第37話 特典報酬と新たなグランドダンジョン
これでやっと……第二章が終わる。
ちょっと仕事が忙しくて更新が遅れましたが、第三章へ繋がる部分もありますので、御楽しみ頂ければ有難いです。
よろしくお願いします!
『それでは、これから「海魂の冥穴」踏破者に特典報酬の贈呈に入ります!』
アトランティカ戦を終えた瞬間、ボスフロアにダンジョン踏破のアナウンスが響き渡った。
『踏破者:アイリーン・スカーレット』
獲得経験値 3000000 ※レベル上限に達しているため、蓄積されます。
獲得金額 50000000円
獲得アイテム 【邪海龍の魂珠】 【ラストエリクサー】×3
『踏破者:草薙ハヤト』
獲得経験値 3000000 ※獲得経験値によりレベル22⇒レベル42
獲得金額 50000000円
獲得アイテム 【邪海龍の心臓】 【ラストエリクサー】×3
……基本的には、【深淵の回廊】と同等の報酬だったみたいだ。
獲得できた経験値や金額は全く同じ、これはSランクダンジョンということで固定されているのだろう。
他には獲得できたのはラストエリクサーともう一つ、【邪海龍の心臓】というなんだか物騒な名前のアイテムを入手してしまった。
見た目は手の平サイズの宝石のようだが、常に青紫色の光を放ち続けている。
間違いなくアトランティカと関連したものだろうが、その効果はどのようなものなんだろう?
早速、端末を使用して確認をしてみることにした。
【邪海龍の心臓】……邪海龍・アトランティカの生命の根幹を宿す神器。身に付けている時に、致命傷を受けたとしても、水に触れることで完全に再生させることが可能となる。ただし、その効果は一日に一度のみとなる。
……おお、あのアトランティカの再生能力を使用可能になる神器なのか。
回数は一日一度のみになってしまってはいるが、それでもかなりの効果が見込めるのは間違いない。
アイリーンさんも、【邪海龍の魂珠】なんてアイテムを入手しているようだ。
これは一体どんな効果があるんだろうか?
また今度聞いてみようかな。
「アイリーンさん、お疲れ様でした」
「ハヤトさん、お疲れ様です。今回は大活躍でしたね」
「いえいえ、結局止めをさしたのはアイリーンさんだったし、別に僕は大したことはしてませんよ」
「そんなことないですよ。今回は間違いなくハヤトさんがいなければ勝てませんでした。本当に凄く強くなったと思います」
「そう言ってもらえると……嬉しいですね」
屈託のない笑顔と共に受け取ることができた賛辞の言葉に、ただただ嬉しい気持ちがこみ上げてくる。
配信だけじゃなくて、戦闘で彼女の手助けができたという事実。
今までも自分なりには頑張ったつもりだが、どこかで自分がいなくてもアイリーンさんだけでなんとかなってしまったんじゃないだろうか?という気持ちがあった。
しかし、今回はアイリーンさん直々に御礼まで言ってもらえた。
これまで生きてきて本当に良かった。
……そんなことを考えてしまう程に、彼女から言われた言葉は心の底から嬉しかった。
『それでは、今回Sランクダンジョン『海魂の冥穴』が踏破されたことにより、グランドダンジョン『鬼皇の死都』が解放されます』
そこに、新たなグランドダンジョン開放のアナウンスが入る。
次のグランドダンジョンの名前は『鬼皇の死都』らしい。
何とも物騒な名前に少しゾッとしたものを感じる。
『それでは今から踏破者を地上に転送させて頂きます。お疲れ様でした!』
そうして、俺とアイリーンさんは地上に転送されていった。
Sランクダンジョン『海魂の冥穴』への挑戦は……
かなりの苦戦を強いられながらも、無事に踏破という結果で終わりを告げた。
◆
――そして、それと同時に一斉に動き出す者たちがいた。
「いいか!グランドダンジョンの出現場所を速やかに特定するんだ!特定が出来次第、即座に冒険者を派遣するぞ!」
「はっ!」
「……長官、報告がありました!新たなグランドダンジョンの出現を確認したとのことです!」
「よし!……場所はどこだ!?」
「場所は……富士山麓……樹海一帯だそうです!」
「そんなところに……すぐに軍を派遣。前回同様に周辺を規制の上、冒険者の派遣を手配するんだ」
「派遣する冒険者は、手筈通りで大丈夫でしょうか?」
「ああ、問題ない。Sランク冒険者、星羅・バーンシュタインと轟清十郎を、速やかに向かわせろ!」
「はっ!」
ここはダンジョン統括省本部。
『黄牙団』の襲撃の爪痕は未だ色濃く残ってはいるが、職員たちの不眠不休の対応により、その機能はほとんど元に戻りつつあった。
今回のグランドダンジョンは日本では四箇所目となり、世界的に見てもかなり多い。
そのため、他国からの介入が予測されるため、できる限り迅速に踏破しなければならない。
Sランクダンジョン『海魂の冥穴』へSランク冒険者であるアイリーン・スカーレットを向かわせ速やかに踏破。
そして、その踏破後に出現したグランドダンジョンの位置を、ダンジョン統括省の情報網をフル活用し、迅速に特定。
そこへもう一人のSランク冒険者である星羅・バーンシュタインが最速で踏破する。
そこで入手できるであろう最高位神器は、相棒である轟清十郎が受け取る。
これがダンジョン統括省と冒険者ギルドが描いた計画であった。
そしてその計画は、現在のところは概ね思惑通りに進行している。
日本のどこに出現してもすぐに対応可能なように待機していた『蒼氷の聖女』星羅・バーンシュタインが満を持して動き始める。
グランドダンジョン『鬼皇の死都』を舞台とする新たな激闘が始まろうとしていたが……
これが日本全体を震撼させる大事件へと発展しようとしていることは……
未だに誰も知る由はなかった。
次回、第二章エピローグです!
新たなグランドダンジョンの攻略は、第三章にて描かれる予定です。
エピローグ、掲示板回と続く予定ですので、お楽しみに!
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