マリッジブルー
使用お題ひとつ
「なんか面白いことないかな」
ムサシの言葉に生ぬるい眼差しがむけられる。
「今、対応範囲外の出来事はいらない」
ミコトがイベント情報誌を睨みながら答えてる。
「式の規模はー?」
「入籍と写真。……そう言えば、タマキは?」
ムサシの追加の問いに答えつつ、混ざれとばかりに俺にふってきた。
「うちの両親と叔父夫妻への紹介の食事会くらい。むこうのご両親にもご挨拶行きたいけどな」
甥っ子がちゃんと式はするだろうから、時期のかぶる俺はひっそりとしておく。
「ふぅん。写真撮るなら衣装くらい用意できるからいつでも声かけろよ」
さんきゅと声をかけてからムサシを見る。
床に寝そべって死体偽装か。
「ああ。リア充共め。非リアな俺は生きる事さえ面倒くさいよ」
学生時代一番リア充だった奴のセリフだ。
「むっちゃん、付き合ってる子達多かったよね?」
小中高とムサシとは六割同じクラスで過ごした仲だが、彼女のいる時期は多かった。長続きして二ヶ月だったけど。
その間は浮気しないらしいが、別れたら、二時間後には新しい彼女がいる事も多々あった。マジリア充だったはずだ。
長続きしない理由は相手を追わないとこも大きいんだろうな。
「むっちゃんはちゃんと彼女を優先しないと」
ミコトが苦笑する。
「えー」
「友情優先はありがたいけどなぁ」
「だろー?」
「だからホモな噂が立つんだろお前ら」
仲良く戯れる二人に一声かけると揃って非難の声と眼差しが寄越される。噂があったのは事実だ。たまに俺も捻じ込まれて参ったんだから確かだ。
ミコトと俺が相手を決めて、とたんフリーなムサシの恋愛事情。
「せめて隣にいたいって思える相手がいればなぁ」
モテるが特別のいないムサシは床の上で目障りにうだつく。
「むっちゃんお付き合いまではいくのに」
「友情と恋人とか、仕事と恋人とか選べってキッツイよな。友情と仕事に決まってるしさ」
「むっちゃん、ソレ相手には……」
「はっきり告げてる!」
俺とミコトが視線を交わす。
「ムサシ、酒出してやるよ」
「むっちゃん、俺の相談にのってくれた時は女の子のエキスパートみたいに頼りになったのに……」
「トレバーは特殊系だったけどな。あわれむなぁああああ!」
男三人の夜はくだらない会話で更けていく。
「タマキ、彼女は今日?」
「先輩のとこ」
「仲良いのか?」
「先輩、ウチの甥っ子より年上なの気にしてるし、甥っ子跡継ぎ長男だしでマリッジブルーらしいから。ミコトんとこは?」
「……叔父さんが帰って来てるからべったり。トレバーたちファザコンだから」
「……そう」
「なんか面白いことないかな」「生きる事さえ面倒くさい」「せめて隣にいたい」という3つの台詞を盛り込んで、元気なお話を創りましょう。
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みんな元気です♡




