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雨音に遅刻
使用お題ふたつ
軒先でただ息を吐き、震える指先で木戸を叩く。
こくりと息を飲む小さな音が木戸のむこうで鳴った。
それは私の耳に心地よく届く。
ああ。そこにいるのですね。
嬉しくて雨音に紛れるように古びた木戸を叩く。
驚かせないように優しく優しく。
開けて開けて。
ずっと一緒にいてくれるのでしょう?
ねぇ、あの日そう約束したでしょう?
くるくるとあいてる隙間を探して戸を窓を叩く。
雨音に紛れる叩く音はわかりにくいでしょう?
ああ、残念。
今日も開けてくれないのね。
焦らし上手なあなただから。
どうかどうか私を好きだなんて、言わないで。
どうか戸を開けないで。
いつまでも私はあなたを訪ねて来たいから。
またね。
深夜三時の雨宿り。
夜の繰り事は終わらない。
「好きだなんて、言わないで」
#この台詞から妄想するなら
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貴方は『三時の雨宿り』をお題にして140文字SSを書いてください。
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