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第五十一話 「ワンターンキル」

「ますたー。ねぇ、ますたー」


 ん……? なんだミスティか。

 俺は今、エボルタと召喚戦闘の最中なんだ。

 悪いけど、後にしてくれないか。


「ますたー、起きないと負けちゃうよ」


 何を言ってるんだ?

 俺が負ける訳ないだろ。

 そもそも召喚戦闘中なのにミスティは……。


「何で……ミスティがリーダーエリアに居るんだ?」

「あっ! やっと起きた。おはよ、ますたー」

「え? あぁ、おはよう」


 黒猫が居た筈のリーダーエリアにはミスティが居る。

 そして二体だった筈のサポートエリアのハナコは三体になっていた。

 何かがおかしい……。


「フローラ、もう一度リーダーに攻撃(アタック)だ」

「戦闘中によそ見とは随分と余裕ですのね」

「ふぇ?」


 ミスティが振り向いた所に、フローラのデコピンが命中する。


「うわあぁん! いじめっこーっ!」


 真っ赤に腫れたおデコを抑えながら、ミスティはダメージエリアへと走り去る。

 これで俺のダメージは……三点じゃない!?

 なら、エボルタのダメージは?


「なっ……! 六対(ゼロ)!?」

「あん? バカかてめぇは。

 毎回毎回、サポーターばかり殴ってたら差が広がるに決まってんだろ。

 もっとも、お陰でこっちの手札はカツカツだけどな」

「いったい……何の事だ?」


 空きのできたリーダーエリアに山札から黒猫が召喚(コール)された。

 今はエボルタのターンだが、特殊登場時能力(エントリースペル)の発動タイミングで割り込み処理が入る。

 この時間を利用してフィールドを再確認だ。

 まずはマナエリアの枚数、これで今が何ターン目かハッキリする。

 俺が五枚、エボルタが六枚。

 つまり、六ターン目先行という事か。

 随分とターンが経過しているな。

 続いて墓地(ドロップエリア)だ。

 こちらは俺が二枚、エボルタは七枚。

 随分と偏りが大きいな。

 俺が四ターンに渡ってサポーターを殴り続けたのは事実のようだ。

 だが……俺にはその記憶がない。


「何をボーッとしてやがる。

 特殊登場時能力(エントリースペル)を発動させるのか? させないのか?

 とっとと選びやがれ!」

「……言われなくても分かってる」


 サーチトリガーか。

 コストを支払う事で任意のカードを手札に加えられるが、今更何を加えようが手遅れな気がする。


『準備は整った。反撃開始だ』


 俺が思案していると、あの声が語りかけてきた。


 思い出したぞ。こいつがサポーターに攻撃(アタック)するよう、語りかけてきたんだ。

 そのお陰で俺のダメージは六点。

 あと二体、リーダーを倒されれば負けてしまう。

 しかもエボルタはこのターン中に、あと一回の攻撃(アタック)を残している。

 俺に残された猶予は次の一ターンしか残されていない。

 何をしたのか分からないが、この状況はお前の仕業だろう?

 くそっ! 勝手な事を言いやがって……。 


『手札を見ろ。お前なら分かるだろう。

 さぁ、特殊登場時能力(エントリースペル)を発動させろ!』


 手札? ガイストが三枚に能力無効化(ディスペル)が二枚。

 これじゃあ初手とほとんど同じ……。


「なるほど。分かったぜ。

 俺はRC(リバースコスト)を②支払い、サポートエリアのハナコを二体墓地へ送り、《ファントム オブ キャット》の特殊登場時能力(エントリースペル)を発動!

 山札から種族が《霊》のカードを一枚まで探し、公開して手札に加える!」


 サポートエリアから二人のハナコが墓地へと消え、山札から一枚のカードが俺の手元へ飛んでくる。

 俺はそれを右手で掴み取り、エボルタに見せて手札に加えた。


「ヒールトリガーだと!?

 てめぇ、ふざけてんのか!」

「ふざけてなんかいない。

 これがお前を倒す為の最適解だ!」


 俺が手札に加えたのは四枚目の《七不思議セブンワンダーズハナコ》。

 これでヒールトリガーによるダメージ回復の可能性はなくなった。

 ダメージが八点になった時点で敗北が確定する。


「ちっ……やっぱ、てめぇは期待はずれだ。

 フローラ、リーダーに攻撃(アタック)しろ!」

「畏まりましたわ」


 フローラに蹴り上げられた黒猫がダメージエリアへと移動した。

 山札から八体目のリーダーが召喚(コール)される。

 現れたのは漆黒の鎧を纏い、大きな暗黒の剣を背負ったエースユニット《霊騎士ガイスト》。

 ガイストは手札から召喚(コール)するつもりだったが、これで手間が省けた。

 マナコストに余裕が生まれるのは有り難い。


「ターンエンド。

 さぁ、てめぇの最後のターンだ。

 精々足掻くがいい」

「俺のターン。ドロー&マナチャージ。

 サポートエリアにハナコとマウスを召喚(コール)

 マウスのサポートでリーダーに攻撃(アタック)!」


 手札から二体のレベル1ユニットを召喚(コール)して、アタックフェイズへと移行する。

 マウスから魔力を受け取ったガイストが剣を横に薙ぐ。

 風圧でフローラのスカートが捲くれ上がり、水色の可愛らしいパンツが顕わとなる。


「破廉恥ですわーっ!」


 両手でスカートを抑えながら、フローラはダメージエリアへと移動した。

 そしてエボルタ側の二体目のリーダーが山札から召喚(コール)される。

 迷宮で何体も遭遇した銀色の狼《氷原のアージェントルプス》。

 レベル3のそこそこ優秀なユニットだ。

 もっとも迷宮での手応えは雑魚野生動物(モンスター)だったが……。


「ハナコのサポートでリーダーに連携攻撃コンビネーションアタック!」


 ハナコの声援を受けたガイストにより、銀色の狼は一撃のもとに葬られる。

 そして三体目のリーダーが山札から召喚(コール)された。

 それは数時間前に俺たちを苦しめた巨大ロボット《最強魔導ロボ ダイヒョーガ》。

 手札からフィールドに召喚(コール)出来ない制限持ちユニットだ。

 素のAPが10000もある強力なユニットだが、攻撃(アタック)時に自身の山札を上から五枚、墓地に送ると言うデメリットを持っている。

 定石通り、リーダーへの攻撃(アタック)を続けていれば四ターン目にこいつが現れていた訳か。

 そうなった場合、俺は前のターンで敗北していただろう。


「ハナコ、ガイスト。連携攻撃!」

「おじちゃん……頑張って」

「少女よ。汝の願いが我の力となる。

 はあああぁっ!」


 大きな剣を持ったガイストが飛翔し、重力に任せて巨大な敵を一刀両断する。

 強敵だが、女子小学生に応援されたガイストの攻撃に耐えられるユニットではない!

 一瞬で鉄クズと化したロボはカードに戻りダメージエリアへと送られ、山札から銀色の狼(アージェントルプス)召喚(コール)された。


攻撃(アタック)の終了時、霊騎士ガイストの必殺技能力(フェイバリットスペル)発動!

 RC(リバースコスト)を②支払い、手札から《霊騎士ガイスト》を一枚、墓地へ送る。

 そして━━」

能力無効化(ディスペル)だ。

 必殺技能力ってのは初めて聞くが、ヤバそうだからな」


 初めて相対する能力に対して、的確に能力無効化(ディスペル)を発動するプレイング。

 マリアに勝ったのは運ゲーだけでは無いと言う事か。

 だが俺はその上を行く!


「マナコストを②支払い、こちらも能力無効化(ディスペル)を発動!」


 ガイストに向かって呪文を唱える《リザードマジシャンあつし》に、《霊医アルツ》の投げたメスが突き刺さる。


「ほぅ……その戦術、あのメスガキと同じだな」

「改めて、ガイストの必殺技能力を発動。

 墓地から種族が《霊》のカードを3枚まで選び、サポートエリアに活動状態(スタンド)召喚(コール)する。

 ハナコを二体と、コストとして墓地へ送ったガイストを選択し、サポートエリアに召喚(コール)!」


 これで俺はこのターンに三回の追加攻撃が可能となった。

 連携攻撃で銀色の狼を葬る。

 これで四点。

 続いて、蓑を被った小さな女の子《お出かけ雪童子》が召喚(コール)された。


「ちっ……不発か」

「あぁ、ヒールトリガーは相手よりダメージが多い時にしか発動しない。

 ガイストで通常攻撃!」


 漆黒の騎士がゆっくりと少女へと歩み寄る。


「お嬢ちゃん。ここは危ない。

 飴をあげるから、あっちに行きなさい」

「おじさん、ありがとう」


 そして飴玉を受け取った雪童子はだめへと歩いて行った。

 これって攻撃なのか……?


 ともかく、これで五点。

 次のリーダーは全身が緑と黒のストライプ模様に包まれた、カバのようなユニット《スイカバー》だ。


特殊登場時能力(エントリースペル)で一枚ドローするぜ」

「……連携攻撃」


 スイカバーはガイストの剣で真っ二つに割られ、真っ赤な液体を撒き散らして絶命した。

 あれは血じゃなくてスイカの汁だな……たぶん。

 七体目のリーダー《竜剣士ヘルムート》が召喚(コール)された時、今まで大人しかったエボルタがいつものように笑い出した。


「くっくっくっ……確かにすげぇ能力だ。

 だが序盤にふざけ過ぎたな。

 さぁ、俺様のターンだ!」

「待てよ。まだ俺のターンだ。

 俺は霊騎士ガイストの必殺技能力を発動!

 墓地からハナコを二体とマウスをサポートエリアに召喚(コール)する!」

「なっ……!?」

「この能力に一ターンに一度のみと言う制限はない。

 条件さえ揃えば、最大で一ターン中に四回の通常攻撃と八回の連携攻撃が出来る。

 環境トップ間違いなしのぶっ壊れユニット。

 それが《霊騎士ガイスト》だ! 連携攻撃!」


 二刀流の剣士を倒し、ついにダメージはお互い七点の同点となった。

 そして最後の標的となるユニットは《蒼龍王コンゲラート》。

 エボルタが俺たちから掠め取り、マリアを苦しめた因縁のユニット。


「ラスト……連携攻撃!」


 女子小学生(ハナコ)の応援で本気を出したガイストが、宙を舞うコンゲラートへと向かって飛翔する。


「《氷の天使クリオネル》を守護召喚(ガーディアンコール)


 翼の生えた人間サイズのクリオネが、ガイストとコンゲラートの間に立ち塞がる。 

 クリオネはガイストの剣をその身に取り込み、攻撃を無効化させた。


「さっきのドロートリガーで引いた魔符(カード)だ。

 てめぇの次の攻撃(アタック)は通常攻撃だから、コンゲラートは倒せねぇ。

 礼を言うぜ……くっくっくっ」

能力無効化(ディスペル)


 霊医アルツの投げた注射器がクリオネの身体に突き刺さる。

 謎の液体を注入されたクリオネはその身を変色させつつ、霧となって消滅した。

 そして、攻撃を阻害する者が居なくなったガイストの剣が、龍の巨体をバラバラに切り刻む。


「バカなっ! 守護召喚を無効化しやがった!?」

「通常、基本ルールである守護召喚は無効化されない。

 しかし、守護天使(トゥテラリィ)の守護召喚はカードの持つ自動能力。

 だから例外的に能力無効化(ディスペル)の対象となる。

 エボルタ。お前の負けだ!」

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