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ぬすっと物語39 眠る

 おいらは卵に帰った。

 卵がある広間には大勢の人がいたけれど、おいらはころころ転がり、ささっと扉を開けて卵に帰った。

 むっふー!


 おいらはおなかの袋の中からちゃぶ台を取り出した。

 ちゃぶ台の前に座る。


 そしておなかの袋からノートとペンも取り出す。


 今日あったことを書いておこう。

 忘れる前に書いておこう。

 いろいろあったから、書くことがいっぱいある!


 りょうりをたべた。

 りょうりはおいしい。

 おーくすてーきはおいしい。

 りょうりはすごい。

 りんごはそのままでおいしい。

 りんごはそのままでおいしいのに、りんごでりょうりをするともっとおいしい。



 料理のおいしさを思い出しながら、ペンを動かす。

 ちょっと眠い。

 でも、ノートに今日あったことを書きたい。



 りんごのぱいをたべた。

 りんごのぱいはとてもとてもおいしい。

 またたべたーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おいらはペンをもったまま、すやぁっと眠りに落ちた。




 ◇ ◆ ◇



 おいらがすやーすやーと寝ていたら、バチっという音が聞こえた。


 おいらは眠い目をこすりながら、身体をおこす。

 あぁ、おいらはノートに書いてる途中で寝ちゃったんだ。


 うぅ、眠い。もういいや。

 ノートとペンはしまっておこう。

 おいらはおなかの袋にノートとペンをしまった。


 ついでにちゃぶ台もしまっておこう。

 おいらはちゃぶ台に手をかけて、おなかの袋にしまった。


 その時、バチチという音が卵の外から聞こえた。


 何だろう。

 おいらは卵の中をころころと転がって壁際に向かう。


 ねむいー。


 バチチチとまた音が鳴った。

 何かあるのかな?


 おいらは目をこすりながら、卵の外を見る。


 ? 見えない。


 むー。

 あっ、ゴーレムアイを使ってないからだ。


 おいらはゴーレムアイを使って卵の外を見る。


 見えた。


 卵の外に男の人がいた。

 顔には黒い覆面をしている。


 あやしい。

 あやしいぞ。


 黒い覆面の男の人が卵に触ろうとすると、卵が光ってバチチと音を立てているみたいだ。


「ちっ」と舌打ちをして黒い覆面の男の人はどこかに行った。


 むー。


 なんだろ、今のあやしい人は。

 あやしかった。

 おいらは唸る。


 まぁ、どこかに行ったからいいか。


 外は暗いから今は夜なんだろう。


 むー、眠い。

 おいらは丸くなって寝た。



 ◇ ◆ ◇



 おいらは無性に眠くて眠くて、すやーすやーと眠る。


 途中で「ぬすっと様」、「ぬすっと様、いらっしゃいますか?」と呼ばれたような気がする。


 ちょっとうるさい。

 おいらは眠いの。


 おいらはうーんと両手で耳をふさいだ。

 ころころと転がりながら卵の真ん中に移動する。

 おいらは耳をふさいだまま、丸まって寝た。



 ◇ ◆ ◇



 おいらが寝ていると、ゆらゆらと光が降り注いでくる。

 なんかちょっと多い。暖かい。


 おいらはむーんと寝転がったまま、背伸びをした。


 ゆらゆらと温かい光が気持ちよくてそのまま大の字になって寝た。



 ◇ ◆ ◇



 ぐぅ〜。


 おいらのおなかが鳴った。


 おいらはむくりと起き上がる。


 くあぁ〜と大きく口を開けてあくびをした。

 むーんと両手を上げて背伸びをする。


 よく寝た!


 ぐぅ〜。


 おいらのおなかが鳴った。

 おなかがすいた。


 おいらはおなかの袋からリンゴを取り出す。


 カプリとりんごをかじる。

 しゃりしゃり、もぐもぐ。

 リンゴはおいしい。


 だけど、料理をしたらもっとおいしい。


 おいらはリンゴをもぐもぐもぐと食べ終えると卵の外をゴーレムアイで確認する。


 おし!

 人は少ない。


 おいらはさっと卵から出て、さささささと広間から走り出た。


 中庭にリンゴを採りに行こう。

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― 新着の感想 ―
[一言] この優しい雰囲気が最高です。 いつかまた再開しますように。
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