告白
使用お題ひとつ
「君が好きです」
告白を試みたのは中学だったか。相手はクラスの女子だった。
静かに友人の話を聞いて笑っている少女だった。答えは「ごめんなさい」で。学年が変わるまでぎこちない時間が続いた。
そこから何度か女の子を好きにはなったと思う。
だけど、伝えることができたのは中学の時にふられた彼女だけだった。
あのぎこちない時間、空間が辛すぎた。
答えはもう出てる。
告白をして傷つくのは怖いんだ。
「いいかい。後輩」
やたら近距離で先輩が指を立てている。それは今にも目潰しされそうな恐怖感がそこにある。
「秘密の恋をしよう」
息を飲む。先輩は何を言ってるんだ?
「職場でもそれ以外でも誰にもバレちゃいけない。そんな秘密の恋をしよう」
ふふっと先輩は笑っている。
「先輩に対してですか?」
パチリと先輩は長いまつげを上下させる。
「私?」
その声は心底不思議そうでカッと熱が頭に上る。
「それは光栄だが、後輩にも好みがあるだろう。だが、恋はすべきだ。それが私である必要はないさ」
意味が、必要性がわからない。
先輩は笑っていた。
人を思えば、良い仕事ができると。
結局、先輩に恋心を抱いたのかもしれない。
でもコレは秘密の恋。
誰に告げることもない。
先輩の役に立つように。仕事に打ち込む。先輩が気にかけるのは僕だけじゃない。
きっと、大丈夫。
そう。
答えはもう出てる。
「好きな人がいるんです」
先輩にそっと告げる。
「きっと大丈夫だよ。応えてもらえるさ」
鮮やかな笑顔で声援をくれる先輩の手をそっと握る。
「後輩?」
「先輩が好きです」
秘密の恋を終わらせよう。
3つの恋のお題:答えはもう出てる/きっと大丈夫だよ/秘密の恋をしよう
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