学校帰り買い食いしちゃう病⑥-見つけたら嬉しくなる個人経営の美味い店
放課後は歩いて帰る。私の家……雀猫まではそこまで遠くない。徒歩で数十分程度。
「今日は色々ある一日やったわあ」
「案内感謝するぞ、ありがとうな二人とも。あとは帰るだけじゃよな」
ふふふん。
「ど……どうした……?そんなかつてない笑顔をして……」
「きゅうけつきさん、まだですよ。まだ、一日は終わっていないのですよ」
「…………………………?」
「買い食いです。知ってますか?きゅうけつきさん。学校から解放された後の……食べ物もうまいことうまいことは……ほかにないのです」
「買い食い?漫画で見たことがあるような気がするが……」
「綾、ほんとに買い食い好きやねえ。今日はどこ行くん?」
どうしようか。今日は
「喫茶江戸川にしましょう!あそこのコーヒーは美味いですよ」
「喫茶……漫画のヒロインの家になりがちなアレのことか?」
「もっと他に覚え方なかったん?」
何気のない会話を交わしながら歩道を進む。喫茶店巡りは私の数少ない趣味だ。お金が翼を生やして飛んでゆくが、宵越しの銭は持たぬ主義なので私には関係ない。
「それはずぼらなだけやん」
「お前さん、やっぱり思ったよりずぼらよな……」
こう言うと、二人にそう言われた。
「3名様ですね、こちらの席にどうぞ」
鈴の鳴る木のドアを開けて中に入る。天井を見てもまぶしくないくらいの、丁度よく落ち着く照明が気に入っている。
適当なファッション雑誌を取り席についた。
きゅうけつきさんが隣、小音は向かいに座る。
雑誌を開けるときゅうけつきさんが覗いてきたので、テーブルに広げると彼女、興味深深といった具合に真剣にモデルさんを見つめている。メイド服を一から作ったりするあたり、ファッションが好きなのだろう。
注文をお伺いします、という声をかけて店員がやってきた。
私はブレンドコーヒーとモンブラン、きゅうけつきさんは私と一緒のものにして、小音は紅茶とコーヒーゼリー。
……チョイスが理解できない。
「一緒に二種類食べれてお得やん」
聞けば、と小音はいつも言うのだが。
小音は割とお喋りな方だと思う。私から話をかけることは少ないけれど、小音の話を聞くのはいつも楽しい。
「そーいえば、きゅうけつきさんのあだな、決めてへんかったな」
小音は、そんなことを言いだした。




