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第六十六話 グールの呪い

「ーーグール」


 リュトの呟きと共に現れた怪物は、しばらくその場でじっとしていた。


「ト、トロンの墓地でも出るって聞いたけど」


「町の中とダンジョンじゃあ、ヤバさが違う、犬と狼を見間違うこと以上にな、逃げるぞ」


 グールの顔がゆっくりとこちらを向いた。


(ヒイィィ! 気持ち悪いぃぃ!)


「グールは動きが遅い、この場を離れて距離を稼ぐよ。急ぎな」


 シェランさんの声を合図に4人は同時に走り出す。

 確かにグールは動きが遅く、私たちの方へ向かってきていたが、拍子抜けするほどあっさりと逃げれた。

 私は逃げる途中で、気になったことをリュトに聞いてみた。


「ねぇ、グールって倒せないの?」


「ダンジョンで倒すのはリスクが大きすぎるんだ。グールは呪いで動いているのは知っているか?」


 それは聞いたことがある。

 その呪いとグールの関係はこうだ。

 グール、つまり死体を動かすには動かそうとする対象がいる、バンパイヤや死霊使い(ネクロマンサー)などの術者が必要なのだ。

 その術者が死体に呪いとか呪詛と言われる魔力を組み込んだ術式を与えることで、術者の意のままに操ることが出来ると言われている。

 言われているという言い方をするのは、操ることが出来るまでの存在が、伝承の中にしかいないのだ。

 いまのグールは、術者として半端な者が中途半端な魔術を組み込んだ呪いで動いているのだ。

 つまり、いまのグールは術者に操つられていると言うわけではなく、勝手に動いているのだ。

 それで、そのグールの行動と言うと、動物の本能に近いらしい。


「ダンジョンでグールを倒すと、その呪いを引き継ぐことがある。というかほぼ引き継ぐんだ」


「どうゆうこと?」


「さあ? 倒した相手を呪うってことじゃないか? 呪いを受けるとたちまち死ぬわけじゃ無いけど、ダンジョン内で気分が悪くなったり、身体が動きにくくなったりすることになる」


 行き場を無くした魔力が身近な人間に取り込まれるのだろうか?

 だとしたらそうだろう、自分の体に他人が乗り込んで来て、勝手に身体を操作するようなものなのだ。

 気分が悪くなったり、身体が不調にならないのがおかしい。

 そんなことを考えていたが、リュトの話は続きがあった。


「それによって魔獣にやられたり、罠で命を落とすことになったら………」


「えっ、命を落とすって……… 話、続くの?」


 なんとなく………

 話を聞きたくないのだが、話題を持ちかけたが自分だから、聞かないわけにはいかない………

 

「今度は自分がグールになるんだ」


 やっぱり聞かなきゃよかった。


「えぇぇ! それは嫌ぁぁ!」


 理屈はなんとなく分かる。

 けど、絶対に認められない。


「ダンジョンを出て、陽の光を浴びれば呪いは消えるんだ。だから街ではそこまで大袈裟にならない」


 太陽の光は浄化の力があるってお爺さんが言ってたけど、これほど有り難い教えとは思っていなかった。


 ありがとう、お爺さん。

とりあえず……… 繋がっているかなあ?

伏線なんか回収出来る気がしませんので、置きませんw

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― 新着の感想 ―
[一言] グールーって、太陽の光で殺菌(菌じゃないか……)されるのね。紫外線すごい!
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