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自称、姉妹百合の女⑩+②-ようやく服を着る女


「小音ちゃんがお誘いに乗っていただけなかったのは残念です……が、あと一つ…私はやるべきことがあります……」

「これだけやっといてまだ、何かするつもりなんですか……?」


リーリスはようやく――真面目な口調で話しはじめる。


そしていつの間だろうか、彼女は服を着ていた。ぼろのスカートに黒いセーター、黒のコートを着用している。解かれていた長い髪も、短く結ばれていた。


「まず…ベスねえ様から吸精はしました……ねえ様の恩人にもお礼を言いました…そして……ここから、後はねえ様を…連れ出すだけ………………」

「………………ベスを、連れ出す…………?」


リーリスの口調は変わらない。


「ねえ様がこの場所を住処とするには…貴女達への大きな負担があるでしょう。…始祖の力を狙う不届きものも、実際に存在します。…ねえ様の危険……この国の吸血鬼程度ならば、私でも対処が可能ですし……」

「この夢魔と一緒に生活する方が危険やろ……?」


小音が限りないくらい小さい声で呟く。

うん、ベスの貞操は危険だ…………


「………………?何か?」

「なんでもあらへんよ、続けて?」


「……つまりベスには、ここよりもいい住み場所があるって言いたいのね?」


森さんが口を挟む。


「左様…私の簡易住居ならば、ねえ様本体の封印を解く研究をすることも可能です。実際に…ねえ様から吸精して分かりましたが……ねえ様の力は大幅に弱まっています。そこらの吸血鬼に劣るくらいに……。転生したねえ様が力を取り戻すならば…ねえ様が私の元にいらっしゃる方が効率がはるかに良い……」


確か……リーリスの語る通りだ。


吸血鬼としてのベスの力の弱さはかなりのもの。あの吸血鬼にベスが襲われていた時を考えれば。


あの少年の吸血鬼は、控えめに言っても弱い部類に入る。吸血鬼であるのに、ベスが自分の始祖――つまり先祖と見抜けていないことは……未熟の証明に他ならない。


そんな吸血鬼に――ベスは呆気もなくやられていた。



「そうですね…ベス。リーリスさんの言う通りです。ベスが力を取り戻すのなら…そう、すべきでしょう」

「………………」



「……ほんの少しの短い間でしたが…楽しかったですよ。ベスと一緒に過ごすのは…心から」

「綾…………」


だからそう、ベスに、私がかける言葉など決まっていた。

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