~第三幕~ 「早乙女 大好の章」其の壱
俺の名前は、早乙女大好。
成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能、おまけに家は金持ちと来たもんだ。
そんな俺は学校では常に成績上位で女性にはモテ、何不自由無い高校生活を送っていた。……その筈だった。
……しかし俺達は突如、不可思議な現象に巻き込まれ。異次元の学校へと閉じ込められてしまう。
「だが天才である、この俺は二択を全て正解し。……絶対に、生き残る自信がある!」
俺はポーズを決めながら、鏡に向かってそう叫んだ。
……俺は普段、常にクールに。そしてスタイリッシュに!!
──それがこの俺、早乙女大好だ。
「二択鬼め、何時でもかかってくるんだな!……二択如きで、屈する俺だと思うなよ!!」
俺はスタイリッシュにポーズを決め、トイレを後にした。
「では、問題です。」
──!?
突如、奴は俺の目の前に現れた。
しかし何ら問題は無い、二択如きで……。五十パーセント如きで、この俺に勝てると思うなよ!!
俺は眼鏡をくいっと上げ、ポーズを決める。
──だが、その前に俺にはやる事があった。
「お前、時給780円なんだろ?俺に、時給二千円で雇われる気は無いか?」
…………。
「……え?二千円!?」
滅茶苦茶驚き戸惑い、挙動不審者の様に。急にそわそわと、し始める二択鬼〈ギルティ〉。
「そうだ、二千円出そう。」
──キリッ。
「……え?本当!?マジ?」
「マジだ。」
滅茶苦茶にこにこし、挙動不審にくねくねと踊り出す二択鬼〈ギルティ〉。
「……で、でもさ。僕達妖怪のお金と、君達人間のお金とは違うんだよね。」
「……そうなのか?」
……何だ違うのか、それは残念だ。
「うん、こうゆうお札なんだよー。福沢諭吉先生のお札なんだー、凄く偉い人なんだよ。」
「諭吉じゃねーか!!」
何で、妖怪が日本円使ってんだよ!!あれか、いちいち日本の銀行で下ろしてるのか?妖怪の世界、一体どーなってるんだ?
──バン!!
俺は財布の中の札束を全て出し、床にばら蒔いた。
「二百万ある。これで俺達に付いて、クラス全員を助けるんだ。」
──キリッ。
「……はわ、はわわわわわわ。」
二択鬼〈ギルティ〉は見た事も無い大金を前にして、小刻みにぷるぷると震えていた。
「……俺に従え!!」
俺は眼鏡をくいっと上げ、奴を跪かせた。
「イエス、マイロード!!」
──勝った!!
俺達の戦いは終わった。流石俺。 一人の犠牲も出さずに勝利をもたらした俺は、クラスの英雄では無いだろうか。
……俺は眼鏡をくいっと上げ、眼鏡を光らせニヤリと笑った。
『二択鬼〈ギルティ〉完!!』
──次回、第五話。「早乙女死す!!」にご期待下さい。
仁科択一、一問正解。
猛虎大河、一問正解。




