第30話 起死回生
ええと、無事に海外から帰国しましたので、投稿再開させて頂きます。
長らくお休みとなり申し訳ございませんでした。
丸一週間ほど、お休みだったのにも関わらず評価やブクマ頂けた方もいて、非常に嬉しく思っております。
今後ともよろしくお願いいたします!
ミズキを豪快に投げ飛ばした後に、悠々と直立しながらこちらを眺める大凶丸の姿は、強者そのものだった。
今この場にいるのは、俺とリゼルさん、そしてエリクサーによって何とか命を取り留めることが出来たアベルさんの三名だ。
ミズキは、もの凄い勢いで投擲され、彼方へ飛んで行ってしまったが、彼女のことだから何とか大丈夫だろう。
俺は四人掛かりでも全く歯が立たないほどの大凶丸の強さは異常さに焦りを覚えていた。
ミズキは炎上することが多いため、世間の評価はあまりよろしくはないが、腐ってもAランク冒険者、その実力は折り紙つきだろう。
そして、俺もなりたてとは言え、Aランク冒険者だ。
そして、リゼルさんとアベルさんに至ってはSランク冒険者と肩を並べていると言っても過言ではないほどの強さを誇る。
実質的には、Sランク冒険者二人とAランク冒険者二人が揃っている状況で、勝てない相手なんているわけがない。
俺にもそんなことを考えている時期がありました。
おい、さっきから全然張り合いが無いぞ!真面目にやってるんだろうな?
一方的な展開に剛を煮やした大凶丸が苛立ちを見せている。
圧倒的な威圧感を少しも隠そうとせずに、こちらへ向かってくる。
神速で撹乱して時間を稼ぐ?いや、あいつの方が速く動けるから無理だ。
リゼルさんと協力して立ち向かってみるか?いや、それこそ瞬殺されてしまうだろう。
「くそ……どうすれば良いんだ?」
状況を打破する手段を持ち得ない自分に焦りを隠せないでいると……
「心配しないでください、もう大丈夫です」
「え?」
「味方が……来てくれました」
リゼルさんがじっと前を見据えたままそう言った。
「『輝刃流……焔猛虎』」
それは、老練の剣士が放つ炎の斬撃。
「『飛雷刃』!」
「オラァ!『爆炎覇ァ』!」
「穿て、『月詠の矢』」
「『幻舞輪』!」
それは、竜の名を冠する実力者たちによる攻撃。
「モードイエロ!総員一斉掃射、放てぇ!」
それは、最新の武器を持つ軍隊による精密射撃。
同時に放たれた一斉攻撃は、大凶丸に命中し、大爆発を引き起こした。
「よし、俺たちも行くぞぉ!」
他にも多数の冒険者たちも集結しているのが見える。
あれは、『金剛の刃』と『闇鍋騎士団』だろう。
どうやら俺たちが戦っている間に、戦場に散っていた味方たちが駆けつけて来てくれたらしい。
「この程度の攻撃で……俺がやられるとでも思ってやがるのかぁあアア!!!!」
怒号と共に、爆発による粉塵が吹き飛ばされる。
やはり、この攻撃でも全くダメージを受けていないらしい。
そのまま、周囲を舐め回すかのように眺めると、次の獲物を品定めしているが……
「どらっしゃぁあですわぁ!!!!」
「!?」
そこへ頭上から勢いよく飛び込んでいるのは……セイラさんだった。
すでに『氷結地獄』を発動しており、背中には煌びやかな翼を背負い、両腕には凍気を纏わせている。
その状態で、猛スピードで接近し大凶丸へ凍気を叩き込むが、大凶丸は自らの頭上に刀を掲げ、セイラさんの攻撃を防ごうとする。
「まだまだぁ!私も行きますよぉ!」
その刹那、脇から突っ込んでくるのは清十郎さんだ。
両腕を頭上に上げたために、がら空きになった脇腹へ完全解放され、眩い銀色の光を纏った銀嶺を叩き込む。
「ぐぬぅ!?」
銀嶺による斬撃を脇腹に喰らってしまった反動で、頭上のガードも甘くなり、セイラさんの凍気による拳撃までも、まともに受けてしまう。
セイラさんの攻撃と地面に挟まれる形で圧し潰されそうな姿勢のままで、凍気により体が凍り付いていくが……
「まだまだ甘いんだよぉ!後一歩だったなぁ!」
しかし、大凶丸が気合を入れると、その凍て付いた体の氷にヒビが入り始める。
やはり、完全に凍り付かせるには凍気が不足しているのか……
「後一歩は……これから来ますわよぉ!」
セイラさんのその言葉に、俺はハッとして周囲を見渡す。
俺は思い出した……
後一人、この場にいるはずの人がまだ来ていないことを……
そして、その人は……
俺たちの遥か上空にいた……
「『エクス・ボルガニックレイザー』!!!!」
既に最高位神器の力を解放し、魔人の姿と化したアイリーンさんによる全力の一撃が……
体中の氷を除去し自由になろうとしている、ほとんど無防備の状態の大凶丸へ向かって放たれたのだった。
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