鳥籠の愛
使用お題ひとつ
さらさらと風が流れる音が聞こえる気がする。
それはただの電気信号。本当は知ってる。けれど気がつかないでいたい。
世界が広いなんて知らなかった。
世界は狭いものだと思っていたから。
それしか知らなければ、知っている世界だけがすべてだから。
気がつきそうになる自分に気がつくたびに自分を誤魔化していく。
気がついてはいけない。
それを自らに課し、感覚を鈍らせていく。
さらさらと風が流れる音がする。
四角い狭いこの世界。
壁の布をめくっても冷たい壁があるばかり。
外があるのは知っている。
だって外はこわい場所。
世界にやさしい春がくれば、外へ連れていってもらえる。
でも怖い場所に行きたくなんかない。
外ってなぁに?
私の世界はこの閉ざされた、この部屋だけ。
灯りを落とされてる今、世界は夜。
守られた夜の中、私は独り自らの腕を抱く。
恐怖から切り離された深夜の密室。
出たいと思うのは、ただ、あなたの声を聞きたいだけ。
「深夜の密室」で登場人物が「愛される」、「春」という単語を使ったお話を考えて下さい。
#rendai
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