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第三十三話 魔力の器

 私は目の前の男の人を睨みつける。

 そうしなければ倒れてしまいそうだったから。


「お嬢さん、不安だろうがもう少しだけ付き合ってくれ」


 ギルドマスターのロイと言われた男の人は、ウインクしながらそう言った。

 そして立ち上がると少し私から離れる。


「ダレフ頼む」


 そのロイと呼ばれる人はドワーフに向かってそう言った。

 するとそのドワーフは私ではなく、リュトと魔法使いのシェランという女の人の方に身体を向け、そして女の人に向かって喋り出した。


「魔力を測れる魔法使いのオマエさんなら出来るじゃろう」


「ああん、なにがだ?」


「お主がワシらドワーフのスキルと思っとることじゃ。ワシの魔力を測ってみぃ」


 眉間にシワをよせ、怪訝な表情を浮かべながらシェランと言う女の魔法使いはダレフというドワーフに向かって、手をかざした。


「はん! 魔法なんぞろくに使えない理由がわかるよ。大した量じゃ無いね」

 

 すぐに女の人は悪態じみた言葉を投げかけたが、ドワーフの方は気にした様子は無い。


「見えたか。では次にお主の魔力をワシのと重ねてみぃ。ごく少量で良いワシに魔力を与えるつもりでな」


 最初は渋々といった感じだった女の人は、しばらくすると驚いた表情を浮かべる。


「魔力以外の包み込んでいるようなモノが見えたか? それが器じゃ。魔力を貯めるための器。エールを注いだジョッキを連想してみぃ。エールが魔力ならジョッキが器じゃ。ワシらドワーフは魔力こそ少ないが、妖精族である故に人より大きく分かりやすい」


 え? え? なにそれ、初めて聞くんですけど。

 そんなことオババからもお爺さんからも聞いたことがない。

 そんな事を思っているとドワーフは私の方を向いた。

(ビクゥッ!!)

 思わず反応してしまった。

 そのドワーフは静かにジッと私を見る。


「安心して欲しい。悪いようにはせん」


 そう言うとドワーフは続けて言った。


「シェランといったか? ではこの娘の魔力の器を見てみぃ」


 女の人は私に向かって手をかざす。

 すると何か私の体の中に入り込んできた感覚を覚えた。

 これがあの人の魔力なんだろう、どこかチクチクしててくすぐったくも似た感覚が走る。

 笑ってしまいそうだ。

 思わず顔がニヤけてしまう。

 そんな私の表情に反して、女魔法使いの表情は驚愕といったものを浮かべている事に気づいた。


「あ、ありえない」


 震えながら女魔法使いが言う。

 その言葉にドワーフが続けた。


「わかったか? これがワシがこの娘に気をかける理由じゃ。この娘の器、底が見えん」


うーん

今後の展開、悩むなぁ

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