ストーカーカウンセリング
使用お題ふたつ
淡い恋心。
気がつけば君を見ている。
君は気がつかない。どこまでもその無邪気な笑顔に救われる。
学内に紛れる人の波。
ああ、いっそ雨に溶けて消えてしまいたい。
一滴の雫になって君の内側に潜んでいたい。
「ほんの淡い恋心だけど」
「淡い、恋心?」
コワイ感じのカウンセラー(学生バイト)が言葉を繰り返す。
「どうにかしようだなんて思っていないよ。ただ、そっと見てるだけで満たされるんだ」
「寮の部屋位置は?」
「西棟三区五号の一人部屋。自炊とかもしてるらしいね」
問われて反射的に答える。
一人部屋で寂しくはないんだろうか?
「あ、盗聴とかはしてないからね?」
ベランダの植物の声を聞いてみたいけれど、実行はしてない。ただちょっと綺麗に咲いてほしいと頼んでいるくらいだ。
「自制はしている。と」
もちろんだ。
「……気になるからと言って相手の住まい選択講義、友人関係をわざわざ調べてはいない。と」
淡々と短調な感情起伏を感じない問いかけ。
「選択講義や友人関係は見かけた時に予測を立てるくらいだよ」
偶然を装って近付きたい心はあるから。
のんびりとした気性の君だから、わざとだなんて気がつかない。
「魔力波長や生体音波に欲情したりはしていない。と」
「してないよ!」
生体波長くらいは区別して感じてるけど、それってどれだけ集中がいると思ってるんだよ。
そんな淡い情報で燃え上がるほど純情純粋じゃないというか、変態くね?
「興奮せずに」
「だって、言いがかりじゃないか!」
カウンセラーはまっすぐに視線をあわせてくる。キツい睨まれていると錯覚しそうな眼差しだ。
「いえ、ただの事実です。検知してるでしょう」
断定だった。
学生生活にこれ以上ない暗雲が立ちこめる。
変態ストーカーとして退学させられるんだろうか?
「好意を寄せた、興味を惹いた相手をより知りたいという事はごく正常だと思います。そして、その能力は生来のものである以上は否定するものではないのです。確かに自制および管理は必要になりますが」
そう、淡々と認める言葉で理解を示されてどこかそら恐ろしい。
なぜ安心することができないのだろうか?
「誰かにその情報を流したり、それを利用して脅したり、怯えさせたりはしていないのでしょう?」
「あたりまえだ!」
「このカウンセリング時間であなたの個人特定情報は確保しましたので何かあればすぐわかります」
あれ?
このカウンセラー(学生バイト)ヤバくね?
とにあへの片思いお題『その無邪気な笑顔に/雨に溶けて消えてしまいたい/淡い恋心』
#kataomoiodai
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とにあは『ストーカー』と【のんびり】を使った小説を書いてください。
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