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 アイは、少しだけ緊張した顔をしていた。

 何をする気だ。

 俺も、少しだけ緊張していく。


「先輩。言いにくいんですけど……」

 アイの頬は、赤く染まっている。


 まさか、二度目の告白か?!

 

 俺は、さらにこわばった顔になる。


 もし、アイが再び告白してくれたら、俺は断ることができるのか?

 そんな痛いことを考えていた。


「あの、ですね。その……」

 アイは、いつもの本性を隠して、しおらしくしている。

 そのギャップを見て、俺はドキドキする。


 これは告白に違いない。

 俺は、確信した。


 どうする、俺。

 相手は、AI。

 冷静になれ。


 どんなにかわいくて、元気いっぱいで、話が合っても、相手は人外だ。


 俺は、どんどん混乱していく。


「ふぅー」

 アイは、大きく息を吸った。

 ついに、来るぞ。


 俺は覚悟を固めた。


「わたしと……」

 やっぱりだ。


「金魚すくいしてください」

「ちょっと、考えさせて……。えっ?」


「一度でいいから、金魚すくいを見てみたかったんですよ。お願いします」

 ああ、お願いって金魚すくいのことなんだね。

 そっか。

 俺、勘違いしていたよ。


「わかった。いこうか」

 俺は、気の抜けた声で、そう言った。


 ※


 金魚すくいの屋台に向かう間、先輩はずっと黙ったままだった。

 顔が赤くなっていたのはわかっている。


 やっぱり、告白だと思われていたんだな。

 わざと、勘違いさせるような、言い方をしたんだけど……。


 ひとごみのせいで、先輩に声が届かないことを確認して、わたしはつぶやく。

「少し考えたら、オッケーしてくれんですか? 先輩」

 自分の体が少しずつ熱くなっていくことを実感した。

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