番外編2-14. 遅れた理由。
R15に該当する表現がありますので苦手な方はご注意ください。
「──というわけでネメ、ミノリさん。改めて紹介するね。この子がクロムカで今は私の一番弟子として光魔法の使い手として修行中の身なの。といっても私が教えられることはもう残ってないんだけどね」
「ク、クロムカですの。よろしくおねがいしますの、ネメさま、ミノリさま」
「うん、よろしくね。クロムカ、私がネメでこっちがミノリよ」
トーイラと約4年ぶりの再会を果たす事ができたミノリたちは屋内へと移動すると、初対面であるクロムカと共にお互いを紹介し始めた。
「……えっと、あなたがネメさまでこちらのダークエルフさんがミノリさま。……ネメさまはししょーの妹さんだと聞いてましたけど、ミノリさまはお2人のお姉さまという事でいいんですの? ダークエルフっぽいですから血は繋がってなさそうですけど……」
「……そうね、見ための通り私は2人とは血は繋がってないわ。実際は保護者ポジションになると思うけど、母親という自覚が私には無いから姉妹という関係が適切ね。そしてネメに抱っこされて眠っている羽の生えたこの女の子がリラよ。ちょっと今お昼寝中の上、顔を隠しちゃってるけど……」
クロムカから『ダークエルフ』と言われたことに対してミノリは一瞬言葉を詰まらせたものの、さほど気にしていない様子で自分とトーイラ・ネメとの関係を説明してから、リラの事もクロムカに紹介した。
そんなリラは、いくら日光浴が好きでもお昼寝でまぶしいのはイヤなのだろうか、先程からずっと抱っこしてくれているネメに顔を埋めたまま静かに寝息を立てている。
「本当は起きている時にしっかりと顔を見合わせた上で紹介した方がいいんだろうけど……ごめんね、あまり起こしたくなくて……」
「大丈夫ですの。リラちゃんにとってはそこが安心できる場所という事だから起こさないであげてほしいんですの。……リラちゃん、お二人から愛されているんですのね」
ネメとリラの微笑ましい光景を見て、柔和な表情でそのように話すクロムカであったが、その胸中では実際には別の事を考えていた。
(……リラちゃんに生えているこうもりみたいな羽から考えると……リラちゃんはおそらく魔物の吸血鬼みたいですの。
そしてミノリさまはあの耳の長さや褐色肌から察するに人間に友好的な種族のダークエルフだと思ったんですけど……少し違う気がしますの。無意識に否定したかのように一瞬言葉を詰まらせましたですし)
クロムカが考えていたのはリラやミノリが一体何の種族なのかという事で、リラについては背中にあるこうもりのような羽が見えている事からすぐに吸血鬼だとわかったようなのだが、ミノリが先程一瞬だけ言葉を詰まらせた事でどうやらダークエルフではないようだと気づいてしまったらしく、それでは一体ミノリの種族は何なのか考え始めてしまった。
(というかミノリさまから感じられる魔力がどうも変ですの。ネメさまの魔力に似たような……というか全く同じ質の魔力ですし、その魔力が覆って隠そうとしているかのように感じられるのはミノリさまの内側から僅かに滲み出ている魔物やモンスターが持っているタイプの魔力の気配……もしかしてミノリさまはダークエルフじゃなくて……モンスターさんなんですの?)
その上ミノリがモンスターである事に気がついてしまったようだ。しかしクロムカは慌てる様子はなく分析を続ける。
(だけど人間であるネメさまに魔物であるリラちゃんがあんな風に安心して眠られるぐらいに懐いているみたいですし、ミノリさまもさっきからネメさまと恋人みたいな視線を投げ合っているのです。ずっとワタシがそばで見てきたししょーとシャルさまみたいに……。
シャルさまから感じられる魔力にししょーの魔力が混じっているみたいに、ミノリさまから感じる魔力はネメさまの魔力と一緒、ということは……この家の皆様は本来敵対しあう関係は既に乗り越えたということになるですね……)
魔物やモンスターが人間を見ると本人の意思と関係なく本能的に人間を襲うように、人間もまた魔物やモンスターを見ると邪悪な存在と見なして討伐や駆除をしようと考える者が多いにも関わらず、この家にいる全員にはそういった負の感情を抱いている様子が全く感じられなかった事から、クロムカはそう結論付けた。
……ちなみにリラはそれとは別に「ある事情」から人間を見かけたからといって本能的に襲う事が無いのだが、その理由を知っているのは『あっちの世界のミノリ』だけであり、当然ながらクロムカをはじめとしたこの場にいる誰もがそれを知る術は無い。
それはともかくとして、クロムカが内心でそう考えていると、クロムカの隣に座っていたトーイラは何故か少し残念がった様子で口を開いた。
「それにしてもネメとミノリさんたちの方が先に帰ってきてたんだね。残念、私達の方が早く目的を達成できたと思ったのに。それで帰ってきたタイミングでおかえりーって言いたかったのになー」
トーイラはどうやらネメ達の方が先に帰ってきた事が残念だったようで、先に帰ってきたかった理由を打ち明けながらほんの少しほっぺを膨らませている。
「まぁまぁ。でも私達だってここへ戻ってきたのもそんなに前じゃないのよ。ね、ミノリ」
「ええ。半年ぐらい前かしら……そして帰りが本当に大変だったわ……北の大陸から移動する時に使った船が特に。
海の上で逃げ場が無い場所でもしも私やリラちゃんの正体がバレたとしたらと思うと気が気でなかったわよ……。だけどリラちゃんもその事情を察してくれたおかげで暑くても決してローブを外そうとせずに我慢してくれたから、そのおかげで私達はリラちゃんともすっかり仲良くなれたの。それにね、リラちゃんってすっかり私たちにべったり甘えてきてくれるから……」
「ミノリ、顔がだらしなくなってるわよ。私もそんな顔したくなるけど今は我慢して」
「あはは……ごめんなさいネメ」
ほっぺを膨らませたトーイラの機嫌を軽く取りなそうと、自分たちの帰還時の事情を話していたはずなのに、何故かリラのかわいさに話が移ってしまいかけたあたり、すっかりシスコンが板についてしまったミノリである。
「そっかぁ。2人がそんな風に言うんだもの、きっと私にも同じようにリラちゃん懐いてくれるよね。今から楽しみだなぁ」
話が少し変な方向に行きかけたもののそこからなんとか話をつなげる事ができたトーイラ。当然ながら先程ほっぺを膨らませたのはある意味冗談のようなもので、既にいつもの表情へ戻っている。
そして今度はトーイラがクロムカと合流して光の祝福を覚えたまでの経緯をネメ達に話し始めた。
「ちなみに私達の方なんだけど、実は旅立った初日にクロムカと出会う事ができたんだ。気持ち悪いモンスターと戦っていたクロムカを私が手助けしたら、弟子にさせてもらいたいとお願いしてきたから、私が師匠になる事にして一緒に光の神殿に連れて行ったの」
「そうなんですの! ししょーは本当にすごくて……あの姿に憧れない人なんていないですの」
どうやらその時の記憶が鮮明に思い出されたらしいクロムカはとても嬉しそうな顔になりながら、トーイラの話に同調した。
その出会いとなった戦闘はクロムカの両親の敵討ちであり、本来なら悲しい記憶のはずなのだが、トーイラとの出会いのおかげですっかり良き思い出として上書きされたらしい。
「へぇ、そうだったのねトーイラ。するとその後は光の祝福を覚えるために修行をずっと?」
「あ、違うよネメ。私は1ヶ月ぐらいで光の祝福を覚える事ができたから、あとは自分の魔力やそれ以外の魔法の習得に費やしていたりそれ以外の事に時間を費やしていたよ。ずっと残っていたのは別の目的があったから」
「へ? 別の目的? それって一体……?」
ネメはてっきりトーイラが光の祝福を取得するのに意外と手間取って今日になってしまったのだろうと思ったのだが、トーイラの口から返ってきた言葉はすぐに光の祝福を覚える事ができたことと、別の目的があったというネメ達も知らない理由。
ではその目的とは一体何なのかという新たな疑問が湧き出したネメは再びトーイラに尋ねた。
「えっと、クロムカにも光の祝福を覚えさせようとしたからなんだよ。私は元々光の巫女になれる素質があると言われていたし、実際に修行もしていたからすぐに習得できたんだけど、実は光の祝福って、強力な光属性の持ち主なら私より効果は少し落ちるけど頑張れば覚える可能性があるって知ったの。
そして、その可能性のある光属性の持ち主こそクロムカで……そんなわけで私はクロムカにも光の祝福を覚えさせようと共に修行して、結果的にクロムカも3年後には光の祝福を覚える事ができたんだ」
「そうなの!?」
「は、はい、そうなんですの。うまく使えるかわからないですけど……」
トーイラの言葉を聞いたミノリたちが驚きながらクロムカの方を見やると、その言葉にしっかりとクロムカは首を縦に振りながらそれを肯定した。どうやら本当に習得することができたらしい。
「そうだったのね。ということは光の祝福の使い手が2人も……って、あれ、ちょっと待ってトーイラ。でもそれでもまだ計算が合わないんじゃない? だって3年で修行終わっているはずだからもう少し早く帰ってこられたはずよね? なんで帰ってきたのが今日になったの?」
トーイラ達が戻ってくるのに今日まで掛かった経緯の一部を聞いて一瞬納得しかけたネメだったが、まだ1年の空白がある事に気づき、もう一度トーイラへその疑問を投げかけた。
「えっと、それは……」
するとどういうわけなのか、先程までは流暢にネメからの問いに対して言葉を紡いでいたはずなのに、その疑問が来た途端、何故かトーイラは言いにくそうに視線を反らしたかと思うと、ゆっくりとシャルの方へ視線を向けた。
「……シャル? ……って、まさかシャルまで光の祝福を覚えたって事なの?」
「え、本当に!?」
「イヤイヤイヤ!! 私は違います、覚えてないですよ!?」
まさか視線が自分に向けられるとは思ってもみなかったシャルは、慌てて首を横に振ってそれを否定しつつも、原因の一端は自分であるとわかっていたからか、少し気まずそうにしながらその理由を口にしだした。
「えっと、確かにもしかしたら私も覚えられるかもと思って私も軽く試してみはしましたよ。でも元々私の魔力の属性は光と相反する闇とついでに火でしたので、当然ながら光の祝福は勿論の事、最弱の光魔法すら覚える事ができなかったです」
一応試してみたらしい。
「まぁそうよね。それで覚えられたら光の巫女の存在意義すら不透明になるし……。でもトーイラがシャルの方を見たって事は、遅くなった理由はシャルに関係あるのよね? 一体何があって遅れたの?」
「えーっとそれは……」
続けざまにミノリから質問を受けたシャルはトーイラの方に視線を向けたまま口ごもってしまった。
その視線のやりとりから、どうやらシャルとトーイラ2人に関係があることが理由である事は明白なのだが……シャルは恥ずかしそうにもじもじとしながら口を噤んでしまった。
「……シャル、言いにくいのであれば私が言うよ。これは私達の問題だから」
「あ、いえ、大丈夫ですトーイラさま。これは私が言わないとダメな事ですから……」
このままでは埒が明かないと判断したトーイラがシャルへ助け船を切り出そうとしたのだが、シャルは大丈夫だと言わんばかりにやんわり断ると、顔を真っ赤にしつつも意を決したかのような表情でその理由を打ち明け始めた。
「ネメさま、ミノリさま、……白状します。……私、どうしても欲しかったんです……トーイラさまとの子どもが……」
「「……子ども!?」」
今日まで遅れた原因、それはトーイラとの子どもが欲しいからだったそうで、まさかそれが理由だと露にも思っていなかったミノリとネメは驚いた表情を見せたが、シャルはそれを意に介さないまま続けてその理由を口にする。
「はい……女性型モンスターには相手の魔力を体内に蓄え続けると時間は掛かるものの相手の性別関係なく子供を為す事ができる体質の者が多く、私もその一人なんです。……ですが私と相性が悪い属性が一つだけあって……それが光属性でした。
光属性は私の闇属性と正反対の属性なのもあって他の属性の魔力が体内に入った時よりも体から抜け出る時間が早くて非常に溜まりにくいんです。
一時的に人間の目を欺く為の魔力供給であれば別に光属性でも問題はないんですが、子どもを為そうした場合はそれが大きな障害になってきて……だから私はトーイラさまに相談しました、子どもが欲しいと。
そしたらトーイラさまも一緒に考えてくれたんです。ですよね、トーイラさま」
「うん、シャルの言うようにそれが理由だよ、だから帰ってくるのが今日までになったわけ」
シャルがそこまで話してからトーイラの方を見ると、トーイラもその言葉に同調するかのように言葉を続けた。どうやら子供が欲しいというのはシャル一人の狂言ではなく、トーイラも同意見だったらしい。
「トーイラも考えた……ということは、もしかしてトーイラとシャルは恋人……? 私とミノリみたいに」
「そう、シャルは今ではもう私の恋人。あんなに雑に扱っていたはずなのに自分でもおかしな話だとは思うけどね。
そして恋人になったシャルのお願いを無碍にするようなじゃないもの私……って、ネメも無事ミノリさんと恋人関係になれていたんだね。おめでとう。私を練習台にした甲斐があったね」
自分たちが旅立った直後にネメとミノリは恋人関係になった事を当然ながら今知ったトーイラは、改めてネメに祝福の言葉を伝えた。
「ありがとうトーイラ。でも……ずっと我慢の日々なんだったのよね。ミノリの倫理観がきっちりしすぎていて……。でも明日には16歳になるからそしたらミノリを……」
「へ、へぇ……そうなんだ……」
それに対してネメは素直にお礼を述べたものの、何故か一人で欲望渦巻く笑みを浮かべながら自分の世界にトリップしてしまった。恋人となった日から4年もの間、ほぼほぼ禁欲生活を強いられてきたネメは、恐らくミノリに対しての欲望が色々溜まり続けていたのかもしれない。
……そして、そんなネメを見ながらトーイラは、何故か疚しい事があるかのようにしながらも相槌を打った。それはまるで自分たちは既にミノリの倫理観を超えるようなことを既にしているかのような素振りに見えなくもなかったのだが、トーイラはそれ以上この話題に触れようとはしなかった。
「えーっと……ネメが自分の世界に行ったまま帰ってこないけど……シャル、続きを話してもらってもいいかしら?」
ある意味今のネメの精神状態を作り出してしまった元凶であるミノリもまた、触れるのは止そうと思ったのか、これ以上この話題に触れようとせずにシャルに続きを話すよう促した。
「あ、はい。……そして出た結論が『光属性の魔力が抜け出さないように私自身の体を光属性で分厚く覆う事』で、それが可能な場所こそ、光の神殿だったんです。
光の神殿内はありとあらゆる人や物から光属性が常に放出されているという唯一の場所で、あふれ出てる魔力を私が浴び続けたら、自然と私の体が光属性の魔力で覆われるに違いないと判断したわけでして……。
さらにトーイラさまと口づけする事でも体内へも光属性の魔力を供給してもらうことで、もしかしたらできるかも……なんていう賭けに付き合ってもらって、それで神殿に滞在するのを今日まで粘っていたわけなんです。
神殿を離れるとその直後から体を覆う光属性の間量の効果がどんどん弱くなっていくかもと思ってトーイラさまの誕生日が目前になった今日まで……」
「誕生日まで?」
何故突然誕生日が関係したのだろう、自分の世界へのトリップから戻ってきたネメはその理由がわからず、ポツリとその疑問を口にすると、シャルに変わって今度はトーイラがそれについて説明した。
「うん、さっきシャルも話していたけど、私はシャルと口づけはとっくにしていたし、絡ませる方のキスもしたし、服や下着ごしに体を触ったり抱きしめたりなんて事はしたけど、一番魔力供給するのに適している行為までは……し、してなくて、3年間シャルの体内から私の魔力が放出されないようにしつつ、少しずつキスとかでシャルの体内に魔力を蓄え続けていたという感じなんだ。それ以上の事をするのは私が誕生日を迎えてからって2人で決めてたから。ホントダヨ、オ互イ清イ体ダヨ」
性的な意味で肉食傾向の強いトーイラだが、どうやらお互いに健全な関係を貫き続けていたらしい。不自然に噛んだ箇所があったし、言葉の最後で謎の片言になっていたが恐らくちゃんと守ったのだろう。そうに違いない……多分。
しかし、律儀にそれを守ったと仮定したとすると、今2人が話したことが意味するのはつまり……少し無粋なミノリはうっかりそれを尋ねてしまった。
「つまり2人は……これからはそういった『恋人同士がするような性的な行為』をするって意味……よね?」
「「………」」
ミノリがそれを指摘すると、二人して無言のまま瞬く間に既に赤くなっていた顔をさらに真っ赤にさせた。
肉食な割には意外と初々しいカップルである。
「あー……ごめんね、トーイラにシャル。悪い質問しちゃったわね。言わなくても大体わかったから大丈夫よ。
そしてトーイラももう明日には大人になるわけだし、2人がそういう行為をしたいのならしても構わないと思うわ。……まだ幼いリラにだけはそれを見られないように気をつけてもらえれば。
……それにしてもシャルが問題なく光の神殿に滞在できたのは不思議よね。光の神殿なんてある意味シャルにとっては敵の本拠地も同然なわけだから、シャルだけ門前払いになりそうな気がするのに」
再び話題を反らそうとしたミノリがふとその疑問を口にするとそれについてもトーイラが大丈夫だった理由を話し始めた……何故か慌てた様子で。
「あ、えっと、そこはほら、私という存在があったから。なんてたって私、光の巫女になれる存在だし、多少の融通は聞イテクレタンダヨ」
「へぇ、そうなの。トーイラってやっぱりすごいのね」
トーイラはそうミノリに説明したが、当然ながら真っ赤な嘘である。シャルが神殿内に入る事ができたのはトーイラがあれこれごねたり、光の使いラリルレを脅した結果だ。
そんな子供っぽい理由を言うのは恥ずかしかったのもあって、トーイラはごまかそうと嘘をついたわけだが、いまいち嘘をつききれなかったのか、話の途中で不自然な棒読みとなってしまった。しかし幸いにもミノリはそれに気づかずに、相槌を打った。
「……そんなわけだから、私とシャルが何かしているのに気づいたとしても、気づかなかったことにしてもらえたら嬉しいな。恥ずかしいというのもあるけど……それだけ私達が必死って意味だから。
とまぁ、私達の方は大体こんな感じだったよ。……というわけでミノリさん、もうリラに与えてもいいんだよね、光の祝福」
ミノリ達に色々嘘をついてごまかした事や性的な方面での話はなるべく早めに切り上げたかったらしい肉食系初心少女トーイラは話の腰を折るように光の祝福について切り出した。
「あ、うん。それじゃトーイラ、お願いできるかしら」
「もちろん、私に任せて! ……と言いたいところなんだけど……」
「ん?」
そしてついにリラに光の祝福を与える時がついに来る……はずだったのだが、何故か尻すぼみな反応を見せるトーイラ。
「……どうしたのトーイラ、光の祝福覚えたんだよね?」
「うん、確かに覚えたんだけど、ちょっと考えてることがあって……光の祝福を与える役目はクロムカにお願いしようと思うんだ」
「へ!?」
一体どういう意図があるのだろうか、トーイラは光の祝福を与えるのは自分ではなく、一番弟子のクロムカにさせてみたいと発言したのであった。




