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私の中の怪物  作者: 寿和丸
3部 医者になる

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51話 意識朦朧

「まさか、勝つなんて」キャサリンともども喜び合っているなかで、沢井が笑顔で駆け寄って来た。

「いやいや、俺はキャサリンたちが勝つと思っていた」「嘘つけ、さっきまで、今年もテニス部に優勝を総浚いされると言ってたじゃないか」

他の部員も口々に二人の“快挙”を称えている。

日頃、テニス部員から小馬鹿にされていると感じている者にとって、鬱憤の良いハケ口になったようだ。

「さあ、私たちもキャサリンたちに続くわよ。明日から気合を入れるわよ」沢井が激を飛ばすと、「おう!」と皆一斉に気勢が上がった。


「勇次も今日ぐらい付き合いなさいよ」ひと月近くキャサリンと練習してきたが、これまで居酒屋どころかカフェにも行かなかった。

「ごめん。子供を風呂に入れるのが役割なんだ」そう言っていつも断って来たのだ。

「優勝して、何にもしないなんてありえないわ」

そう言われると、断り切れない。キャサリンと軽食を摂ることになる。

ただ「飲み会なら参加するけど、軽食では辞退するよ」他の部員たちはまだ試合が残っていて、二人だけだった。

今日はまだ日が高いし、明るい。それに小腹も空いたし、喉も乾いている。

勇次も喉の渇きを覚え、構内の軽食屋に立ち寄ることにしたのだ。

店の中は客もまばらで、好きな所に席が取れた。


「私、コーラを買って来るから、ユージはバーガーを注文してね」ここでも主導権はキャサリンに握られた。

店が空いていることもあり、ハンバーガーもコーラも直ぐ買えた。

「乾杯!」優勝したことを祝って、コーラでの乾杯だ。

「少し味が変じゃない?」勇次が一口飲んで言った。

「そうかしら?別に変わりないと思うわ。ちょっと喉が渇きすぎているからじゃないの」

そう言われると、気のせいかと思える。

その後は今日の試合を振り返って話が進んだ。

雑談を30分ほどして、切り上げた。

勇次としてはそのまま別れるつもりだった。今日も、帰宅してから伸二たちとテレビ電話で現状について報告を聞かなければならないからだ。

ところが、一緒に学外に出たまでは記憶があるのだが、その後はない。

ここからはコーツの目を通しての話となる。


「勇次、お前はキャサリンと連れ立ってタクシーに乗りこんだんだよ。

行き先は彼女のアパート。ほとんど彼女に抱きかかえられる格好で部屋に連れ込まれた。

部屋に入るなり、彼女はお前を「介抱してあげる」と言って、服を脱がせにかかった。

お前は言うがまま真っ裸にされ、ベッドに横たわったよ。

どうするのかと見ていたら、彼女まで服を脱ぎだしたんだ。

そうしたら、彼女も裸になって、お前と肌を重ね合わせてきたのよ。それが彼女の介抱だったわけさ。

懸命にお前の亀さんを起そうと、亀さんを両手で揉んだりしごいたり、なかなかの介抱ぶりだ。

最後は口に入れて舌で舐めて可愛がるんだ。

あれはなかなか気持ちいいもんだ。今度、晶子や由香にもしてもらうといい。

そして、彼女の頑張りで亀さんがだんだん元気になってきたのよ。

あのテクニックはなかなか見事だ。由香もテクニックを使うが比べ物にならない。

あれは訓練されて習得したものだな。素人のアイデアであんな真似はできない。

娼婦のテクニックと言ってもいい。お前も晶子や由香ばかり抱かなくて、商売女とも寝て見ろ。玄人の技が体験できるはずだ」

「そんな話はいい。それからどうした」


「俺も最後まで彼女の介抱ぶりを拝見するつもりだったが、お前の意思を失くした状態でのセックスはレイプと同じだと考えたのよ。

レイプと言うのは普通、男が女にするもんだが、やはりお前の意思に反して行為はおかしなことだと思った。

それで、お前の身体を操ることにしたんだ。

人間の身体を操るなんて久しぶりだから苦労したぞ。

ベッドから彼女を蹴り落とすと、目を白黒になったよ。

それから身支度して、部屋を出たのよ」

「キャサリンは止めなかったのか?」

「まあ、蹴られたのが相当ショックだったのか、部屋の隅で茫然としていた。俺が帰ると言っても無言だったな。」

「その後で、どうした?」

「外でタクシーを拾い、警察署に飛び込んだのよ」とあっさりと言う。


「警察ではタクシーから降りた俺の足取りがおかしいのにすぐ気づいてくれた。

受付で女から薬を飲まされて、気分がおかしいと言うと直ぐに担当者がやって来てくれた。

それからは、尿検査をし、キャサリンのことなどを簡単に説明して、横にしてもらった。」

「起きて見たら警察に居たのは驚いたな」

翌朝迄、勇次は気を失っていた。

「勇次ときたら、だらしないのにもほどがある。あの程度の薬で頭がおかしくなるなんて弱すぎる」

「コーツは薬に平気だったのか?」

「俺に、人間用の薬は効かない」今日のコーツは何時にもまして自慢げだ。

「まあ、おかげで助かったのだが、コーツは人間の生活のことも詳しくなれよ。お前が着せてくれた下着は、パンツもシャツも前後が逆だったぞ」

「人間の生活のことには興味がない。それよりこれからどうするか考えないとな」

「何よりもキャサリンがどうしてあんなことをしたのか探らなくてはならない。」

その点で二人の考えは一致した。




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