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人型モンスター転生少女『ミノリさん』の義娘子育て記録【本編完結済】  作者: OPK
番外編2 もう一人のミノリの家族計画。
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番外編2-9. 持て余す事必至の時間。【トーイラ視点】

番外編は今回からトーイラ・シャルルートの方に入ります。

そして今回は2回更新となります。


また、少しR15的な展開から始まっています。苦手な方はご注意ください。

──時は遡って2年前。ネメたちと別れてシャルと共に光の祝福を覚えるついでにクロムカを救助するべく文字通り飛んでいった私、トーイラがそれから何をしていたかというと……。



 ******



「シャルー、どうせ時間はあるんだし安全運転でお願いねー」

「あ、はっ、はい……」


 私のお願いに対して妙に色っぽく返答するシャルの声を聞いて、満足げな表情をしてしまう私。

 さて、ほんの数時間前、思い立ったらすぐ行動とばかりにシャルと共に颯爽さっそうと家を飛び出したんだけど、私がすべきことはリラという子を助けに行ったネメたちが家へ戻ってくるまでに、光の祝福を覚えるついでに、既に何処にいるかわかっているクロムカという子を連れていく事だけ。


 そして光の祝福についても実はあと少しで覚えられそうな段階で逃げ出したのでそれを踏まえると私にとってこの4年という猶予期間は正直なところ持て余すことは必至……どころか既に持て余している。


 でも、それならそれでいいかとばかりに私は悠々と空の旅を満喫していた。といっても私は飛行魔法が使えるわけじゃないので飛行魔法が使えるシャルのほうきに同乗しているだけなんだけどね。あとでシャルに教えてもらおうっと。


 ちなみに、さっきシャルが妙に色っぽく返事を出した理由なんだけど、それは私が原因で、シャルに捕まっている手の位置がそれ。

 こんな風に誰かの後ろに同乗させてもらう時って相手の腰に掴まるのが普通なんだど、私はただなんとなくそうしてみたかったという理由だけでシャルの胸を鷲づかみにして……そしてたまに揉んでいた。


 シャルってゆったりした服を着ているからかネメやミノリさんは気づいてないようだけど……出るところは出て、引っ込むところは出てるという着痩せするタイプで……まぁ、揉み甲斐があるというか……すごくさわり心地が良くてこれはずっと揉んでいたくなる。


 シャルが女性型モンスターであることを考えると、人間相手に負けて殺されそうになった場合でも、少しでも生存確率をあげようとした種族の生存手段としてこうして大きく、そして柔らかくなったんだろうけど……この弾力は同性の私でも抗えない。


「あ、あの、トーイラさま! 安全運転をお願いするのならせめて掴まるのは私の腰にしてもらえないでしょうか!? 胸を掴むを通り越してしきりに揉まれてしまっては流石に集中できないですっ! なので今は控えてもらえると……夜であればいっぱい揉まれますので……」


 一心不乱に胸を揉む私に対して、顔を真っ赤て涙目になりながらこっちに顔を向けて懇願するシャル。その涙目とおねだりするような声で余計に私の中にある嗜虐心しぎゃくしんそそられてしまってついいぢめたくなっちゃうんだよね。


「何言ってるのシャル、これはどんな状況下であっても私の事を落とさずにちゃんと飛べるのかというテストを兼ねているだけだからね。決して私にはやましい思いなんて全くないからおとなしくこの状況を受け入れてなさい」


 だから私は詭弁きべんを貫く事にした。だってシャルの胸を揉むの楽しいもん。


「テストなら、はい、わ、わかりましった……あっ」


 声を発しようとするたびにシャルはいちいちあえぐので私はもう大満足……それにしてもなんで私、この子といい関係になってしまったのかなぁ。

 最初、なんか調子に乗って襲ってきたから返り討ちにしてそのまま殺そうと思ったのに……あれ、そういえばなんで生かしてあげたんだっけ? まぁもう別にいっか。


 私とシャルの関係が敵同士だった当初から、主従という関係を経て、さらにそれ以上の関係に足を踏み出しかけてしまっている事からもわかるように、なんだかんだ私はシャルのことを手放したくなくなっているんだよね。アホの子ほどかわいいというのもあるけど……こんな風に一途に想ってくれているのが伝わってくると、私もその気持ちに応えてあげたくなっちゃっているというか……うん、私、シャルの事、好きなのかも。いつかはその気持ちをシャルにも伝えてあげたいけど……少し恥ずかしいからまだ無理。


 まぁ、そんな私の気持ちはいいとして、その後もずっと私はシャルの胸を掴んで時折揉んで、そしてたまーにシャルがそれでバランスを崩して地面に落下しかけたりするような事もあったけど、比較的空の旅は順調に進んだ。


 そしていくら暇を持て余しているとはいえ、流石に胸を揉み続けるのも飽きてきた私はシャルにテスト終了を告げ、後はおとなしくシャルの腰に手を回してしがみつき直してから改めて上空からの眺めを堪能していると、丘の向こうに小さな町が段々見えてきた。


 えーっと、確かここは……。


「ねえシャル、今あっちの方に見えてきた町が確かズエクゴジだったよね? そしてここからさらに先に行くとイケイーエウがあって、それも越えた先にある山のいただきにあるのが光の神殿で合ってるよね。あの時は無我夢中だったから結構うろ覚えだけど」

「はい、それで合っていますよトーイラさま。そしてネメさんとミノリさんからの情報でとクロムカという少女がいるのがこのズエクゴジです」


 シャルに確認すると、見えてきた町はやっぱりズエクゴジで合っているみたい。そしてシャルが言うように、ズエクゴジは私達が連れて行くべき『クロムカ』が住んでいる町でもある。


「うーん……そうなんだけど……どうしようかな」


だけど私はちょっとクロムカを探すタイミングで実は悩んでいたりする。

 というのも、まだ4年も猶予がある中で今からクロムカを探し始めるというのはあまりにも時期尚早な気がするんだよね。今からクロムカを探し出して、言いくるめてズエクゴジから連れ出す事が出来たとしてもそれから後は何をすればいいんだろうという話になるわけで……。

 

 それを考えると、今急いでクロムカを探すんじゃなくて、先に光の祝福を覚えた上で、その帰りにクロムカを探した方が効率的ではと思ったりもするわけで。だって、まだ家を出てから1日どころか半日も経ってないんだよ?


「どうしますトーイラさま、クロムカという少女を探しに降りますか?」

「えーっと……それを今考えていたところだったんだけど、まずは先に光の祝福を覚えた方がいいんじゃ無いかなーって思うんだー。だって今からだとあまりにも時間が余りすぎるし……」


「確かにそうですよね、それじゃここは一旦素通りしますね」

「うん、それでお願い」


 というわけで私はズエクゴジを飛ばしてシャルに光の神殿へ向かわせようとしたその時、シャルが何かに気づいたようで私の方を振り向いた。


「あれ、トーイラさま、なんだかあっちで誰かがモンスターと戦っているみたいですよ」

「へ? どこ? ……あれ、本当だ」


 私に向かってそう話したシャルが指さした方を見やると、確かに誰かがモンスターと戦っている姿が確認できる。まだ距離があるのでハッキリと見えないけれど、その場にいるのは子供数人と、保護者とおぼしき大人が一人。


 そして今モンスターと戦っているのは体格から考えると子供のようで、他の子供と保護者らしい人物はお互いを守り合うように身を寄せ合っているように見える。

 また、少し離れた場所では他の子供より大きい子供が町に向かって走って行く姿も見えたので、多分その子は町へ助けを呼びに行ったに違いない。


「ふーん……まぁ、町から誰かを連れてくれば討伐はできそうだよね。ただ、今戦っている子は見ている限り明らかに劣勢っぽいね。モンスターとの体格差もあって、さっきから押されっぱなしだし……」


 そしてそんな危機的な状況を見ても助けに行こうとはせずただ上空で傍観しているだけの私。


「どうしますトーイラさま、助けに入りますか?」

「うーん、別にいいんじゃない放っておいて。だって私達には関係ない事だし」


 シャルからの問いかけに対してもそう答えてしまうぐらいに、眼下で起きている戦闘は、私にとって本当にどうでもいい事だった。


 だって今あの子供が戦っているのは町からちょっと離れた街道。まだそんなに町から離れていないとはいえ、一歩町から出たらいつモンスターと遭遇してもおかしくないような場所だというのに、それを無策で行くのは自己責任であって自殺行為もいいところ。


 結局は自業自得なのだから放っておけばいい。


 それに私にとって今この世界に必要な存在は、ネメとミノリさん、それと頼まれたクロムカって子とリラって子、それとシャルぐらいだったし。


「なるほど、トーイラさまがそう言うなら放っておきますね」


 そして私の返答を聞いて、同じようにあっさりと相づちを打つシャル。人間である私ですら興味が薄いのだから、見た目は人間に近くてもモンスターであるシャルからすれば私以上にどうでもいい事だったみたい。それでもわざわざ私に助けるか尋ねたのは、多分私が一応同族の人間だったからかな。でも私が放っておいていいと伝えたので、それを受け手シャルが飛行魔法での移動を再開しようとしたその時……。


「ちなみにトーイラさまが感知しているかはわからないですけど、今戦っている子供から光属性の気配を感じますよ」

「え!?」


 最後の最後でとんでもない事をシャルが口にした。何さらっと重要な情報を後出しするのさ!


「ちょっとシャルそれ先に言いなさいってば! 確認したいから寄って!」

「へ!? わ、わかりましたトーイラさま」


 ネメたちから聞いていた話だと、クロムカという子は現時点では光属性を持つ人間の女の子。

 そしてこの世界では光属性の魔力を持つ人間は少ない上、さらにここはクロムカがいるらしいズエクゴジ付近……ということは今戦っている人間たちの中に、私の探しているクロムカが含まれている可能性が十分あるという事になる。


 危ない危ない……これを逃していたら絶対悪い方向に事態が進んでいた気がするよ。ただでさえ今戦闘の真っ最中だし……全くもう。あとでシャルにはたっぷりお仕置きしなくちゃ。


 まぁシャルのお仕置き云々はどうでもいいとして、ともかくこうして私は結果的に探し求めていた人物に、旅立って初日にいきなり出会えてしまったのであった。

続きは日付が変わる前までには投稿します。

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