表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚ボッチは、サクッと強くなって、サクッと魔王を倒して、速攻家に帰りたい!~クラスみんなで魔王を倒す? そんな修学旅行&体育祭みたいな地獄のイベント、無理無理無理!~  作者: 優木凛々
第4章 ボッチ、最大のピンチを迎える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/33

01.居たたまれないボッチ vs フィールドワーク(1)

 

 太一が異世界に来てから、約2カ月半。

 青い空がまぶしい天気の良い朝。


 1台の白い幌付き馬車が、王都の郊外を走っていた。

 中には、4人+1人の人物が座っていた。


 赤い動きやすそうな拳法服を着て、ニコニコと笑っている“北川梨花”。

 魔導師っぽい紫色のローブを着た“近藤萌”。

 腰に細い剣を2本下げた、ちょっと眠そうな“浅野結衣”。

 そして、引率の“リリア先生”。


 梨花が、結衣の剣を羨ましそうに見た。



「やっぱり剣ってかっこいいね。双剣とかって憧れる」

「ん。カッコいいけど、歩くのにちょっと邪魔」


「私はもっと動きやすい方がいいんだけどな」と、萌がため息をつくと、リリアが苦笑いした。



「魔術師は魔力が外に散らないように押さえないとけいないから、どうしてもそういうローブになっちゃうのよね」



 その後も、ファッションや髪形についてなど、話に花を咲かせる女性4人。


 そんな4人から少し離れたところに座っていた太一は、心の中でため息をついた。

 こんな状態がかれこれもう2時間くらい続いている。



(これは予想以上にしんどいな……)



 馬車の外をぼんやりとながめながら思い出すのは、パーティを組んでから今日までの出来事だ。



 * * *



 パーティを組んだ後、太一、梨花、萌、結衣の4人は、リリアの周りに集まった。


 リリアが真面目な顔をした。



「これから野外訓練についての注意事項を話すから、しっかり聞いておいてね」



 彼女によると、最初に行くのは王都郊外にある森らしい。

 そこまで深い森ではなく、出る魔獣もそこそこの強さであることから、最初の訓練には最適らしい。



「ただ、たまに強い魔獣がでることもあるから、油断禁物よ。例えば、ビッグディアとか」

「ビッグディア……って、鹿ですか?」



 萌の言葉に、リリアが驚いた顔をした。



「あら、分かるのね。じゃあ、グレイトベアは?」



 それまでずっと黙っていた太一が、いきなり口を開いた。



「……それは熊ですね」



 実は、彼はこういった森の危険動物などにとても詳しい。

 森を1人でサバイバルしたり、野生動物と命がけの戦いをする妄想を繰り返ししていた時に、夢中になって調べていたからだ。


 という訳で、彼は早口でしゃべりだした。



「我々が住んでいる日本には2種類のクマが生息していて、主に北海道に住むヒグマは最大体長280センチメートル、最大体重780キログラム、走る速度は時速60km、人や家畜を襲うことで恐れられており、自分の獲物には驚くほどの執着を見せるため要注意で、弱点は顔なので、先制攻撃で眉間や鼻を狙うことがお勧めで……」



 太一の淀みなくあふれ出る熊知識に、パーティメンバーが

「ふ、ふうん……」

 と引いた顔をする。


 リリアが感心したように目を見開いた。



「すごいわね、ミナミダ。あなた詳しいのね!」

「え、あ、はい。自然界に生息する危険動物についてはずいぶん調べましたから」


 女子たちが「なんでそんなの調べてるの」と顔を引きつらせる中、

 まさかこの知識が役に立つと気が来るとは、と思いながら、太一が照れ笑いを浮かべる。


 リリアが真面目な顔で口を開いた。



「グレイトベアは、すぐに分かるくらい巨大な熊の魔獣だから、見掛けたら、すぐに逃げて。初心者のあなたたちには、とてもじゃないけど太刀打ちできないから」

「はーい! 分かりました」

「了解でーす!」



 4人のそんな会話を聞きながら、太一は思案に暮れた。

 初心者向けの森と聞いて、なんか死ぬチャンスとかなさそうだなと思っていたら、なかなかに筋が良さそうな魔獣がいるらしい。


(これは、やり方次第ではいけるのか……?)




 その後も、リリア先生の指導は続き、太一も何度か地球の危険動物の知識を披露する。


(なんか、思った以上にしゃべれたな)


 黙っているだけの暗い奴にならなかった、と胸を撫でおろす。


 と、こんな感じで、太一としては上手くやれたと思ったのだが、女子3人はそう思わなかったらしく、この説明会以降、3人との間に見えない壁のようなものができてしまった。


 そして今日、何となく居たたまれない感じで一緒に馬車に乗っている、という次第だ。




 * * *




 馬車の中で楽しげに話をする4人を横に座りながら、太一は内心ため息をついた。


 女子3人ともいい人だし大人なので、無視したり意地悪をしたりということはない。

 ちゃんと接してくれるし、親切にもしてくれる。


 でも、間にある透明の壁が高すぎて、どうにかできる気がしない。

 頼みの綱の中2病風ジョークも、今のところ滑りまくっている状況だ。



(やはりソロで動けるように、さっさと死ぬことを考えよう)



 サクッと死んで、サクッと強くなって、サクッとパーティを抜けて、ソロで魔王を倒して速攻帰ろう。


 太一がそんなことを考えていると、馬車が森の入口で止まった。

 降りて周囲を見回すと、前方には日本では見ないような深い森が広がっていた。

 中は昼間だと言うのに薄暗く、妖精や魔獣が住んでいそうな雰囲気がある。



(ファンタジーの森って感じだな)



 少しわくわくしていると、リリアが声を張り上げた。



「じゃあ、入って行きましょうか。まずは順番を決めるわよ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
太一…負けるな… がんばるんだぞ……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ