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召喚ボッチは、サクッと強くなって、サクッと魔王を倒して、速攻家に帰りたい!~クラスみんなで魔王を倒す? そんな修学旅行&体育祭みたいな地獄のイベント、無理無理無理!~  作者: 優木凛々
第4章 ボッチ、最大のピンチを迎える

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06.あくまで他人事なボッチ vs 地下神殿(1)

 

 初めてのフィールドワークの翌日。

 生徒たちは、教室に集められた。


 太一が、いつも通り一番後ろの端の席に座っていると、教官6人が現われた。

 続いて、文官2名と白髭の明らかに賢人枠っぽい老人が入ってくる。



「誰だろう、あのおじいさん?」

「なんか偉い人っぽいね」



 生徒たちがそんなことをヒソヒソと囁き合う中、教官の1人が声を張り上げた。



「本日は、大切な儀式についての説明をするが、その前に紹介したい方がいる! ナーガ老師、どうぞこちらへ」



 白髭の老人はニコニコしながら前に出ると、生徒たちを見回しながら口を開いた。



「私の名前は、ナーガ・イーキ。50年前に先代勇者たちの教官を務めた者じゃ。今日は魔王討伐において最も重要なことの1つ、伝説の武器について話をさせてもらうことになった」



 生徒たちがざわざわした。



「伝説の武器ってなんだっけ?」

「最初のころに何か言ってたね」


 伝説の武器とは、魔王を倒すために不可欠な特別な武器のことだ。

 召喚者がこの世界に来てしばらくすると、神によって地上に授けられるとされている。


 その武器が現れる場所は、この国に限らず世界中に点在しており、それらを探し出すことも魔王討伐の重要なミッションの1つになっている。


 特に、この国の地下神殿では、毎回最初の伝説の武器が出現するのが恒例となっており、つい先日、その出現が確認されたという。


 老人が口を開いた。



「皆には、明日地下神殿に行って、伝説の武器を抜いてもらうこととなる」



 太一は首をかしげた。

 抜くってどういうことなのだろうか?


 同じように疑問に思ったらしく、委員長の吉田涼が首をかしげながら手を挙げた。



「あの、伝説の武器を抜くってどういう意味ですか?」

「伝説の武器は、土台に埋め込まれている剣なのじゃ」



 太一の脳裏に、ゲームや漫画に出て来る聖剣が浮かんだ。


(――なんか、ますますファンタジーしてきたな)



 老人によると、伝説の武器は、最初は剣の形だが、抜いてからしばらくすると、抜いた本人に最も適した形になるらしい。



「私も50年前に何度も見たが、抜いた剣が杖になったり槍になったりしておったぞ」



 どうやらめちゃくちゃ柔軟性のある武器らしい。


 近藤萌が不思議そうな顔をした。



「あの、地下神殿にあるのは1本なんですよね? だったら代表が1人で抜きに行けばいいんじゃないですか?」



 老人が首を横に振った。



「それが出来れば楽なんじゃが、誰が抜けるのか分からんのじゃ」



 なんでも、どの武器が誰に適合するか、抜いてみないと分からないらしい。



「ただ、分かっているのは、我が国の地下神殿に眠る伝説の武器が、最も強力であるということじゃ」



 老人曰く、50年前に抜いたのは、“ガッキュウイインチョウ(学級委員長)”と呼ばれる役職についていた聖騎士の男子だったらしい。



「彼は自然と人の中心にいるような人間じゃった。良い仲間に恵まれておってのう、彼が剣を抜いた時は大きな拍手が起こったもんじゃ」



 老人が懐かしむように目を細める。



 ちなみに、文献によると120年前に抜いたのは、キュウチョウ(級長)と呼ばれる魔術師の女子で、カリスマ性を発揮し、全員の力を1つにして魔王討伐を推進した、と記録が残っているらしい。



「こうしたことから、この武器は、リーダーシップに優れた者が抜けるのではないかと推測されておる」



 ちなみに、この武器を抜いた者は、“第1勇者”と言われ、国王と謁見したり、パレードの先頭に立ったりと、勇者のまとめ役兼代表として動くことになるらしい。


 生徒たちが一斉にざわめいた。



「なんか“第1勇者”ってすごいね」

「明日それが決まるってことか」



 誰かがヒソヒソ声で言った。



「吉田君か権田君じゃない?」

「私は、近藤さんな気がする」

「本能寺じゃないことだけは確かだね」

「なんでだよ!」



 そんな会話を聞きながら、太一は1人思案に暮れた。


 今の話を聞く限り、恐らく学級委員長を任されるようなリーダーシップに優れた人間が第1勇者に選ばれるということなのだろう。

 ということは、ボッチの太一にとって、明日のイベントはほぼ無関係だ。



(それより問題は、自分に適合する伝説の武器がどこにあるか分からないことだよな)



 ちなみに、老人の話では、各武器は色々な国の地下神殿やダンジョンの中にあるらしく、物によっては手に入れるのにかなり苦労するらしい。


 太一はため息をついた。



(これ、相当時間がかかるパターンじゃないか……?)



 下手すると、自分に適合する武器を見つけるために、30か所近く探し回る羽目になる。



(とりあえず、他の武器がどこに出現するのか、情報を集めておかないとな)



 何か調べる手段はないだろうか、などと考える。



 そんな思案に暮れる太一を他所に、生徒たちは盛り上がった。

 誰が第1勇者になるのだろうか、と楽しげに話し合う。



 その後、説明会は終了。

 明日のイベントに備えてゆっくり休んでくれと言う話になり、その場は解散となった。






本日は4話投稿します。

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