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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第二章 集う宿星たち
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第31話 真の七星剣

ちょっと忙しすぎて更新遅れてしまいました……


今回、ちょっと今までとは違うアプローチの話になったと思います。


もしよろしければ感想など頂ければ嬉しいです!


 ――ここは、どこだ?


 俺は確か、ダンジョンのボスフロアでアトランティカと戦っていたはずだ……

 しかし、俺が立っているここは、さっきまでいたはずのボスフロアとは全く違う場所だった。


 周囲を観察すると、少し見覚えがあるような気がする。


 ただっ広い空間の上空には宇宙空間のような星空が浮かんでいる。

 地面にはびっしりと綺麗な石畳が敷き詰められており、地平線の果てまで続いているようだ。


 ……いや、この光景は見覚えがあるぞ。


 確かここは……グランドダンジョンの……

 目の前の光景が、つい先日踏破することに成功したグランドダンジョン『星崩の大魔宮』の内部と全く同じだということに気付く。

 

 『やっと来たな、待っていたぞ』


 それと同時に、後ろから声が掛けられた。


 振り向けばそこには一人の男性の姿があった。

 大柄な体格に真紅の髪を逆立てた険しい顔つきの男が腕を組みながら立っている。


 「お前は……」

 

 『ふん……やっと我のことを呼んだと思ったら腑抜けた面をしおって……』


 その男の顔にはもちろん見覚えがある。

 グランドダンジョン『星崩の大魔宮』のボス……『セプテントリオン・アルカイド』だ。

 ただ、その姿は以前と少し違うような印象を受けた。

 険しい表情はそのままだが、何というかこちらに向けられた敵意や威圧感が和らいでいるような気がする。


 「なんで、お前が?それに、ここは一体……」

 

 『ここは、七星剣の中に存在する空間……そこにお前の精神のみを迎え入れている状態だ』


 ……そうなのか!?

 確かに……それならば現状にも説明がつく。


 「………………」


 『グダグダと悩んでいる暇はないぞ。そろそろ本題に入っても良いのか?』


 「……ん?あ、ああ、悪かった。……でも本題って?」


 『七星剣の全ての能力解放に伴う、覚醒についてだ』


 覚醒って一体何のことだ……って、ああ!


 アルカイドの言葉に、いつか見た七星剣の鑑定結果の一文を思い出す。

 確か鑑定結果にはこう書かれていたはずだ。

 

 【七つの星に封印された能力を自在に使用することが可能。それら全てが解放された時に真価が発揮されるであろう】


 ……七つの星に封印された能力というのは、セプテントリオンで使用可能な七つの能力のことだろう。

 そして、その能力の全てを使用することが出来た時にはセプテントリオンの真の力が覚醒するということに違いない。


 『ふん……やっと理解したか』


 「ああ、わかった……でも、真の力が覚醒って、一体どんな力なんだ?」


 『それは、使用してみてのお楽しみだ。……何、どんな力かは使えばすぐに理解できるはずだ』


 「そうなのか、でもそれならセプテントリオンを入手してすぐに七つの能力を使用しておけば良かったな」


 『……それは考えが安易すぎるな。今回、我が力を貸すのはお前がその資格を得たからにすぎん……以前のお前が我の能力を使用したとしても、力を貸すつもりなど毛頭なかったわ』


 ……なんですと?


 「そうなのか!?……ていうか、以前の俺と今の俺の違いは何なんだ?」


 『そんなことも我が説明せねばならんのか?それくらいは自分で理解して欲しいものだが……』


 「いや、それはそうなんだが……自分ではあんまり実感がないんだよね……情けない話だけども……」


 『ふん……こんなことでは先が思いやられるな……まあ、ヒントくらいは教えてやる。お前の相棒への想いとそれに伴う精神力の強化……とだけ伝えておこう』


 ……相棒への想い……それに伴う精神力の強化。


 それは間違いなくアイリーンさんに対する気持ちのことだろう。

 確かに、俺は自らの命を賭してアイリーンさんを守ろうと覚悟を決めた。


 それが、能力解放のトリガーとなり、アルカイドの能力を使用することが可能となった。


 結果、全ての能力が解放され、セプテントリオンの真の能力が覚醒する……ということなのだろう。


 「そうか……そういうことなのか……だとすれば本当に有難い。これでアイリーンさんの……力になれる!」


 『そう、それでこそ我らの持ち主に相応しい……』


 「ああ、これからはもっと頑張るよ……って、我ら?」

 

 俺が疑問を呈したと同時にアルカイドの後ろにさらなる気配が出現する。


 その気配の数は……六つ。


 先ほどから存在しているアルカイドと合計して七つとなった。


 『ギャハハハ!お前がどんだけやれるか、ここから高みの見物と洒落込んでやるからよぉ!さっさと戦ってきやがれ!』


 ……やたら騒がしいこいつは、緑色の髪をした蛇のような魔族……ドゥーベだ。


 『……あの逃げ回っていた小童がどこまでの傑物となり得るのか……しかと見届けてやろう』


 ……腕を組みながら、落ち着いているのは、全身、漆黒の装束を纏った忍者……メラク。


 『我らの新たな持ち主がどこまで昇りつめられるのか……存分に楽しませてもらおうぞ』


 ……巨大なドラゴンが、落ち着いた口調で話している……こいつは確かアリオトだな。


 『まあ、私たちの持ち主がこんな普通っぽい人なんて、ちょっと納得いかないんだけどねー』


 ……楽しそうに皮肉をぶつけてくるこの少女はメグレズだ。正体はごついモンスターみたいな姿のくせに!アイリーンさんに聞いて知ってるんだからな!


 『ふぇっふぇっふぇっ!しかし面白くなってきたのぉ!ほれほれ、さっさと元の世界に戻らんか!あの小娘を助けてやれ!』


 ……このお爺さんは、フェグダだな。

 アイリーンさんの地獄の炎で焼き尽くされたくせに、彼女の心配をするなんて変なやつだな。


 『こんな人間が我らの持ち主となるなんて……まあアルカイド様が認めるならば仕方ないですね』


 ……ツンとした表情で厳しいことを言っているのはミザール、大人っぽい感じは相変わらずだがアルカイド同様、以前のような強烈な威圧感は無くなった気がする。


 『というわけで……お前は我らの持ち主として、しっかりとした力を示さねばならない。あんなふざけた海龍なんぞに負けることは許さん……さあ、我らの力を見せてやるが良い!』


 これで七星が集った。

 それぞれ、俺に言うことはバラバラであり、厳しい意見もあるが一貫して敵意は感じない。


 ……どうやら、揃って俺を応援してくれているらしいな。


 「……ありがとう……上手く言えないけど……俺、頑張るよ!」


 『ふん……健闘を……祈ってやる』


 その瞬間、周囲の景色が白くなっていく。

 ……どうやら現実世界に戻されるようだ。


 これでやっとセプテントリオンの真の力を使用可能となる。

 

 入手してから少し時間は掛かってしまったが、これは俺が七星剣の真の所有者としての道を歩み始めた確かな一歩だ。


 その事実を手にしながら、現実世界に戻っていく俺を……



 七星たちは、どこか誇らしげに見つめているように見えた……


 

 

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