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二択鬼〈ギルティ〉  作者: 魔神


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3/7

~第二幕~ 「猛虎 大河の章」

俺の名前は、猛虎大河(たけとらたいが)

俺達は、とりあえずクラスの皆と一緒に。外に出られないかと、校門の外を確認しに行ってみたのだが。

……やはり、出れそうに無いらしい。

「……一体ここは、何処なんだ?」


崖の下は、真っ暗闇で見ることが出来なかった。……恐らく、降りるのは不可能だろう。


それに──。

俺は振り返って、校舎を確認する。

「…………。」

──二択鬼〈ギルティ〉。

俺達は一体、どんな問題を出されると言うのだろうか。

……正直、俺はあまり勉強が得意な方では無い。例え五十パーセントと言えど、難易度の高い問題なら解くことは難しいだろう。


「運動なら、得意なんだがな……。」

俺は運動神経には自信があった。俺は運動部のエースで、今年は全国を目指し頑張っている。

……だから、こんな所で死ぬ訳にはいかない。

「……俺はメジャーに、なってやる。」

宇宙空間の渦の様な外を見つめながら。……俺は、そう心に誓った。


──グルル。

しかし、先程から何故か滅茶苦茶お腹の調子が悪い様だ。俺はすぐに校舎の中に入り、トイレの中に駆け込む。


──ガチャリ。

「ギルティー。」


──そこに()は居た。二択の鬼〈ギルティ〉が。

「ギルティー。では、問題だ……。」

奴は俺に顔を近付け、そう言い放った。


──だが。

「今は、それ所じゃねぇんだよ!!」

──びくっ!?

俺の死の瀬戸際かつ、烈覇の気迫に気圧され。びくっ、となる二択鬼〈ギルティ〉。

「今、俺を止めてみろ。……ここは、地獄と化すぜ!」


──キィィィィ。

奴はしょんぼりしながら、ゆっくりと扉を閉め。……そして、引っ込んだ。


──じゃぱー。

「……では、問題だ。」

トイレを済ませ念入りに手を洗った後、外に出る俺を奴は待ち構えていた。


「……待たせたな、それじゃあ始めようか。」

俺は覚悟を決め、奴に挑む決意を固めた。

──俺と奴の命を賭けた勝負が今、始まる。

奴はカタカタと小刻みに震えながら、死の二択を俺に突き付けてきた。


「"阪神"と"巨人"、どっちが好き?」


…………。

「……は?」

……何だ、その問題は!?

「ねぇ、どっち?どっち?」


俺は──。


……野球に全く興味が無かった。どうしよう、滅茶苦茶どうでもいい問題が来てしまった。

俺、野球なんか大○とイチ○ーしか知らないし……。

「……ねぇ、どっち?どっち?」

……わくわく。


一秒も興味無ぇ……。仕方がないので俺は運を天に任せ、テキトーに答える事にした。


「じゃあ、阪神で。」


「…………。」

「…………。」


……?

「……今、阪神と言ったか?」

「ああ……そうだけど?」

──ばっ。


「……友よ!」

二択鬼〈ギルティ〉は俺に抱き付き、涙を流し始めた。

「お前は、心の友だ!同志よ!!」

「…………。」

「お前は、この戦い必ず生き残れ!そして再び会おう!……甲子園でな!!」

──キリッ!

「…………。」


……何だろう、滅茶苦茶どうでも良かった。心底、どうでも良かった。そもそもサッカー部なんだよなぁ、俺。

……てか、その格好で甲子園行く気か?正気か!?貴様。


……その後、三時間もの間。俺は1985年の阪神タイガース優勝の話を長々と聞かされる事となった。

……俺は心身共に疲れ果てていた。

「腹減ったな、こんなのが後九回も続くのか。……参ったな。てか、腹減ったな。」


「……ただいま。」

俺はクラスの皆に囲まれ、一連の流れを説明した。

「……で?お前は何と、答えたんだ?」

「んー、阪神。」


──ぴしっ。

その瞬間、空気は張り詰めた空気へと変わった。


「……どうやらお前は、敵らしいな。」

「友達だと、信じていたのに……酷い。」


……え?何、この空気。……いや別に俺、野球とか興味無いんだけど……。

……あれ?


──その日、何故か俺はクラスの大半を敵に回した。

仁科択一(にしなたくかず)、一問正解。

猛虎大河(たけとらたいが)、一問正解。

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― 新着の感想 ―
猛虎大河…もう名前がタイガースやーんwもうこ、タイガー、えぇ〜w でも、僕もどっちかと聞かれるとタイガースですけども…でも野球は見ないんですが…
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