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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
6章 ユーリとアクアの世界

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if ユーリヤとの未来

 ユーリヤを失いそうになった次の日。

 ぼくはユーリヤと1日を過ごして、最後にユーリヤと同じ部屋で一緒に寝ることになった。

 ユーリヤの顔を見ていると、安心感が湧き出てきて止まらない。本当にユーリヤが無事でよかった。

 ぼくにとってユーリヤは欠かすことのできない大切な人になっていたので、ユーリヤとこれからも一緒に居られる喜びをかみしめていた。

 ユーリヤはそんなぼくの顔をじっと見て、ぼくに微笑みかけてくる。


「ふふっ、わたしの無事がそんなに嬉しいんですか? 気が変わっちゃいました。また今度と言いましたけど、今にします」


 そのままユーリヤはぼくにキスをした。確かに今日頬にキスをされた時に、また今度唇にするって言われていたけど。

 ぼくはすっごくドキドキしながらユーリヤの顔を見て、ユーリヤの穏やかな顔に見とれた。

 ユーリヤとずっと一緒に居られたらどれだけ嬉しいのだろう。もしかして、この気持ちが恋なのかな。

 だとすると、ユーリヤを失いたくないと思ったのは、ユーリヤに恋しているから?

 どうだろうか。カタリナだってアクアだってステラさんだって失いたくない。

 でも、ユーリヤといるとすっごくドキドキする。他の人といる時よりも強いと思う。

 なら、ユーリヤの事が好きなのかな。他の人とは違う意味で。


「ユーリさん、今日は楽しい時間にしましょうねっ、まずは、もっと関係を深めましょうっ」


 そう言ってユーリヤはぼくの頬を両手で挟んでもう一度キスをしてきた。今度は舌をぼくに入れてきて、ぼくは胸が爆発するんじゃないかと感じた。

 しばらく経ってユーリヤが離れていく。

 少しの名残惜しさとユーリヤが好きだという確信がぼくの中に残った。

 だから、ユーリヤにぼくの想いをはっきりと伝えることを決めた。


「ユーリヤ、ぼくはきみが好きだ。ユーリヤとずっと一緒に居たいし、色々な経験がしたい。ぼくが家族を持つときに、隣にはユーリヤがいてほしい」


 ぼくの言葉を聞いたユーリヤは両手を胸の前で握って晴れやかな顔になる。

 この顔をしてくれるってことは、ユーリヤもぼくの事を好きでいてくれているはず。


「わたしも、ユーリさんの事が大好きですよっ。これからはアクアちゃんともども、同じ部屋で暮らしちゃいましょうかっ」


 アクアとユーリヤとぼくの3人で過ごすのか。その光景を想像するだけで幸せな気持ちになる。

 アクアの事はもちろん大好きだけど、ぼくが恋をしているのはユーリヤだ。ユーリヤの隣に居られたらきっといつまでも楽しいはず。

 明るい未来に思いを馳せて、ぼくはユーリヤと付き合う事になる喜びをかみしめていた。


「それでユーリさんっ、せっかく今日は一緒の部屋で過ごすんですから、さっきまでより楽しい事をしましょうねっ」


 そう言いながらユーリヤはぼくの服を脱がせていく。何をするかは分かったけれど、どうすればいいのか分からないのでユーリヤに身を任せていた。

 そのまま、その日にユーリヤと関係を持つことになった。ぼくはユーリヤにずっとリードされっぱなしだった。


 次の日、ぼくはユーリヤとアクアと3人で過ごすことにした。アクアにユーリヤと付き合う事になったと伝えた。


「そう。ユーリヤ、ユーリの事を幸せにしてあげて。ユーリ、これからもアクアとずっと一緒」


 もちろんアクアとはずっと一緒に居るつもりだったし、ユーリヤにもその話はしていた。

 ユーリヤは元々ぼくとアクアと3人で一緒に居るつもりだったみたいで、当然の事だろうという反応をされた。

 ぼくたち3人でずっと一緒に居られるのなら、何だってできるような気がしていたぼくは、アクアとユーリヤがお互いを受け入れてくれている事が嬉しかった。


「ユーリさんの事を幸せにするなんて、当たり前の事ですよっ。アクアちゃんも一緒にユーリさんを幸せにしましょうねっ」


「分かった。ユーリの事は幸せでいっぱいにする。ユーリ、楽しみにしていて」


「ありがとう、2人とも。だけど、ぼくは2人が一緒に居てくれるだけで幸せだよ」


 実際問題、アクアと離れたりしなくていい事はとてもありがたかった。アクアとはずっと一緒に居たぼくの一部のようなものだから、離れ離れになる事には耐えがたい苦痛が伴うはずだ。

 その心配がなくなったことで、とても前向きにユーリヤとのこれからを考える事ができる。

 ユーリヤとアクアはとっても仲良しに見えるので、3人で一緒に過ごす機会をこれからも用意しても良いかもしれない。

 ユーリヤはそれをどう思うだろうか。アクアを遠ざけると怒るような気がするけど。


 まあ、おいおい良い関係性を見つけていけばいいか。オーバースカイとしてチームを組んでいる以上、一緒に居る時間はどうせ多いのだから。

 それにしても、ぼくがユーリヤと付き合う事になるなんてね。

 出会ったときには全く考えていなかったな。美人だとは思ったけれど、流石にそれだけで好きになりはしないのだし。


 でも、ユーリヤと一緒に居る時間の中で、ユーリヤの頼りになる部分や、雰囲気を明るくしてくれる所、一緒に居る時の安心感を感じていったことが好きになるきっかけだったのだろう。

 直接のきっかけ自体は、ユーリヤを失うかと思ったときだろうけど、それまでに積み重ねた時間があったからこそ、ユーリヤが死ぬことが恐ろしかったのだ。

 これからもユーリヤをより一層大切にしていこう。もちろん、アクアの事も大切にするつもりだけど。


「ユーリさんが今が幸せだというのなら、これから先はもっと幸せになるんですよっ。わたしだって、もっともっと幸せになるんですからっ」


「そう。それに、ユーリにはいろいろと楽しい思い出をあげる。アクアにも楽しい思い出を貰う」


 きっと2人の言う通りになってくれると、ぼくは素直に信じる事ができた。

 2人の言葉にうなずいていると、ユーリヤに右手を、アクアに左手を握られた。

 ユーリヤとアクアは手の握り方も、感触も、その他のいろいろなものも違う。全然違う2人に囲まれているのに、ぼくたちはもともと一つだったかのような感覚があった。

 これからはこの3人で同じ部屋で暮らすことになる。ユーリヤとそう決めた。アクアもユーリヤを受け入れてくれる様子だから、上手くやっていけるだろう。

 ユーリヤといるとドキドキが収まらないような感覚だけど、アクアといると落ち着く。この2人と一緒に居ると、なんだか暖かい気持ちになれた。


 ユーリヤはアクアを受け入れてくれていて、アクアはユーリヤを受け入れてくれている。だから、ぼくは大切な人たちと一緒に過ごすことをためらわずに済んだ。

 2人にはとても感謝している。だから、ぼくも2人を幸せにするために全力を尽くすことを迷わなかった。

 まずは、この気持ちを言葉にすることからにしよう。2人はどちらもきっとぼくの言葉を喜んでくれる。そう信じているからね。


「ユーリヤ、ぼくの恋人になってくれてありがとう。アクア、ぼくのペットでいてくれてありがとう。2人がいれば、どんなことだってぼくは乗り越えていけるよ。だから、ずっと一緒にいようね」


 ぼくの言葉を受けて2人ともこちらを向いて微笑んでくれた。こうして見ると、アクアの笑顔は落ち着いた雰囲気で、ユーリヤの笑顔は温かいイメージだ。

 アクアのひんやりした手も、ユーリヤの温かい手も、どちらもぼくをとても幸せにしてくれる。

 だけど、それだけじゃなくて、ぼくと手を繋いでいることで2人も幸せを感じているのだと2人の顔を見て思えた。

 こうしてお互いがお互いを幸せにできているのなら、これからもきっとずっと幸せでいられる。


 だから、心配することなんてきっとない。

 冒険者を続ける以上、危ないことはあるかもしれないけれど。

 でも、ぼくたちならきっと乗り越えられるから。

 ユーリヤと、アクアと、生きて行くんだ。




 アクアはユーリヤという外面を最大限に活用していた。

 ユーリはユーリヤを大切に思う感情が大きくなっているようで。

 つまり、自分自身を大切にされているということだ。

 なぜなら、ユーリヤはアクア自身が生み出した人格。アクアが演じる存在。アクアのオリジナルだから。


 だからこそ、ユーリが向けるユーリヤへの好意が、アクアにとってはとても心地よかった。

 自分が考えた好みの言動を評価されているのだから。

 これでアクア自身の本来の人格を好まれていないのならば、話は別だっただろうが。

 ユーリはユーリヤを好ましく考えながらも、アクアを大切にしているのだから。

 そうである以上、アクアにとっては何の問題もない話であった。


 これまでにも、アクアはユーリヤの体とアクア自身で感じ方の違うユーリを楽しんでいた。

 アクアとして、ユーリの体温がじわりと伝わってくる感覚を楽しんで。

 ユーリヤとして、しっかり伝わってくる温度を楽しむように。


 ただ、ユーリヤはユーリに告白されたから。

 これからはユーリヤとしてユーリの彼女という立場を。

 アクアとしてはペットとしての立ち位置を楽しむことができる。

 そう考えただけで、アクアは高ぶりを抑え切れないとすら感じた。


 ユーリヤとしてユーリと結ばれて、アクアとしてユーリを支えて。

 アクアはユーリのそばを全力で楽しんでいた。

 ユーリの恋人として接する時は甘やかな心地を。

 ペットとしてふれあうときには温かい気持ちを。

 それぞれ味わいながら、互いの差でより深まっていく喜びで満たされて。

 アクアはこれまでよりも、ずっとずっとユーリのそばを幸せに感じていた。


 いつしかアクアはユーリとの生活にとても満足して、ユーリ以外をどうでもいいと感じていた。

 それゆえ、邪魔になったものを即座に支配し、だんだんアクアの支配下にある存在が増えていく。

 そして、やがてカーレルの街のほとんどの人間はアクアの人形になっていたのだ。

 ユーリと、ユーリヤと、アクア自身と。

 その実質2者で過ごす日々を楽しむアクアは、誰よりも自分が幸せだと信じていた。

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