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甘えさせてあげたかった
使用お題は一つ
甘えなんか許さなかったと思う。
私の弟は超がつくほどの優秀な天才児だった。
だから世の中全部がツマンナイバカばっかりって顔をしてた。
ほんとにつまんない弟になりそうだった。
だから、私は十人並みの頭をひねった。
私だけはちやほやせずにダメ出しし続けようって!
できて当然なら先を目指せばいいじゃない。
できて当然なら私にも理解できるように解説してごらんなさいよ!
できないなら、あんたはまだまだなのよって。
あの子はそれを真に受けてどんどん先に進んでく。
知ることが楽しいと弟はそう言っていた。
遠くなった弟を私ははなれて見守る。
弟の声も私の声も届かない。
弟のてのひらが石の表面を撫でる。
私が伸ばす手は弟に温度も何も伝えない。
泣かないでね。
お題は〔甘えさせてあげたかった〕です。
〔「かぎかっこ」の使用禁止〕かつ〔キーワード「てのひら」必須〕で書いてみましょう。
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