理由。聞かないで・・・・・・
使用お題ひとつ
「付き合ってください」
君はいきなり頭を下げてそう言った。
まず思ったのは誰?
ふわんっとはねた髪を見て、いつもすれ違う子だと気がついた。
名前も知らない君。
ぱちくりと驚く僕に君はぱっと顔をあげた。
瞳の力が強くて眩しかった。
「一日限りでいいんです。ボクと付き合って下さい」
僕は勢いに負けて頷く。
「いいよ」
君は花開くように笑う。
一日限りの愛でも良いのです。
そう歌うように囁く君の耳はかすかに赤い。
優しいエスコート。
僕は君を知らなかった。
だから一日限りだというならば優しくしたかった。
「優しくされても何も返せないのに」
そんなふうに申し訳なさそうに君は言う。
僕は軽く笑う。
「だって、君が思いをこめて付き合ってと言ってくれたから。僕はその気持ちに答えたい。そういえば、どうして僕を選んだの?」
君はそっと下を向く。
「好きになってたんです。ボクはあなたが好きなんです!」
君に恋したあの日から。
とにあへのお題【一日限りの愛でも良いのです。/優しくされても、何も返せないのに。/「そういえば、どうして僕を選んだの」】 http://shindanmaker.com/287899




