~第九幕~ 「美星 味子の章」其の弐
私の名前は、美星味子。
……何だか知らない内に、私は二択を八問も正解していたみたい。
友達が言うには……。私は料理を作りながら、ずっと一人で二択鬼〈ギルティ〉と話をしていたみたいなんだけど……。
ちょっと、教えてくれても良いんじゃないかなー?
「……まぁ、いいかぁ。」
──ジュウジュウ♪
今日も私は得意な料理で、クラス全員の料理を作っていた。
──シャカシャカ♪
手際良く、どんどん完成していく料理達……。
「……ねえ味子、火の呼○と水の○吸。どっちが好き?」
──!?
「……えっ!?」
私は驚いて、すぐに振り向いた。……まさか、また二択鬼〈ギルティ〉が!?
「……どうしたの、味子?」
クラスメイトだった……。もー、驚かさないでよー。
「炎の呼○って言わないと、○獄さんに怒られるよ?」
「あっ、そっかー。」
……いや、私も考え過ぎなのかも知れないね。
──サクサク♪トントントン♪
素早い動きで、タイミング良く野菜を微塵切りにしていく私。
……後はー。
「味子はさぁ、"ベルゼバブ"と"ベルゼブブ"どっち派なの?」
──!?
私はまたもや驚き、声のする方に振り向く。
またクラスメイトだった……。考え過ぎなのかな?……私。そうだよね、そんなに私ばっかり狙われないよね。
「……ベルゼバブかなー?本とかでは、だいたいこっちだよね。ゲームとかでは、ベルゼブブの方が多いよね。」
私の気にしすぎだったみたい……。気を取り直して料理に集中するぞっ、おー♪
「次は、何を作ろうかなー?」
お肉かなー?お魚かなー?
「ねえねえ。"田分け"って最初は"褒め言葉"?それとも、最初は"悪口"だった?ねえ、どっち??」
またクラスメイトだろう……。私は料理を作りながら、適当に話を合わせる。
「最初から悪口だよ。褒め言葉はねぇ、"頼り"田寄りって書くの。」
「ラーメン鉢の模様は、何処の国の模様か知ってる?"ギリシャ"?それとも"中国"?……どっち?」
「ギリシャの、メアンドロス模様だよ。」
──────────。
──私が、そう答えた瞬間。
突如、目の前が真っ白に消え失せ……。私は宇宙空間の様な場所を漂っていた。
「……え?ここ何処?……私、一体どうなったの?」
……眩しい。……とても目映い光が、私の全身を包み込んでゆく。
「……え?」
気が付いた時には、私は教室の中に。ポツンと一人だけ立っていた。
──!?
「えっ、外が見えるっ!?」
学校の外には沢山の人だかりが出来ていた。警察や報道機関、それと他の生徒の保護者達だろうか……。その中で一人、見覚えのある人物の姿が私の目に入った瞬間……。
──私は、急いで走り出していた。
「お母さん!!」
「味子!!」
私は母の胸に飛び付いた。
「……良かった、味子が無事で。」
私が無事だった事を知り。周りの保護者達が、私目掛けて一斉に話し掛けてくる。
「───────────。」
「───────────。」
「───────────。」
皆、自分達の子供が心配なのだろう。親御さん達に一斉に話し掛けられた私の頭は、既にパニック状態へと陥っていた。
──!?
……あれ?
そんな中。私は、その言葉の中の一つから強烈な違和感を覚えていた。
『ねえ、家の子は一緒じゃないの?』
『君一人なのかい?他の生徒達は?』
『他の生徒は?まだ四十八人の生徒が、依然として行方不明のままなんだよ。』
……四十八人?
私が強烈な違和感を覚えたのは、その言葉だった。それも、その筈なのである。
だって私のクラスには……。
──四十九人しか居ないのだ。
私はその事を思いだし、背筋に寒気が走りゾッとした。あの校舎の中では、確かに五十人居たのである。
……そして、私は思い出す。その中でたった一人、見ず知らずの女子生徒の存在を……。
「あの女子生徒は、一体誰だったの?お願い皆、無事に帰って来て……。」
……皆が無事に帰ってくる様にと、私は祈る事しか出来なかった。
〈男子生徒〉
仁科択一、一問正解。
猛虎大河、一問正解。
早乙女大好、一問正解。〈社会的に死亡。〉
錬金術師、一問不正解。〈勘のいいガキだった為、死亡。〉
一津凪、一問不正解。〈夢が潰えてしまった為、死亡。〉
零史州人、一問不正解。〈中に人など居ない為、死亡。〉
〈女子生徒〉
美星味子、十問正解。〈無事生還、多分エスパー。〉
〈妖怪枠〉
二択鬼〈ギルティー〉、一問不正解。〈メンマを割り箸と思っていた為、死亡。ただし、不死身なのでセーフだが。……時給二十円、減給処分〉




