偽装の町で
使用お題はふたつ
部屋の隅で君の指に舌を絡ませて、こぼれる血を拭う。
思ったより小さい傷でほっとする。
「消毒して絆創膏でなんとかなりそうだね」
顔を上げれば視線が絡んだ。
見つめ合いながらしでかしたことを振り返る。
君の、指を舐めた。
ざっ! と効果音が聞こえそうなくらいの勢いで熱が思考力を奪う。
支えている手から伝わる鼓動。
それが冷静さを呼び戻す。
声が震えないように意識して。
「滲みるかも。我慢してね?」
君は小さく頷く。
あぁ。
ちゃんと、なんでもないふりをしよう。
妙な反応をして傷つけたくない。
今を壊したくない。
ちゃんと忘れたふりをしよう。そうすれば君は傷つかない。って自分に言い聞かせる。
そしたら僕も傷つかない。
「てんちょーがごほーびくれるんなら我慢する」
泣きそうな声に胸が高鳴る。
指が震えないように気をつけながら消毒液とガーゼ。とりやすい場所に絆創膏を。
「ごほーび?」
「うん。ごほーび」
何かを思いついたのか君はくすくす楽しげに笑う。
「あのね」
僕は君の条件を待つ。
「ハロウィンパーティをしよ? お菓子いっぱい作ってよ。お店飾って、てんちょーも仮装して。ね!」
楽しげな君に頷きつつ、僕は消毒薬を傷口にあてる。
びくりと君の体がすくむ。
「カボチャもいいけど、栗も好きかな。可愛いキャンディとかお肉料理もほしいなぁ。うん。フルーツサンド、とかぁ」
君は痛みを流すように楽しいことを連ねる。
君にあまり苦痛を与えないように僕は丁寧に、それでいて素早く消毒し、薬をつけて絆創膏を。
「でも、一番のごほーびはねぇ、てんちょーと過すハロウィンの夜かなぁ。ね、てんちょー?」
あなたは『ちゃんと忘れたふりをしよう。そうすればこの人は傷つかない。って自分に言い聞かせる』てんちょーを幸せにしてあげてください。 http://t.co/chNmeH428V
てんちょーへの本日のエロ妄想お題
「部屋の隅で」
「指に舌を絡ませて」
「見つめ合いながら」
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