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召喚ボッチは、サクッと強くなって、サクッと魔王を倒して、速攻家に帰りたい!~クラスみんなで魔王を倒す? そんな修学旅行&体育祭みたいな地獄のイベント、無理無理無理!~  作者: 優木凛々
第4章 ボッチ、最大のピンチを迎える

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08.あくまで他人事なボッチ vs 地下神殿(3)


本日3話目です。

 


「伝説の武器」イベント当日の朝。


 バカンス王女は、自室で侍女たちにお化粧をしてもらっていた。

 今日は勇者召喚以来の大イベントなので、服や化粧にも気合が入っている。


 そして、身支度をほぼ整え終わり、やれやれとお茶を飲んでいると、


 コンコンコン


 ノックの音がして、文官が1人入ってきた。

 王女に礼をする。



「そろそろお時間でございます」

「ええ、分かりましたわ。それで、勇者たちの様子はどうなのかしら?」

「どことなくソワソワしている、とのことです。なにしろ今日“第1勇者”が決まりますからね」

「候補はどうなっているのかしら?」



 王女の問いに、文官が持っていた紙をぺらりとめくった。



「ヨシカワ(吉川涼)かゴンダ(権田剛)、コンドウ(近藤萌)あたりが有力という話です。キタガワ(北川梨花)という意見もあります」



 王女は4人の顔を思い浮かべた。

 確かに、リーダーシップやカリスマ性がありそうなメンバーだ。



(まあ、予想はしていたけど、やはりミナミダは入っていないようね)



 王女はため息をついた。


 第1勇者は王女と行動する機会が増える。

 もしもミナミダであれば、頼りになりそうだと思ったのだが、残念ながら彼はリーダーシップを取るようなタイプではない。


(皆から“サムライ”なんて呼ばれていますものね。寡黙な彼には単独行動が似合うのだわ)


 ――ちなみに、こうした王女のイメージは、勘違いに勘違いが重なってこうなっているのだが、それはさておき。


 王女は、文官に付いて大神殿に向かった。

 大神殿に行くと、すでに生徒たちが集まっており、ヒソヒソ話をしながら座っている。


 王女は前に出ると、微笑みながら宣言した。



「それでは、これより儀式を始めます」




 ** *



 王女が大神殿に入ってくる少し前。

 太一は気配を消して、一番後ろの席に座っていた。


 前の方では、生徒たちが楽しそうに

「誰が第1勇者になるか」

 について話をしている。


 それを聞きながら、彼は欠伸をかみ殺した。


(こういう行事って、黙っていればいいだけだから楽だけど、楽しくはないよな)


 そして、早く終わらないかなと思っていると、扉が開いてバカンス王女が現われた。



「それでは、これより儀式を始めます」



 そう宣言すると、神殿の女神像の裏にある隠し階段のような場所を降りていく。



「わあ、こんな階段あったんだ」

「秘密基地っぽいね」



 そう楽しそうに言い合いながら、生徒たちが王女に続いて階段を降りていく。


 太一も気配を消してその後に続き――



「…………っ!」



 階段を降りた先に広がる光景に、思わず息を飲んだ。


 そこは全てが透明なクリスタルで作られている神秘的な神殿だった。

 中央にはクリスタルの台座にささった大きな剣があり、天井からの光に照らされてぼんやりと光っている。



(……すごいな)



 あまりにファンタジーな光景に、太一も生徒たちも声が出ない。


 いつの間にか降りて来ていたナーガ老人が、ニコニコ笑いながら口を開いた。



「さあさあ、儀式を始めましょうぞ。どういった順番でやりますかな?」



 学級委員の吉田涼と近藤萌がコソコソと話し合うと、老人の方を向いた。



「あの、私たちの世界の出席番号順で行きたいのですが、良いでしょうか?」

「うむうむ、なんでもかまわんぞ」



 クラスメイトたちは、出席番号順に一列に並んだ。

 太一は「南田」のため、後ろから2番目で、一番後ろは吉田涼だ。


 ちなみに、太一の前はお調子者の本能寺春馬で、並んでいる最中も

「俺まで回ってこい!」

 と楽しそうに声を出したりしていて、かなりうるさい。


 太一はゲンナリした。

 どうせ抜くとしたら、近藤萌か吉田涼、はたまた権田剛か北川梨花の4人なのだ。

 最初にその4人がやった方が絶対に効率がいい。


 そんなことを考える太一の目の前で、一番最初の女子が台座の上に昇った。

 緊張した様子で剣をながめると、柄をギュッと握る。


 そして、ふんっ、と言う風に引っ張った。

 剣はピクリとも動かない。



「んんん!」



 一生懸命引っ張るものの、何も起こらない。

 そして、女子は、はあはあと息を切らしながら、柄から手を離した。



「全然抜けません」

「ほっほっほ、では次の者じゃな」



 次の男子も精一杯引っ張ってみるものの、何も起こらない。

 そして、順番が北川梨花になった。



「いっくよ~!」



 梨花が明るく言って聖剣を握る。

 そして、ふん、と引っ張ってみて、ため息をついた。



「抜けない」

「ほっほっほ、じゃあ次の者じゃの」



 続いて、権田が、顔色がどす黒くなるまで引っ張るも抜けず、

 近藤萌も何度か引っ張ってみるものの、首を横に振る。


 生徒たちがざわめいた。



「やっぱり吉川君ってこと?」

「そうじゃない?」



 その後も、次々と生徒たちが試すものの、ごとごとく失敗し、列がどんどん短くなっていく。


 自分の順番が近づくにつれ、太一は嫌な予感がし始めた。



(まさか……ないよな?)



 自分はリーダーシップどころか、人と話をすることもままならないボッチだ。

 さすがにあり得ない。


 とは思うものの、嫌な予感が拭えない。


 その間、列はどんどん短くなり、とうとう残りが、本能寺、太一、吉田涼の3人になった。


 本能寺が、わくわくしたように叫んだ。



「これは、俺の時代が来たんじゃね?」



 そして、元気よく台座の上に飛び乗った。

 緊張しながら剣を柄を掴み、引っ張る。



「ぬ、ぬおおおおおお!」



 真っ赤になって剣を引っ張るも、剣は他の人の時と同様、ピクリとも動かない。


 がんばる本能寺に老人が声を掛けた。



「多分、お主じゃないから、そろそろ止めてみたらどうかの?」

「ま、まだまだです!」

「いや、そういうんじゃないんじゃが……」



 生徒たちがクスクスと笑い始める。


 そんな中、太一は死にそうな気分になっていた。

 後ろの吉田涼が抜く可能性が99.9%だとは思う、でも、自分である可能性も捨てきれない。


 そして、本能寺が諦めたあと、老人が声を掛けた。



「では、次の者、前へ」





あと1話です。

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