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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第二章 集う宿星たち
80/118

第36話 神域の魔法

なんとこの作品が、昨日まで注目度ランキング1位にランクインされていたようです!


驚きと感動で震えています!


新たにこの作品を読んで頂ける方も増えているようで……

皆様には感謝の気持ちしかありません( ;∀;)


これからもよろしくお願いします!


 その時、俺は海面へ向かって一直線に落下していったが……


 落下しながらも、視線は確実にアイリーンさんを捉えていた。

 俺が必死で稼いだ三分間で準備を終えた彼女の最後の攻撃を放とうしてるその姿は……


 雄々しく、そしてこれ以上無いほどに心強かった。


 『使用魔法へ全MPを注入……完了。最終セーフティ……解除。全準備完了……行きますよ!ハヤトさん!』


 アイリーンさんが全ての準備を終えたことを、俺に報告してくれる。


 当の俺は、七分……つまりセプテントリオンを覚醒状態で使用可能な時間を過ぎてしまった反動で、体が鉛のように重くなってしまった。


 ……あいたぁ。制限時間を過ぎると、反動でこんな状態になっちまうのか。

 まぁ、体は最低限、動かせるみたいだから、このまま海に落ちても溺れることはないか。


 なんて、生々しいことを考えていると……


 『魔炎帝、エクスイフリート!あなたの力も、全てこちらに捧げなさい!』


 彼女の目前に杖が出現し、濃密な赤黒い光を放ち始める。


 そこへ手を添えると、先端にその光が集束していく。

 さらには、彼女の周囲に幾重にも展開していた魔法陣からも、様々な色の光が杖の先端へ集まられていき、ついには魔神形態が解除されてしまった。

 これは、魔神の姿を保っていられないほどのエネルギーを全て杖の先端へ集めているということだろうか。


 ――最終的に形成されたのは一塊の火球。

 手のひら程度のサイズではあるが、その火球の内部には莫大なエネルギーが注がれているのがわかる。

 

 すげえな、あの火球。

 下手したら『星崩』レベルの威力まで持ってそうじゃないか。

 あんなのを自力で作っちまうなんて、


 やっぱりアイリーンさんは凄いよなぁ……


 〈とうとう、アイリーンさんの最強の攻撃が見れるのか〉

 〈ぱっと見、ただのファイアボールに見えるけど〉

 〈馬鹿wあれがそう見えるのだとしたら節穴として言いようがないw〉

 〈うん、俺も上級の魔導士だけど……あれは無理。俺の命を掛けてもあんなのは使えないな〉

 〈へえ……やっぱりあれは相当やばいんだねぇ〉

 〈ああ、ていうかあんなのを単独で作り出せる人間がこの世にいていいのか?ってレベル〉

 〈そんなのもはや神じゃんw〉

 〈いや、だからそういう話なんだって!〉


 なんかコメント欄も少し荒れているように見える。

 まあ、あんなのを見てしまったら無理もないかもしれない。

 それだけのポテンシャルをあの火球は秘めているのだから。


 そして、とうとうアイリーンさんがその火球を放つ。


 『神域魔法……【獄炎臨界砲オメガフレア・オーバードライブ】……発射!』


 杖の先端に浮遊していた火球は、未だ上空で落下中のアトランティカへ向けて撃ち出された。

 

 その火球は、とても静かに、しかし凄まじい速度で標的へ目掛けて飛んでいく。


 当のアトランティカは、地上から迫りくるものが、どのような威力を秘めているのかを、何となく理解してしまったのだろう。

 何とか力を振り絞り、その火球から距離を取るためにさらに上空へ逃れようとするが……


 その抵抗も、僅かな時間で終わりを告げる。

 

 迫りくる火球が放つ高熱を感じ取ったのか、地上へ振り向けば目と鼻の先にまで火球は近付いていた。


 アイリーンさんが放った火球は着弾した瞬間、その大熱量を周囲に解放した。


 『ギャギャギャ!?ァぁぁ…………』

 

 火球が着弾した地点……つまり、アトランティカの周囲が局所的に一気に加熱され、大気がプラズマ化し測定が困難なほどの大熱量が発生する。

 その結果、一瞬のアトランティカの断末魔のようなものが聞こえたかと思ったが、すぐに何も聞こえなくなり、その体は瞬時に炭化し端部から蒸発していく。


 しかし、その火球はそれだけでは終わらなかった。

 アイリーンさんの全ての魔力、そして幾重にも重ねられ合成された極大魔法、それら全てを『大賢者』のスキルを最大限に活用し、その効果を極限まで増幅させた魔法がその程度であるわけがなかった。


 そこから、その魔法の真の威力が発揮される。

 火球の着弾地点で煌々と輝きを放っていたプラズマの中心点から、別種の魔力が解放されたようだ。

 巨大な火柱が、まるで生きているかのように縦長の形状を作り上げていく。

 その中心には、もはや燃えカスのようなアトランティカの姿が、何とか視認できる状態だ。

 

 やがて、その火球は最後の魔力を解放する。

 それは恐らく『魔炎帝・エクスイフリート』の地獄の炎。

 赤黒い炎が横長の形状で先ほど出現した火柱と交差する形で形成されていく。


 凄まじい火柱と、赤黒い地獄の炎で形成された十字架の中心部でプラズマが輝きを放ち続けるその光景は、とても綺麗であり、地獄のようだった。


 そしてその中心部にいるはずのアトランティカの姿は……


 もはや、全く確認できなくなっていた。


 こんな状態で消滅せずに生き残れる生物は存在しないだろう。

 そう思えるほどに凄まじい光景が目の前で繰り広げられていた。


 俺はさっき、あの火球をまるで『星崩』レベルと想像したが……

 本当に『星崩』と同等、あるいはそれ以上かもしれない。


 そんな光景を一介の冒険者が単独で作り出せるという事実に、俺を含めた全ての冒険者、そしてこの配信を見ている視聴者たちは畏怖を覚えるに違いない。

 

 〈いや、アイリーンさん……やばすぎねぇ?〉

 〈うん、すごいんだけどさぁ……〉

 〈人外すぎてちょっと引いちゃったかも……〉

 〈ええ、私も……〉

 〈いやいや!何その反応?すごかったじゃん!〉

 〈そうだぞ!『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』のファンの風上にも置けない奴らだな!〉

 〈いやまぁ、そうなんだけどさ……〉

 〈目の前の光景が恐ろしすぎてちょっと怖くなっちゃったんだ……〉

 〈うん、俺も〉

 〈ええええ……私は逆に感動したけど!?アイリーンさん凄すぎ!〉

 〈実は俺もちょっと怖くなったな……〉


 現に、視聴者たちのコメントの中にも、恐怖を感じているコメントが散見され始めている。

 それは、純粋にアイリーンさんの強さに感動していた今までのものとは、少し違ったニュアンスを含むものだった。

 いやぁ、まあ想像はできていたが……さて、どうしたもんか。


 これに関しては、配信している俺の責任の範疇。

 これらの対応は俺の仕事だ。

 

 さて、これはこれで忙しくなりそうだよな……


 俺は改めて『紅蓮の魔女』の相棒でいることの責任の重さを噛みしめながら……

 

 

 強敵『邪海龍・アトランティカ』が葬り去られた後も、眩い光を放ち続けている空を眺め続けていた。


アトランティカ戦、決着!


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― 新着の感想 ―
こんばんは。 漸くケリが付きましたねアトランティカ…!! ハヤトと七星剣の真の覚醒など、戦闘中に起きたイベントのどれか一つでも欠けてたら確実に負けてたヤバい戦いでしたなぁ。
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