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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第一章 誕生『神速の配信者』
29/118

第29話 『星崩の大魔宮』⑲ 最終決戦は近し

 「……偉いもん見てしもた」


 俺は確かにアイリーンさんが心配だった。


 だからAランク神器の『バグスカメラ発生装置』を使用して小型蟲型カメラをアイリーンさんに貼り付けておいたはずなんだが、そこから転送されてきた映像は驚異的なものだった。



 「アイリーンさんが炎の魔神に変身してたな……」



 しかも、最高位神器グランドレガリア


 あんな神器を持っているってことはアイリーンさんは既にグランドダンジョンを踏破したことがあるってことか。


 いやいや、あんなことが世間に知れたらかなり大変なんじゃ……

 そこまで考えて俺は大変なことに気付いてしまう。



 「……って配信してしもてるやんけぇ!!!!」



 思わず関西弁になってしまった。


 何やってんだ俺は!


 小型蟲型カメラで俺の配信装置と繋げてしまってるってことは、全世界に今の映像を配信してしまったってことじゃないのか!?


 「……えーと、皆さん、今の一連の映像って見てないですよね?」


 〈おう!バッチリ見えたぜ!〉

 〈いやいや、興味深い映像だったな〉

 〈最高位神器グランドレガリアとか……初めて聞いたぞ〉

 〈グランドダンジョンを踏破した者のみが扱える神器かぁ、夢しかないよな〉

 〈アイリーンさんがあんな炎の魔神に変身するなんてな〉

 〈いやぁ、痺れたなぁ〉

 〈いやいや、普通に怖かったんですけど……〉

 〈何で?かっこよかったじゃん!〉

 〈いや、私も少し怖かった。敵を焼き尽くすところとかちょっとトラウマかも……〉


 

 ……同時接続数20万超えてる。



 うわぁ……一から百まで配信してしまってるじゃんか。

 多分これってホイホイと世の中に出したらまずい情報だよな。

 しまったなぁ……アイリーンさん、ちょっと怖がられちゃってるし。


 「はあ……どないしよ……」


 俺はしばらく考えた後に、一つの結論に達した。



 「まあ、配信してしまったことは仕方がない!切り替えて前を向くか!」



 〈さすが『神速』さんw〉

 〈超ポジティブシンキングでワロタ〉

 〈まあ、おかげで普通に生きてたらまず知り得ない情報を知れたんだし〉

 〈間違いなく世界がひっくり返るな、この配信〉



 

 ……この配信を見ながら『ダンジョン統括省』の鏑木支部長が強烈な偏頭痛に襲われているのは別の話。



 ◆◆◆◆



 同時刻……

 グランドダンジョン『星崩の大魔宮』の最奥部。


 「馬鹿な!我ら『七星』が既に五体までも敗れたというのか!?」


 玉座に腰掛けた『セプテントリオン・アルカイド』が忌々し気に叫んでいる。


 「落ち着いてくださいまし、アルカイド様。まだ我々が残っている限り敗北ではございません。『七星』は……負けませんわ」


 その傍らには妖絶な美女の姿をした『セプテントリオン・ミザール』が控えている。


 当初は七体存在していた『七星(セプテントリオン』もいまやこの二体を残すのみとなってしまった。


 「しかし、あのアイリーンとかいう冒険者は最高位神器グランドレガリアを所持しているではないか!……しかも『炎帝器・エクスイフリート』とは……あの『魔炎帝』を倒せる人間が存在するとはな!」


 そう言いながら玉座の肘掛けに拳を叩きつけながら怒りを表現するアルカイド。


 「はい、それに関しては私も驚きました。『魔炎帝』様は我らと同じ『統率者』、あの地獄の炎を操るエクス・イフリート様が倒されるとは、俄かに信じられませんわ」

 「……しかし、事実倒されておるではないか!……こうなれば我が自らあ奴らの敵討ちに打って出るしかないか……」

 「お待ちください、アルカイド様!その前に私が出ます!」

 「……ふん、お前では返り討ちに会うのが目に見えておる。やはり我が自ら出るのが最善だろう、お前が回収してきたアリオトとメグレズの遺体の一部も吸収し耐性を獲得出来た、もうこれで怖いものは無いわ」


 セイラと清十郎がそれぞれ倒した相手、『セプテントリオン・アリオト』と『セプテントリオン・メグレズ』の遺体は異空間にそのまま放置されていた。

 ミザールは自らの空間操作能力を使用し、その遺体の一部を回収している。

 そして、それらは既にアルカイドが吸収済みとなっていた。


 「しかし、フェグダの遺体は地獄の炎で焼き尽くされ、回収は不可能でした、そのため地獄の炎の耐性だけは未回収となっております、それではまだ負け筋が残ります……」

 「……貴様は我が『魔炎帝』の力より弱いと言いたいのか?」


 ミザールの言葉に憤慨しながら立ち上がるアルカイド、今の発言が余程許せなかったのか、その額には青筋が浮かんでいる。


 「……いえ!そうではございません!ただ、私に任せて頂ければ勝利はより確実なものになるのは間違いありません!どうか、私にチャンスを頂けないでしょうか!?」


 そう言いながら土下座でもせんばかりに膝をつきアルカイドに許しを請うミザール。


 「ぬう……貴様がそこまで言うとはな。良かろう、貴様の策を話してみよ」

 「はい!ありがとうございます!」


 ミザールの覚悟にわずかながらも心を動かされたアルカイドは、ミザールの話を聞いてやることにした。



 こうして、グランドダンジョン『星崩の大魔宮』での最終決戦の時が刻一刻と近付いているのであった。

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