表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自縄遊戯  作者: とにあ
394/419

アンティーク

使用お題ひとつ

 有線の電話機がチェストの上にぽつんとのっている。数字の上に穴があいたまるい円盤。アンティークの電話機で使えるなんて考えてもいなかった私にあなたは笑って「まだ現役なのよ」と教えてくれた。「不便じゃないか?」と聞けば「適度な不便さが良いし、最新機器って苦手で」とやはり笑っていた。すこし困ったように。

 穴に指をかけて教わったように回す。離す。

 次の穴にかけてまた回す。そしてはなす。

 すこし重い気のする受話器片手に慣れない機器を使う。

 じー、ころころ。

 不思議な音が数度繰り返される。

 あなたの出先にある電話機は古いとはいえプッシュなのに。うまくつながるのかすらほんのり不安になりながら受話器を持ち直す。

 どの番号まで回したかしら?

 ぷつっと音がして『もしもし?』あなたの声が聞こえてほっとする。

「つながったぁー」

 ついこぼれた言葉と声にあなたが笑ったのが伝わってくる。笑われたのが悔しくて不安を言いつのりたい思いがわきあがる。

『どうしたの?』

「あ、大根!」

『大根?』

「ないから買ってきてね」

 だって今日は秋刀魚を焼くの。

 大根おろしをつくらなきゃ。

『いいけど、大根?』

「大根おろしをつくるの。よろしくね」


お題は【秋】の季語である「秋刀魚」を使った「電話を掛ける」お話です

#季節しばりのお題 #shindanmaker

https://shindanmaker.com/893447


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ