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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第三章 地獄の鬼たちと新たな希望
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第12話 希望は集う


 俺とアイリーンさんは、ダンジョン統括省が手配した専用の航空機で、スタンピード発生現場へ向かっていたはずだったんだ……


 アイリーンさんと並んで座席に座り、無事に空港から離陸したと思ったその直後だった。

 突然、機内に紫色の光が迸ったかと思うと、いつの間にか目の前に綺麗な女性が立っていた。


 いや、自分でも何を言っているのかわからないかもしれないが、事実そうだったんだ。


 突如として出現した謎の美女の存在に、俺たちはもちろん、機内の関係者一同が騒然とし始めたその時、彼女が口を開いた。

 

 「はじめまして……突然のご無礼、申し訳ございません。私はリゼルと申します。あなた方の言葉で『紫光』という光を司る者です」


 それは、とても落ち着いた口調だったが、内容自体はすぐに飲み込めるようなものではなく、その場にいる者は総じて驚いていた。

 俺やかすみさんはもちろん、隣にいたアイリーンさんまでもが、口をポカンと開け事態を把握しきれていなかったのが印象的だった。


 そうして、その場の全員が次のリアクションに困り、数秒ではあるが気まずい沈黙が流れる。

 この重苦しい沈黙をどうにか打破しなければ、俺は次の言葉をどうするべきか、脳みそをフル回転させて考えていたが……


 「ということは、今まで目撃されていた数々の『紫光』という現象は、全てあなたが起こしている、ということでしょうか?」


 沈黙を破ったのは、アイリーンさんだった。

 あのフリーズをわずか数秒で解消してしまうあたり、やはり彼女はただ者では無い。

 さすがは俺の相棒だな。

 ……なんて感心している場合じゃないな、いやまじで。


 「如何にも、今まであなた方の世界で起こってきた『紫光』と言われるものは、全て私が引き起こしてきたものに相違ありません」


 「……それは一体何が目的なの?第一にあなたは一体何者なのかしら?」


 次にフリーズから無事に復帰することに成功した、かすみさんが会話に加わってきた。

 

 「はい、目的は……私に課された使命だとしか……私の正体も、今は明かせません」


 「かなり抽象的な答えね……それでこっちが納得できるとでも?」


 「申し訳ありませんが今はそれで納得頂くしかありません、しかし、いつの日か必ず全てを明らかにさせて頂くつもりではあります……それに、今は時間がありませんので」


 「時間?……それはスタンピードのこと?」


 「はい、既に『統率者』である『修羅皇・大凶丸』が外に出ています。私の仲間が助けに向かいましたが、現地の冒険者では抑えきれない可能性が高いです。一刻も早く、さらなる戦力を現地に送り込まないと危険です」


 「なるほど……それがあなたがここに現れた目的ってわけね」


 リゼルと名乗る女性は、どうやら戦力の確保のためにここに出現したということらしい。

 そうか、戦力の確保か。

 ……うん、戦力ってひょっとして。


 「というわけで、アイリーンさんと草薙ハヤトさんは、今すぐ私の力で現地へ飛んで欲しいのです」


 ほら来たー!

 やっぱりだよね、いやそう来ると思ったんだよね。

 飛行機で向かうだけでもしんどかったのに、そっからさらなるショートカットが待ってるんだもんなー。

 いや、参ったなぁ。


 「そうね、それが可能ならむしろその方が有難いわ。こちらも、この二人には今すぐにでも現地へ行ってもらいたいと考えていたのだから……」


 かすみさんも、既にその気になってるじゃん。

 ということは、隣のアイリーンさんも……


 「リゼルさんと言いましたか?それではお願いします。今すぐにでも……スタンピードの現場へ私たちを送ってください」


 それはそうだわ。

 さすがアイリーンさんだわ。

 俺と違ってそういう時のモチベーションの高さは文句無しだもんね。


 というわけで、俺の回答も一つしかないよねこれ。


 「ハヤトさん!さあ行きましょう!」


 「はい!望むところです!」


 よっしゃ、バッチ来い!

 こうなったらやってやっかんな!


 「ご協力感謝します。それでは私の『紫光』であなた方を現地へ送りますので……よろしくお願いします」


 「リゼルさんも一緒に行かないんですか?」


 「はい、私はもう少し他に行かなければならないところがありますので、それが終わったらすぐに私も向かいます」


 他に行くところだって?

 俺たちみたいに、他に戦力として呼びに行く人たちでもいるのかな?


 リゼルさんが杖を頭上に掲げると、機内に再び紫色の光が迸り始める。


 「さあ、お二人とも準備をお願いします。一瞬で現地に到着しますので、気を付けて下さい」


 そう言われて、俺とアイリーンさんは慌てて準備を整える。

 装備やアイテムを確認し、万全の状態になったところで、リゼルさんに合図を送ると、彼女は大きく頷き……


 「それでは……よろしくお願いします。人々の未来を……あなた方に託しますので!」


 同時に俺の視界が紫色に染まる。


 次に気が付いた時には、目の前に凄まじい量の鬼たちがいる状態だった。


 後ろからは聞き慣れたセイラさんたちの声が聞こえるような気がする。


 本当に待ったなしだな。

 こうなったらとことん……やってやっかんな!


 

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