自称、姉妹百合の女②-種族間の違い
「ええ…エリザベス姉様は…私の唯一なる姉様であり…そして私はその唯一の妹。なのです…………♪」
なぜか言葉を弾ませている、女。思わずペースを合わせてしまうような、歩調を合わせてしまうような。
女の話すペースに、そんな独特の間があった。
「はあ…………?ということは……貴女、吸血鬼なんですか?姉妹関係兄弟関係のある吸血鬼、なんて聞いたこともないですが…………」
「…………………………」
ベスは、もはや女の腕から抜け出すことを諦めているらしい。ベスは静かにそこに横たわっている。数秒間の必死の抵抗むなしく。
「いえ…違います……。私は夢魔………リーリス…」
「は?夢魔?吸血鬼じゃなく?」
「ええ…私は正真正銘の夢魔……。人間ではなく、吸血鬼ではなく…私は夢魔……。そして…エリザベス姉様の妹…………なのです…………だからこそ、です。こうして…触れ合いをして……仲を高めあって……いるのです………………♪」
人間と犬の間で、子供ができるだろうか?
その問いに科学的な答えを出すことは私にはできない。しかし一般的な常識で語るならば、答えはこうなる。
不可能。
それくらいに吸血鬼と夢魔の種族というのは違う。
犬と人間の間に友情が成立した、なんて話はありふれていて、それは勿論のこと不可能ではない。しかし血縁関係を結ぶとなると、確実に無理。不可能。
可能、不可能可能。
不可能的可能可能的不可能………………
可能不可能、可能………………
「ちょっ!綾、頭から煙出とるで――!!」
「はっ」
「うふふ…ご理解……頂けましたね…………♪」
何も理解できなかった。この女、自分を客観的に見る能力が欠落しているのではないだろうか。側から見れば、ただの妹を名乗る変態女が幼女を襲っている絵面にしか見えない。
「綾……後で解説してやる……だからたすけて…………」
ベスの細々とした声が聞こえる。
「何から…助かるのです…………?姉様………………♪」
客観的に自分を見る能力に欠けるその女は、哀れなる幼女にそう言った。




