寝癖
使用お題ひとつ
「あー、寝癖ついてるよー。ネネが直したげる」
意外にも鞄からは折り畳み式の櫛が出てくる。細くしなやかに見える指先は傷痕や部分的なタコで硬さを含んでいて撫でられるとここちよく眠い。
いつも勢いよく元気が有り余るネネには珍しく柔らかい動きで俺の髪を撫でていく。
「たいがくんきょーはおつかれー?」
ねむそーとゆるい声がくすくす笑いと共にふってくる。
梳かすのがうまいなと伝えれば、楽しそうに笑みを深める。
「だってネネはおねーちゃんだもん」
ふふんと得意げだ。少し歳の離れた妹を可愛がってるのは知ってるし。
「最近マユは自分でやっちゃうんだもん。つまんない」
「細い三つ編み作ったら怒るからな」
「はーい。ゆるめにしとくー」
そこまでの長さがあるでもないだろうにネネは楽しそうだ。
「今度遊びに行こーよー。おにーちゃんとたまちゃんにお小遣い貰って」
「ダメだろ。それ」
「しょーがないなー。公園か浜でもいーよー。コンビニでおやつ買っていこーよ」
恋人にデートに誘われるのは悪い気もしなくて。
家庭内バイトや縁故バイト先を思い浮かべる。野外デートのランチ代くらいなんとかできそうかなと計算する。
「ふたりの時間が嬉しいねぇ」
ほやんと笑うネネに手を伸ばす。
貴方は萌えが足りないと感じたら『寝癖を笑いながら直してあげる子音』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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