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ぬすっと物語15 もぐもぐ

 ぐぅ〜。


 おいらはおなかをさする。

 お腹空いた。


 何か食べるものはないかな。

 おいらは厨房の中を見回す。

 今日は昨日と違って誰もいない。


 オレンジ色をした先が細くなっている物が木の箱に入れられていた。

 おいらは近づいて、すんすんと匂いを嗅ぐ。

 甘そうな匂いはしない。


 周りには誰もいない。

 おいらはおなかの袋から、銀色のお金を一枚取りだして木の箱のそばにそっと置いた。


 代わりにおいらはオレンジ色の野菜を1本手に取る。

 おいらはオレンジ色の野菜をがぶりとかじった。


 もぐもぐ。

 ……。

 もぐもぐ。

 ……。

 ごくん。


 かぶり。

 もぐもぐ。

 ……。

 もぐもぐ。

 …………。

 ごくん。


 赤い果物ほど、おいしくない。


 おいらは1本オレンジ色の野菜を食べ終わると、もう1本手に取り、おなかの袋にいれる。

 これは非常食。


 食べるのは、おいしいだけじゃない……。


 おいらはとぼとぼと厨房を後にした。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 廊下を歩いていると、緑色が見えた。

 おいらはそちらに近づいていく。


 草が生えてる!

 木もある!


 これが自然ってやつ?

 おいらは建物から外に出て、草の上に立つ。

 おいらはしゃがんで、草をぽんぽんと触ってみた。


 うん、柔らかい。

 おいらは寝転がってみる。


 ヒヤッとしてる。

 みずみずしいからかな。


 おいらはころころと転がる。

 木の近くまで転がった。


 おいらは木の手前まで転がると起き上がり、木を触ってみる。

 ごつごつしてる。


 これ、登れるんじゃない?


 おいらは木に手と足をかけ、登ってみる。


 ん。


 よっと。


 いける。結構登れるもんだ。


 ほっ。やっ、とう!


 木の上の枝に登れた。

 うん、高いからか見晴らしがいい。


 木の枝から見ると、緑の部分は建物に囲まれてる。

 これは、中庭ってやつかな。


 おいらが中庭を観察していると小さな鳥がおいらの側にやってきた。

 小さな鳥がぴょこぴょことおいらに近づいてきている。


 ひょっとして、見えてないからおいらに気付いてない?

 おいらは、ちょんと、指で小さな鳥をつつく。

 小さな鳥は驚いて飛んで行った。


 あぁ〜。

 バイバイ。おいらは小さな鳥に手を振る。


 まばらに人が見える。

 昼じゃなくてまだ朝なのかもしれない。


 さて、他の場所に行こう。


 おいらは下を見る。


 高い。思ったよりも高い。


 おいらはひしと木の幹にしがみつき、おそるおそるゆっくりと木から下りた。

 なんとか木から下りたおいらはふぅと大きく息を吐いた。


 あぶないね。

 高いところに登るのは気を付けないとダメだ。


 おいらはしばらく中庭でいろいろな木や草を見たり、かじったり、触ったりした。


 中庭に出てくる人が増えてきたので、おいらは中庭を離れる。

 ここにはまた来よう。


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