとさすがにあやふや。ただ、今はそれよりも……。
「……ヘイリー?」
どうにも相槌が適当だ。説明を聞いているのかいないのか、ヘイリーはさっきレイチェルが封を切った新茶の袋を手に持って眺めている。
「どうしたの、ヘイリー? なにか気になるの?」
ヘイリーが袋の商品名を見せてきた。
『掛川深蒸し茶』
「……」
「……」
ヘイリーが袋を振る。無言の空間に茶葉が揺れ動くガサガサいう音だけが響く。
「……」
「……ウキー?」
ヘイリーが首を傾げて答えを要求するが、レイチェルは黙ってお茶をすすっている。
「ウキー?」
「……」
テシテシと二歩近づいてドアップで首を傾げるヘイリー。レイチェルがサッと目を逸らす。
「ウキー?」
「……ほんの五十キロぐらいずれてるだけです」
レイチェルの視線の先に回り込んでドアップで首を傾げるヘイリー。
「ウキー?」
「……正確には五十五キロです」
持っていた茶の袋でレイチェルの頬をグリグリするヘイリー。
「ウキー?」
「……どうせ日本茶の七十五パーセントは『やぶきた茶』なんです! ちょっと産地がずれていても同じ樹ですよーだ!」
追い詰められて逆ギレする飼い主に、ヘイリーはやれやれと肩を竦めた。
「ウッキー」
「『やれやれ、強情で困った子猫ちゃんだぜ』ですって? 子ザルに子猫ちゃんなんて上から目線で言われたくありません!」
「ウッキー」
「貴様はエテ公相手に、客もいないところで何をコントなんぞやってるんだ」
呆れたエリオット王子のツッコミに、一人と一匹が振り返った。
「あ、子犬ちゃんいらっしゃい」
「ウッキー」
「貴様ら、今の会話の後に良くも言えたもんだな!?」
今日も今日とて不毛な確認に来ている王子に、レイチェルはこたつ布団を肩まで引き上げながら気がなさそうにブツブツ文句を言う。
「せっかく楽しくお茶をしていましたのに、まずい顔を見て興が冷めましたわ。あー寒い」
「き、貴様……よくも俺にそんな態度を取れるものだな!?」
激怒したエリオットが己の顔を親指で指し示す。
「どこからどう見ても王都一のイケメンだろうが!」
「殿下、論点が違います。姉上に反省を促しに来たんでしょう?」
「そうだった」
ジョージのツッコミにエリオットは我に返るも……。
「だがこれだけはきっちりしておかないと気が済まん! ちょっと待て」
「はあ……」
エリオットが牢の中を威嚇する。
「言ってみろレイチェル! 貴様は俺の顔のどこに不満があるというんだ!」
「別れた女にそんな確認してもな」
「言うなよサイクス。殿下の中じゃ一大事なんだから」
「おまえらは黙ってろ!」
詰め寄られた方の令嬢は、全然どうでも良さそうにお茶を啜っている。
「はあ……そんな事を訊きますか」
「ちゃんとした理由があるなら言ってみろ! 俺の一押しチャームポイントなんだぞ!? 難癖は許さん!」
王子の気勢にわざとらしいため息をつきながら、レイチェルはジト目でエリオットを見上げた。
「殿下の御尊顔を拝しますと、王妃教育のせいで自動でサマーセット公爵夫人を連想するんです」
「…………そうか……すまん」
「そ、それはともかくだなレイチェル!」
仕切り直して説教を始めようとしたエリオット。
……の言葉を遮るように。
「ウキー! ウキー!」
猿が何かを指差しながら、レイチェルの二の腕をタシタシ叩いた。
「あっ、そうでした! ありがとうヘイリー」
「おいっ!? レイチェル貴様、人が話をしている途中で……」
王子が話している最中なのに席を立った公爵令嬢は、急いで火にかけていた鍋を下ろして来る。こたつの上に既に準備してあった鍋敷きへ、平たい鍋を下ろして蓋を開けた。
鍋一杯に入っている、様々な具材……に刺さっている串の林立がやたらに目立つ。
「……おい、今度はなんだ」
「何って、どこからどう見ても静岡おでんじゃないですか」
ヘイリーが持って来たトッピングの壺を受け取って礼を言いながら、レイチェルは代わりにヘイリーが差し出した皿に何品か具材を取り分けてやる。実に麗しい主従の光景だ、が。
「人が説教している最中に食事を始めるんじゃない!」
「まあ殿下、何をおっしゃいますの。食事なんかしていませんわ」
エリオットの注意に反論しながら、レイチェルはヘイリーが運んで来たお銚子を礼を言って受け取る。お猪口に注いでぐっと飲み、ん~! と身悶えした。
「寒い時期には熱々のおでんに熱燗! たまりませんね!」
「ウッキー」
頷きあう令嬢と猿に、怒れる王子もほかほか沸騰寸前。
「王子が説教している最中に晩酌を始めるな!?」
「おでん鍋の方が先に火にかけてあったんですよ?」
「そんな理屈で不敬がかわせるなんて思うなよ!?」
なぜエリオットが怒っているんだろう? と不思議そうなヘイリーが、何かを閃いておでん鍋の串に手を伸ばした。
「ウッキー!」
何品か取ったおでんをエリオットのところへ持って来る。
「……いや、おでんを寄越せって言ってるわけじゃないぞ」
「ウキャー」
わかってる、わかってると言いたげな全然わかってない様子のヘイリーが、よく色の滲みた輪切りの大根を差し出した。
「ウッキー」
「『はい、アーン』ですって。食べさせてあげるなんて、ヘイリー優しいわね」
「優しいわねじゃねえよ!? そんな物にかぶり付けるか!」
「ウキー?」
「『大根嫌いか?』じゃない! 温度を考えろ!」
「ウキャキャ」
「『じゃあ玉子』って、同じだエテ公!」
「ウキー?」
心底不思議そうな顔で首を捻る猿。手に持った玉子をしばし眺め、別の方向へ突き出す。
「ウッキャー」
「くれるの!? おサルさん、ありがとう!」
猿が差し出した熱々おでんを、何の躊躇もなく口に入れてもらう男爵令嬢。
「待っ!? マーガレット、そんな物を食べたらやけどを……!」
「んまっ、んまっ、んっ! うん、なかなか味が染みてるわ……エリオット様、どうしました?」
「いや……無事ならいいんだ……」
貧民街育ちのご令嬢、口腔粘膜と消化器系の丈夫さには自信がある。
エリオットはおでん鍋の中を覗き込んだ。
「ところで……なんでこれは全部串を刺してあるのだ?」
具材に全部串を刺してある。横にお玉も用意してあるから拾い上げればいいのに。
疑問を口に出しながら顔を上げると……レイチェルもジョージもサイクスも、“ふーっ、これだから素人は”と言いたげにやれやれと肩を竦めて首を振っている。ついでに猿も。
「な、なんだ貴様ら!?」
たじろぐ王子様に、おでんを貪り食う男爵令嬢以外が一斉にツッコミを入れ始める。
「殿下、全部串を刺してあるなんて常識じゃないですか」
「これが無かったら静岡おでんと言えませんからね」
「はっはっは、殿下は世間知らずだなあ」
「ウッキー」
「なんだ!? なんなんだ!? なんで全員で!? 特にエテ公!」
狼狽するエリオットに、代表してレイチェルが鍋を指し示して説明する。
「元々は簡単に食べられる軽食として、駄菓子屋や文房具屋の店頭で売っていたんですよ? 一本幾らなので、そのまま食べたり後払いの勘定に便利なので串を全部刺すのですわ」
「……レイチェル、今なんて言った?」
得意げなレイチェルに、気になる語句のあったエリオットがストップをかけた。
「はい? ですから一本幾らで……」
「その前だ! どこで売っているって!?」
「ですから、駄菓子屋や文房具屋」
「なんでそんな所で鍋物を売っているんだ!?」
レイチェルとジョージやサイクスが顔を見合わせる。
「庶民の子供が気軽におやつに買うんですから、それは駄菓子屋とか文房具屋で」
「当たり前の話ですよね」
「子供は居酒屋なんか行かないからな」
「おかしくないか!? それ、当たり前の話じゃ無いだろう!?」
変なところに引っかかる王子に首を傾げながら、レイチェルが答えた。
「地方に独特の風習があるなんてよくある話じゃ無いですか」
「それは、そうだが……商売が違い過ぎるだろう? そこの連中、頭おかしくないか」
「殿下に言われるなんて」
「貴様にだって言われたく無いだろうな!」
エリオットの指摘に、レイチェルが艶然と微笑んだ。
「殿下が心配されるようなことはありませんわ」
「よその国のどこかの地方なんぞ、別に心配はしてないが」
「この一件に限らず、頭のおかしい人しか住んでませんから」
「話が余計にひどくなったぞ!? 急に心配になって来た!」
自分で話を振って置きながら引いている王子様に構わず、レイチェルは両手を合わせてちょっと夢見るような顔になる。
「静岡は素敵な国なんですのよ。不思議なやる気に満ちた人たちでいっぱいなんです」
「……貴様が言うからにはロクなヤツがいないんだろうな。そいつら、何をした?」
「なんですか、ひとを犯罪者のボスかなんかみたいに」
唇に人差し指を当て、んー……と可愛らしく唸ったレイチェルは、いくつかの例を思い出した。
「そうですね、例えば……とある用水路がありまして」
「それがなんだ?」
「水が足りなくって、手堀りで隣の国の湖までトンネルぶち抜いちゃいまして。工事責任者は国境破りの疑いをかけられて捕まったとか」
「……それ、外交問題になってないのか?」
「それが、これが由来で伝統的に湖の水利権を持ってっちゃったものですから、隣の国に数百年恨まれていたそうですわ」
「当たり前だろ!? 役人は何をしていたんだ!?」
「その辺りのお役人ですか? えーと、ああ、大砲が欲しくって自宅の庭先に製鉄所建てちゃった人でしたか」
「役人も何やってんだよ!? なんで!? どうしてそういう話になるんだ!?」
「いやあ、なんでも……大砲がそこらへんで売ってなかったから自分で作っちゃえと」
「売ってるわけ無いだろ!? 大砲自体もそうだが、それでなんで地方の役人が製鉄所なんか建てるんだ?」
「売って無かったら自分で作る。DIYの基本ですわね」
「そういう問題か!?」
「この国では珍しい話じゃ無いですよ。ある鉄道会社では車検で蒸気機関車が車庫に入庫しまして」
「車検が何だよ?」
「終わって出てきた時にはディーゼル機関車になっていたそうです」
「どこをどう検査したらそうなるんだ!?」
「なんか、『今、ディーゼルがアツい!』とかで」
「ノリで改造するんじゃねえよ!? どうやったら蒸気機関をディーゼルエンジンに積み替えられるんだ!? 設計図はどうなってんだ!?」
「設計図を書けるほどは詳しくなかったので、エンジン乗っけちゃってから現物見て書いたそうです」
「……ちょっと待て? 話がおかしい。設計図って作る為に書くもので、作ってから書くものじゃないよな?」
「当たり前じゃないですか」
湯煎してある酒では足りなくなったレイチェルが、猿が持って来た四合瓶からタンブラーに冷や酒を注ぎ始めた。
「技術者のチャレンジ精神は色々新しいものを生み出すんですよ?」
「それは分かる。それは分かるが、そいつらおかしな事ばかりし過ぎだろう」
「他にはぁ……ある人は自転車漕ぐのがめんどくさいから、自転車にエンジン積んだら売れるんじゃないかって作って見まして」
「その時点で自転車じゃない」
「手荒に扱っても壊れない実用本位で設計したら、ビルの屋上から突き落としても動いちゃうバイクができまして」
「その頑丈さ、日常生活で必要か? なあ?」
「その勢いで社長様、外国まで行ってバイクレースに参加したらコーナーで曲がり切れずに遠心力で吹っ飛びまして」
「実用本位はどこへ行った!? てか社長が自分で出たのか!? 騎手はプロを雇えよ!?」
「宙を飛んでて空を飛ぶ面白さに気がつき、今その会社は飛行機造ってます」
「自転車どこへ行った!?」
いい加減王子を置いてけぼりに酔いが回り始めた公爵令嬢が、ほんわかした顔でさらに思い出そうと天井を見上げる。一緒にちゃっかり飲んでいた猿は既に泥酔状態で、男爵令嬢にカワイイカワイイ言われながらこたつの上でジルバを踊っている。
「傑作はトラクスさんですかねえ」
「まだいるのかよ!? そんな奴……」
「医療機器の修理屋をやっていた時計職人だったんですが」
「もう初めの段階で話がおかしい。レイチェル、貴様酔ってないか?」
「小学校から『オルガン直して』と言われまして」
「なんで楽器の修理を時計屋に頼むんだ!?」
「舶来の楽器が初めて入ったので、この地方に楽器職人なんかいなかったんですよう。で、『精密機器得意でしょ?』って」
「周りもおかしい。アバウト過ぎだろ、そいつら……」
「それでバラしてみたら構造が理解できたので」
「修理に成功したってか?」
「『根拠はないけど俺にも作れる』って思っちゃって、日曜大工でオルガン作り始めました」
「バカだろ!?」
「趣旨に賛同して協力してくれたお友達の装飾品屋さんと制作に取り掛かりまして、魚屋さんの意見も参考にしながら二か月で作り上げたそうです」
「なんで魚屋に意見を訊くんだよ!? 時計屋、装飾品屋に魚屋って、専門家一人もいないじゃないか!?」
「だからこの地方に新型の楽器がわかる人がいないんですってば。魚屋さんは三味線ギターを習っていたそうで」
「習っていたから、なんだよ!? 逆に言ったら作っていた二人、音楽の知識全く無いんじゃないか!」
「殿下といい勝負ですわね。それで完成したんですけど、作ってみたら問題が出たんですの」
「なんだ? どうせくだらないことだろう」
「うまくできているか判断できる人が、この地方に一人もいないことを思い出しまして」
「さっきから何度もその話出て来たよな? なぜコイツらは途中で気にしなかったんだ!?」
「『作ってみたかったから』じゃないでしょうか。そこで二人は思ったんです。『首都まで行けば、きっとわかる人が』」
「ダメだ。ダメの匂いしかしない……」
「それで二人はオルガンを梱包すると、天秤棒に括りつけて二人で担ぎまして。手ぶらで七日から十日かかる首都までの未舗装路を、まだ見ぬ『音楽がわかる人』を求めてオルガン担いで徒歩で旅立ったそうです」
「宗教の巡礼みたいに言ってるけど、やってることはバカそのものだからな!?」
「それで首都に着いて、街の人に聞いたんです。『音楽わかる人知りませんか?』と」
「無計画過ぎだろ……」
「でも首尾よく一番詳しい人に見てもらったんですよ? そして言われたんです。『音階って知ってますか?』って」
「何やってんだよコイツら……聞いてる方が泣けてきた」
「で、一人がすぐに帰って二号機製作の準備をしている間に一人が偉い先生について音楽の基礎を習いまして、二か月後にリトライ! 今度こそ合格点をもらって起業したんです!」
「なあ、楽器作り始めてから音楽習うって、設計図書けないどころの話じゃないよな?」
「走り出してからどうするか考えるのが、この地方の人の性格らしいですから」
「おかしなヤツしかいないって、本当にロクなヤツがいないな……」
「静かにおかしい人たちと書いて、静岡人と読むのです」
ジョージが一応エリオットに忠告する。
「殿下、姉上の言ってることを真に受けるとバカを見ますよ?」
「う、うむ。そうだな、コイツがまともなことをいうはずがない」
引き込まれかけて慌てて身を引くエリオットに、完全に出来上がった顔のレイチェルが不満げに唇を尖らせる。
「まあ殿下、お疑いですの?」
「いくら何でも荒唐無稽な話ばかりだからな! あやうく騙されるところだった」
「じゃあ、今読んでた郷土史の本を殿下にプレゼントしますわ」
「そいつらは郷土史に何書いてんだよ!?」
「殿下。飲まれてる、飲まれてる」
本当にレイチェルが寄越した外国の史書を胡乱気に眺めながら、サイクスが眉をしかめてレイチェルに尋ねた。
「なんでまたおまえはこんなの読んでたんだよ。何の参考になるんだ」
レイチェルがちょっと色っぽく笑った。だいぶ酔ってる。
「んふふ、特別に教えて差し上げますわ。私、将来我が国でももっと庶民の教育を充実させたいと思うのですの」
エリオットとジョージもサイクスの手元の本を覗いてみる。
「……別段、教育関係の話なぞ載っていないようだが」
「むしろ教育に悪そうなぶっ飛んだエピソード満載だったけどな」
「姉上とは波長の合いそうな連中でしたけどね」
男たちの否定的な意見も気にせず、上機嫌のレイチェルは高らかに宣言した。
「私、将来は我が国をこういう素敵な人でいっぱいな国に育てたいんです!」
夢見るポーズのレイチェルを見て、もらった本に視線を落として、もう一度レイチェルに顔を戻したエリオットが言った。
「こんな連中、うちの国じゃ貴様一人で十分間に合ってる」
予定より投稿が大変遅くなりました。なかなかネタがまとまらず申し訳ないです。
この時期に急遽投稿しましたのは、ちょっとお知らせがありまして……。
このたび「婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ」コミカライズ掲載が決まりました!
計画は実は一年ぐらい前から動き出しておりましたが、コミカライズって小説の書籍化がある程度進まないと動けないので、結構完成するまで時間がかかるんです。ずっと言いたくて仕方がなかったのですが今まで我慢してました。掲載が本決まりになりましたので編集さんから公表の許可が出ましたよ!
「コンプエース」誌の7/26発売号から短期集中連載で掲載されます。1回あたりのページ数が結構多いので、是非とも購入されてお家でじっくり読んでいただけると嬉しいです。
コミカライズを担当されておられる漫画家は平未夜先生。
単行本も何冊も出されておられる実力派の方で、今回コミカライズにあたってもいい仕事をしてくれておられます。鍋島テツヒロ先生のキャラクターデザインを忠実に活かしつつ、絵に動きがついたことで小説とはまた違った面白さが出ていると思います。
個人的には寝不足のレイチェルのウゼエってしかめっツラがお気に入りです(笑)
小説版読者の方に是非見ていただきたい! コミックになった時のレイチェルのふてぶてしさ、ソフィアの仏頂ヅラ、マーガレットのアホカワイイ姿を是非! 価値ある逸品になっていると思いますので、よろしくお願いします。
「監獄スローライフ」はEX.5を、予定にありませんでしたが今構想中です。こちらも8月には投稿したいと思います。
「監獄スローライフ」に続いて長編で書いています、
「きっと空を飛べるはず! ~美女に泣いて頼まれたので、鳥人間コンテストでポンコツエルフを飛ばします~」
https://book1.adouzi.eu.org/n6970fl/
も佳境に入り、四十話も目前になってきました。そちらも完結まで頑張りたいと思います。
※なお、EX.4の文中のエピソードは基本的には実話ですが酒が入ったレイチェルがうろ覚えで語っている為細部がふわっふわしています。 本当はそれぞれ映画一本作れちゃうくらいの感動秘話の筈が、酔っ払いが意訳したばっかりに……。
書かれている詳細が本によって結構大事な部分で諸説あったりしますので、「自分の知ってる話と違う!」ってところがあったりします。ご承知ください。




