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ヤツが来る⑨-めちゃくちゃ面倒な女
しかしここで気がついた。
ひとつだけ察した。
「あの……本……」
所在不明のダンボールの中にあった、やけに目立つ赤色をしていたあの本。
「引き金はあれ……ああね……」
曰く、夢魔が人の夢に入るにはいくつか条件があるらしい。あの怪しげな唐紅表紙の厚い本が、その条件を満たすためのピースなのだろう。
「正解〜です…綾さま……流石の記憶能力です……♪」
それが世辞なのか真の褒め言葉なのかはどーーおでも良いですが。
……いや、そもそもの話。
「……そもそも私はアホでしょう。敵対状態みたいな夢魔がいるのに全く無警戒だった私は………」
「ア、アホ…………?」
もうなんか、疲れた。
リーリスの顔すら見たくない。
「えっ……綾さまそんなところに寝転が…………」
「ええそうですアホです。馬鹿でもあるし間抜けでしょうな」
「綾さ…………ええ……?綾さま拗ねたんですか…………?」
「は?拗ねてねぇです。もう好きにして下さい。夢の中で夢魔に勝てる訳もないんですから。なんですか?なんならここで腹でも斬りましょうかええ?」
「は、ハラキリは……い…いけません……よ!」




