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邪悪ヤンデレ厄災系ペットオメガスライム  作者: maricaみかん
4章 プロジェクトU:Re

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裏 法悦

 アクアには近頃カーレルの町周辺で起こっている異変の原因に心当たりがあった。

 アクアにとって忌々しいプロジェクトU:Re。その影響がカーレルの町周辺にまで現れたのだとアクアは判断していた。

 それに対処できるだけの力はアクアには当然あった。それでも、アクアはプロジェクトU:Reに対して近づこうとはしていなかった。

 心のどこかで思い出したくもない過去を避けようとしていた事、そしてもう一つだけ理由があった。

 アクアはどちらの理由からもプロジェクトU:Reにかかわる人を支配する形でこの事件を解決するという手段を選ばないでいた。


 アクアは支配している人間の記憶から、ある程度プロジェクトU:Reの現在の状態を割り出していた。

 かつてはオメガスライムの創造を計画していた。それによってアクアは現在の姿に変化するきっかけを得て、アクアとユーリとの出会いもプロジェクトU:Reが関係していた。

 だが、現在のプロジェクトU:Reは最強のモンスター、あるいは最強の契約者を生み出すことを目標としているらしい。

 それ以上の事はプロジェクトU:Reの関係者を支配することでしか知る事ができないと判断したアクアは、そこで調査を打ち切っていた。

 ただ、プロジェクトU:Reの影響がカーレルの町周辺にまで及んでいるから、アクアはユーリを守るためにユーリの仲間たちを強化することに決めた。

 ユーリの命が守られているだけでは真にユーリを守っているとは言えない。ユーリの心も守られていなくては。

 そう考えたアクアはユーリの大切な人たちが傷つく姿をユーリに見せないと決めた。だから、オーバースカイとオリヴィエたちとサーシャが強化されることになった。

 ステラの事も強化したいと考えていたが、流石に違和感を隠しきれないだろうと判断した。その代わりに、ステラを守るための手段を用意していた。


 そしてカーレルの街からほど近いマナナの森にもプロジェクトU:Reの影響が訪れる。

 ユーリはこの異変から何かを感じ取っているようで、いつもより気を張っていた。アクアはその姿を見て若干悲しくなるが、それでもこの問題を解決する覚悟は決まらなかった。

 そのままプロジェクトU:Reの成果であるモンスターが現れて、オーバースカイとして戦闘に入っていく。

 ユーリはメルセデスたちの事を強く心配しているようだったので、メルセデスたちがどれだけ強くなったのかユーリに見せつけるとアクアは決めた。

 そのままメルセデスを操作してキラータイガーΔと呼ばれているモンスターを倒す姿をユーリに見せた。

 ユーリは仲間たちとの戦いに感慨深さのような物を覚えているようで、アクアもユーリの嬉しそうな姿が感慨深かった。

 アクアが進化する前のユーリは暗い顔をしている時間が今よりもはっきりと長かったから、アクアは自分が進化したことでユーリを喜ばせられているように思えた。

 ユーリの周辺の人間を支配してしまった事は苦しいままだったアクアだが、それでもユーリの姿を見る喜びの方が大きかった。


 そしてユーリたちが通常の実験モンスターを倒したころ、人型モンスターが複数現れる。

 6体も人型モンスターが現れたにもかかわらず、ユーリはまず自分がどういう行動をするかを気にしているようだった。

 その姿を見たアクアは、ユーリの周りの人たちで人型モンスターを倒す姿を見せることを決める。

 ユーリは基本的に自分が行動することで状況をどうにかしようとする。アクアはユーリに周りの人に頼ることをもっと覚えてほしいと考えていた。

 だから、ユーリがハイスライムφを倒すまで自分たちと人型モンスターとの決着を遅らせていた。

 アクアがオーバースカイのメンバーを操作していないのならば、すでに人型モンスターはすべて倒されていたはずだった。

 一番弱いメルセデスたちでさえ、十分に対峙するモンスターを倒せる力を持っていた。

 それにはアクアによる強化の影響もあったが、メルセデスたち自身の努力が最も大きかった。

 オーバースカイのメンバーを制御する中でアクアの胸に痛みが走るが、それでもユーリのために皆の力を見せつけた。


 スキュラγと戦っているメルセデスたちには、これまでユーリたちに教わったことをしっかり使っている姿を演出させて、その上で危なげなくスキュラγに勝利させる。

 リザードマンεと戦うミーナたちには、ミーナの鋭い剣技を中心に披露させて、ミーナの剣の腕をアピールさせた。

 セイレーンβとの空中戦でアリシアたちに彼女らがユーリの言葉を受けて開発した技を使わせて、ユーリのオーバースカイへの影響を実感させる材料を目指した。

 ワーウルフαと対峙するフィーナとユーリヤには、ユーリと関わらない時間でのオーバースカイ同士の関係性を意識させることにした。

 ドリアードεと戦闘しているカタリナはアクアが操作していたが、ノーラは上手くそれに合わせてくれていた。アクアはノーラとの絆を実感していた。


 すべてのモンスターをユーリの見ている前で倒すことに成功したアクアは、ユーリが人に頼ることを意識できたか確かめようとしたが、成果はよく分からなかった。

 それでも、ユーリが1人で抱え込まない未来のために、これからもアクアはユーリ1人で事態を解決させないと決めていた。

 そうすることで、ユーリに頼ってもらえるようになる。アクアは明るい未来を思い描いていた。


 それから少したって、アクアはユーリと2人きりになる時間を作った。

 ユーリと一緒に居られる時間が幸せであることが最も大きい理由だったが、ユーリの幸せを計りたいという思いもあった。

 アクアがユーリの周囲をすべて操ることになってしまった事は、アクアにとって悲しい出来事だった。

 それでも、ユーリが幸せであるのならば、アクアはこの悲しさを忘れられると確信していた。

 ユーリの周りの人を大切に思う気持ちは嘘ではないけれど、アクアにとってはユーリが最も大切な存在だった。

 だから、ユーリとアクアの2人で幸せでいられるのなら、それだけでいいはず。アクアはそう信じていた。


 ユーリと過ごす中で、ユーリが自分のご飯に対して気を使っている時には、アクアは若干の申し訳なさのような物を感じた。

 アクアにとって食事は本来必要では無いし、味だって気にしていない。ユーリをごまかすためだけに食事をとっているようなものだった。

 アクアはそれでも、ユーリの手が入った料理を食べられる時間は嬉しいと感じていたので、気が付いたらユーリの手料理をねだっていた。

 ユーリは快くアクアの提案を受け入れていたが、アクアは味をほとんど感じていない事を寂しく感じた。

 ユーリヤの体ならば味を感じられているけれど、アクア自身はユーリの料理を最大限楽しめない。

 ユーリのすべてを感じていたいアクアにとって、現状はあまり気分の良い物ではなかった。

 だが、スライムの体に味覚など必要ないし、アクアの体で味を感じる手段もよく分からない。

 アクアは自分の体を改造することはほとんどできなかったから、悔しさのようなものが胸に重く詰まっていた。

 全く自分の体を変えられないという訳ではないので、その分をユーリを喜ばせるために使うとアクアは決めた。


 次にユーリがアクア水を自分と遊ぶために使うと言い出したとき、アクアは喜びと悲しみを同時に感じていた。

 ユーリがアクア水で遊ぶことを提案してくれたのは嬉しい。でも、そのきっかけはアリシアたちを操る前の出来事だ。

 アリシアと一緒に出かけたユーリがアリシアの提案で契約技を使った遊びをしたことが始まりなのだろう。

 アクアはその出来事を印象深く覚えていたので、アリシアの過去を思い出して悲しくなった。

 だけど、ユーリがせっかく自分のために遊びを提案してくれたのだから、全力で楽しむ。

 そのために、アクアはユーリの出現させるアクア水をしっかりと追いかけていった。

 その遊びの中で、ユーリがイタズラのようにアクアが普通にジャンプすると届かない位置にアクア水を出現させた。

 アクアはそれに届くように飛ぶことなど簡単にできたが、ユーリを楽しませることと、自分の正体を隠すことを考えて、アクア水の高さに届かないふりをした。

 ユーリに弄ばれるというのも楽しくはあったけれど、アクアはユーリを弄ぶ側の方が楽しいと感じた。


 なので、アクアは仕返しという名目でユーリを弄ぶことに決めた。ユーリを拘束して上を向かせて、自分の一部を飲ませていく。

 ユーリが美味しく感じるように細かく調整していた成果として、ユーリはアクアから飲まされる体液を大変な美味と感じているようだった。

 それに満足しながらも、アクアはさらにユーリを弄ぶために、ユーリにもっと飲みたければおねだりするようにと言った。

 ユーリはそれに葛藤している様子で、それを見たアクアは途轍もない興奮に襲われていた。

 ユーリが自分の事を飲んでいて、それを美味しいと思っているだけでもとてもいい。

 なのに、ユーリのもっと飲みたいから恥ずかしい事をしないといけない様子をアクアはとても可愛らしく感じていた。

 そしてユーリにねだられたアクアは、ユーリをさらに弄ぶために、ユーリに自分の指を吸わせて自分の体液を飲ませることにした。

 ユーリが必死に自分の指に吸い付く姿にアクアは大変満足していた。

 これからは、ユーリが自分の一部を飲むことを餌にユーリを弄ぶことができる。そう確信できたアクアは自分の表情を制御できなかった。

 ただ、ユーリは自分の表情に見惚れているような反応をしていたので、アクアはまた興奮を高めていた。


 それから、ユーリとともにユーリの作った昼食を食べていたアクアは、ユーリの飲み物としてユーリがアクアジュースと名づけた自分の一部を飲ませていた。

 アクア水もユーリに飲ませることを考えて調整していたが、アクアジュースはユーリが飲むためだけのものだ。

 ユーリの中に自分の一部が入っていく感覚、ユーリが自分で染まっていく感覚、ユーリを支配できているような感覚。

 アクアはそれからずっと楽しくて、いずれユーリのすべてを自分で染め上げたいと感じていた。

 ユーリの体も心も自分が支配することで、きっとユーリは幸せになってくれる。

 幸せな未来を想像している間だけは、アクアは大切な人を操作している悲しさを忘れられた。

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