帰路
使用お題ひとつ
ニャアと鳴くのは猫。
甘えた愛らしい声で我が物顔に足元に身体をすりつけてマーキング。
撫でながら夕焼けに目を細めた。
赤く太陽が山向こうに溶けていく。
抱き上げた猫は不満そうに一唸り、撫でればニャアと甘えた鳴き声。
「甘えないで」
猫の耳元で囁いても我関せずで甘えてくる。
少し硬めのそれでも柔らかな毛並みに指を沈める。
ぐるぐると猫の喉が鳴る。
そう。
甘えてるのは私ね。
どこにも行きたくない私は猫を言い訳に進もうとしない。
「みんな、誰も傷つけたくないんだと思うんだ」
だから、遠回しに対応する。
誰も傷つけたくなくて、それ以上に自分が傷つきたくない。
何も言わない以上、私はご機嫌ナナメねと思いながらそっとしておく。
何も言われない以上、私は仮定するような失礼な真似をしたくない。
睨まれてるような気がするなんて思うのは失礼でしょう。
ご機嫌ナナメの時にそんなこと言われたら嫌でしょう。
嫌な真似をするべきじゃないものね。
黙って様子見しましょう。
まぁ、私の何かが気にいらないって思っていたとして、伝えられないことはわからない。
猫を抱いて少し歩く。
柔らかくてあたたかい。
お題は〔甘えないで〕です。
〔「!」の使用禁止〕かつ〔「帰り道」の描写必須〕で書いてみましょう。
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