不思議な夢④-不思議な記憶
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これは夢だと直ぐに気づいた。
――小さな少女が私の目の前で、死んでいたからだ。病院のベッド……白い清潔なベッドの上で呼吸は無く、その小さな少女はただ、じっとしていた。
人形のようにも例えることが出来るだろうか、魂ここに在らず、死体とはそんなもので、――私が経験してきた中で言うのならば少女は――心臓はまだ、動いているようだが――紛れも反論も無い、死体と言える。
心電図の弱々しいリズムで鳴るアラーム、心臓の鼓動を可視化しているそれだけが唯一の、少女が生きている証拠のように思える。複数の管が繋がっているその身体は、もう動くことのないように思える。夜、カーテンが束ねられていた窓からは満月が見えた。
「………………」
少女の家族らしい、隣にいた父親と母親は、ぐぅたりとした表情で、硬いソファで布団もかけず身を寄せ合い寝ていた。
時計は深夜三時を示していた。
「………………」
なるほど少女は、病気か突然何かで倒れたかどうかしたかで――ここに運ばれているらしい。少女の家族の隣にある――何らかの同意書に、急性、という単語が頭についた少女の病名が書かれているから分かった。
その家族の顔を覗いてみると、赤い涙の跡が父親の方の目の下にあった。気の毒だなあと――思うのも束の間、私はその顔にぎょっとした。
死んだ、私の父親の顔だったのだ。




