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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
3章 頂へと歩むオーバースカイ

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67話 契約

 ノーラはカタリナと契約するつもりらしい。

 カタリナは自分の強さに思う所があるようなので、タイミング的にはちょうどいいと思う。

 でも、本人の意思が一番大事だからな。カタリナが嫌だというのならノーラには諦めてもらう。


「ノーラと契約したいか、カタリナに確認しないといけないね。契約は一生ものだから、その辺の確認はしっかりしないとね」


「そうだな、ご主人。だが、うちはカタリナは受けると思うぞ。ご主人との力の差を埋める手段があるのなら飛びつくだろうさ、カタリナは」


 確かにカタリナは自分の力不足に悔しそうにしてはいたけど、そこまでだろうか。

 でも、ノーラからそう見えるのなら何か兆候があってもおかしくは無いし、カタリナの様子を確認した方が良いかもしれない。

 それに、ノーラとの契約だからいいけど、力に飛びつくというのならカタリナが妙なことに手を出さないかも心配だ。

 カタリナはぼくよりシッカリしているから、怪しい話に飛びつくことは無いだろう。

 でも、ノーラの話だと追い詰められているように聞こえるからな。

 カタリナが冷静さを失ってしまう事もあるかもしれない。気を付けておこう。


 それから、ノーラとともにカタリナのもとへと向かう。

 早速カタリナにノーラとの契約を提案した。カタリナはちょっと不機嫌そうだが、素直に話を聞いてくれている。


「どうせノーラの事だから、ユーリと契約できないからあたしと契約しようってんでしょ。むかつくけど、仕方ないか。いいわ。あたしがノーラと契約してあげる。ちゃんと強い力を寄こしなさいよね」


「それは契約するまでわからんが、良い能力になるように祈っているぞ。カタリナとご主人が良い連携をしてくれるとうちも嬉しいからな」


 そういう物なのかな? アクアは契約する前にどんな能力か教えてくれたけど、ノーラがごまかしているのだろうか。

 いや、ノーラはそんな子じゃないはずだ。だとすると、アクアは家にある資料で知識を得ていたとかかな?

 まあ、それはいい。ノーラの言うようにカタリナと上手く連携できたらぼくはとっても嬉しい。

 やっぱり、カタリナとコンビを組んでいた時間が長いから、カタリナは相棒みたいに思える。

 そのカタリナと、良い連携ができたらそれは楽しいだろうな。

 もちろん、他の人とちゃんと協力できることも嬉しいけどね。


「じゃ、早速契約するわよ。ノーラ、準備はいいわね?」


「当然だぞ。カタリナこそ、準備はいいな?」


 カタリナが契約のために針で指を刺し、ノーラに垂らす。

 それをノーラが受け入れることでノーラとカタリナの契約は完了したみたいだ。

 すぐにカタリナの指を治療して、カタリナは能力を試すために闘技場へと移動した。

 ぼくとノーラとアクアも着いて行って、その様子を眺めることにする。


「確か、契約の証に集中すればいいのよね。そうなると、あたしはへそのあたりに集中するのね」


 カタリナの契約の証はおへそにあるのか。ぼくは右手の甲と左手の甲、サーシャさんは胸のあたり、オリヴィエ様は左目だったよね。

 他の人がどんな場所に契約の証を持っているのか気になるけど、サーシャさんの場所が場所だから、他の人にもそういう事があるかもしれないし、うかつに聞けないな。

 まあ、気が向いたら教えてくれることに期待しよう。


 それで、カタリナの能力だけど、動いている物の威力を高めたり攻撃の範囲を広げたりできている様子だ。

 殴ったときに殴りの威力を上げたり、腕の周りに光のようなものが発生して攻撃範囲を広げていたりする。

 今のままだと弓使いのカタリナとは相性が悪いと思うけど、たとえば武器に付与できるとなると話は変わってくるよね。

 カタリナに提案してみるか。


「カタリナ、ナイフで攻撃した時にも同じことはできる?」


「いま試すわ。……できたわね。そうなると、どれくらいの大きさの武器なら使えるのかが気になるわね」


 カタリナの力は、ナイフにも威力の底上げと範囲の拡大が適用できていた。

 ナイフの時には、殴りの時と違ってナイフの周りの力で切り裂くようになっていた。

 つまり、威力の強化は単純に考えていいだろうけど、範囲の拡大は何で攻撃するかによって性質が変わる。

 攻撃の手段を一つに絞って錬度を上げるのか、複数の武器を用意して戦術の幅を広げるのかでだいぶ変わってくるだろうな。

 でも、カタリナはこれまで弓を中心に使ってきたから、急に武器を変えるというのはあまり良くはなさそうだ。

 弓でも同じ事ができるのなら、弓で能力を使う事が基本になるだろうな。


「剣で試してみるのもいいけど、まずは弓で試してみない? それができるのなら、やることはある程度固まるでしょ」


「そうね。流石に新しい武器を覚えるのは大変でしょうし、弓で運用できるのならそれが良いわね」


 カタリナはそのまま弓で能力を試してみる。

 その結果、矢に力を込めることで矢の威力を上げる事ができたし、範囲を広げようとすれば的に矢が三本同じ方向に当たった感じの穴ができた。

 見た目としては、矢の右と左に光が着いてきている感じかな。

 カタリナはまだ能力を使い始めたばかりなのに、すでに結構強い。

 ぼくのアクア水もだけど、使い慣れると範囲や数や威力が上がるから、これからカタリナの弓使いとしての能力はとても伸びていくだろう。


「カタリナ、すごい。これならユーリと一緒に活躍できる」


「そうだな。ご主人に置いていかれるような事にはならんだろう。うちも嬉しいぞ」


 カタリナはその言葉を聞きながら胸を張っている。

 カタリナが嬉しそうで良かった。これなら、カタリナとノーラの契約は上手く行っていると言っていいよね。

 この契約がきっかけで問題が起こったりしないか心配だったけど、大丈夫そうだ。


「ま、あたしなら当然よね。契約技だってうまく使いこなせるのは。でも、ノーラもありがとね。おかげであたしはもっと強くなれた。ユーリに置いていかれないで済むわ」


 カタリナの言葉を聞いてはっとする。

 そうか。カタリナはそんなことを心配していたのか。

 ぼくがカタリナを置いていくなんて事は絶対に避けたいと思っていたけど、それをはっきりと言葉にしていただろうか。

 やっぱり思いは口にしないとだめだな。これからはしっかりと伝えるようにしなくちゃ。


「ぼくがカタリナと離れ離れになろうとする訳がないよ。でも、ちゃんと言葉にしていなかったのはごめん。カタリナ、ずっとぼくと一緒に居てほしいんだ」


「はぁ。それはオーバースカイも、他の人もってことよね。まあいいわ。あんたこそ、あたしに置いていかれないように気を付ける事ね。あたしのために強くなりなさいよ」


 もともとぼくが強くなりたかったのはアクアとカタリナのためだった。

 アクアとカタリナに助けられてきたから、恩返しをしたいという思いのためだ。

 そのために、アクア水を手に入れてからずっと頑張ってきた。

 ミア強化という力も手に入れて、アクアとカタリナや他のみんなを守れるほどに強くなれたはず。


 でも、強くなったことがきっかけでカタリナとの距離が開いてしまったことに寂しさもあった。

 けど、もう大丈夫だ。カタリナはこれからまだまだ強くなるし、ぼくたちの依頼が危険だからついて来られないような事にはならない。

 契約技を持たないただの人間には難しい依頼なら、泣く泣くカタリナを置いていかなければならない可能性もあった。

 無理矢理カタリナを連れて行って、それでカタリナに何か起こってしまう事態は避けたかったから。

 これからも安心してカタリナと一緒に居る事ができる。ぼくは嬉しさでいっぱいだった。


「そうだね。カタリナとずっと一緒に冒険が出来るように、頑張るよ」


「それでいいのよ。あんた、これからもよろしくね」


 カタリナはとても柔らかい表情をしていた。

 最近はずっと見ていないような顔で、やっぱり何か悩んでいたのだろう。

 ノーラはそれに気がついていたから、カタリナと契約をしようとしたのかな。

 きっとそうだ。ノーラがとても優しいという事をぼくはとても感じている。

 ぼくの事も、カタリナの事も考えたうえで契約相手をカタリナにするという判断をしたのだろう。


「ノーラ、カタリナと契約してくれてありがとう。おかげでぼくたちはもっと強くなれて、もっと活躍できる。それに、これからもずっとぼくたちは一緒に居られる。ノーラのおかげだよ」


「ご主人が喜んでくれるのなら何よりだ。うちはご主人もカタリナも大好きだからな。その2人の関係がおかしくならないように気を配るのは当然の事だ」


 やっぱりノーラはぼくたちに気を使ってくれていたみたいだ。

 とっても可愛くて、強くて、ぼくたちに配慮をいっぱいしてくれる。

 本当にいいペットを持てて、ぼくは幸せだ。これからノーラが幸せでいられるように、しっかりノーラの事をみていこう。


「うん、ありがとう。ぼくたちもノーラが大好きだよ。ぼくのペットになってくれてありがとう。ノーラのおかげで幸せがいっぱいだよ」


「そうね。あたしからもお礼を言わせて。ノーラがユーリと一緒に居てくれてよかったわ。これからもよろしく」


「ふふ。うちは幸せ者だな。最高のご主人と、その仲間たちに囲まれておって。ご主人、これからもずっとうちのご主人でいてくれよ」


 ノーラはとても暖かい顔をしている。こういう顔をしてくれるのだから、やっぱり思いを伝えていくことは大切だな。

 オーバースカイのみんなと、それを支えてくれる人たち。他にも、ぼくの周りにいるみんなに、ぼくがみんなを大切に思っていることをしっかりと伝えよう。

 ぼくはいい出会いに恵まれている。この出会いがこれからも良いものであり続けるために、頑張っていこう。


「もちろん、ずっとノーラのご主人でいるよ。ノーラがこれからも幸せでいられるようにね」


「ありがとう、ご主人。もううちからは逃げられんから、そのつもりでな」


 望むところだ。アクアもノーラもぼくを逃がさないというけれど、可愛いペットたちに捕まるなんて、最高でしかない。

 これから、アクアとノーラの幸せを全力で支えていこう。

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