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アナザーレイド  作者: 好日日和
完結編
61/62

創造主達

アナザーレイドも終盤に向かいはじめます

薄暗く青い光が仄かに光る部屋には、とても背の高い椅子が50脚、等間隔に並んでいる。


その椅子に座る50の影。


人のようなもの。

獣のようなもの。

姿が見えないもの。


姿形は様々であるが、彼らは各々が世界の創造主である。


そんな彼らは定例の会議の最中であった。


特に話し合うこともないのだが。


「そういえば、お前のところはもう脱落したらしいな」


顔の部分が蛇で身体は巨大な美しい羽をもつ鳥の創造主の一人がそう言った。


「ふん、あんな世界なぞくれてやるわ。どうせもう興味はないからな」


挑発されたのは、阿修羅像によく似た顔が三つある人型の創造主だ。


この場での話題は専ら「アナザーレイド」についてである。


前々回の創造主が一堂に会したときに、アナザーレイドは発案され、すぐさま可決された。


世界を創造することが仕事である彼らは、気の遠くなる程の時間を費やして、各々が独自の世界を創っていた。


しかし、同じことの繰り返しをする日々に飽きてしまっていた。


そこに「互いの選んだもの達を戦わせる」という楽しそうな発案があれば、皆声を揃えて賛成した。


賭けるものは互いの世界の管理する権限。


例え、この権利を失ったとしても、その世界での立場は変わらない。


運営を勝った相手に任せるということだ。



世界創りに疲れたもの、興味がなくなったものはもちろん、他の世界を管理してみたいなど、様々な理由でアナザーレイドは受け入れられた。


アナザーレイドが開始されると、創造主達は自分の世界から代表者を選出しだした。

レイドバトル特有の「スキル」を付与し、いかに有利にレイドバトルを進めるかが鍵と考えられた。


また「スキル」は対象者の強い想いを形に変えることで得られるものとした。何でもスキルとして与えしまっては面白味に欠ける。

選んだ者が望むものをいくつかスキルとして与えることにした。


「ところで、貴殿の代表者は珍しく相手を殺さずに勝ち進んでいるようですね」


ただぽっかりと宙に浮かんだ真っ黒い球体が声を発した。


「そうですね、うちの代表者は変わり者ですから」


応えたのはメディテイカムだ。


「貴殿が何か力添えをしているのではと、専らの噂になっていますよ」


「そんなことはありませんよ。我々が関与出来ることなんて限られているではないですか。それにアナザーレイドに干渉することは禁則事項にあたりますので、私が力添えをしているのであれば、既に罰せられているでしょう」


自身の関与を否定するメディテイカム。


確かにアナザーレイドに干渉はしていないが、時折「第12世界の()()()」としてメイに話しかけることはある。それがルールに反していないことを知った上で。


「あと7体ですね、勝ち残っている代表者は」


メディテイカムが話題を変えると


「ふふ、私の世界の代表者は強いですよ。今までの対戦相手はほぼ何も出来ないままに生命活動を停止させていますから」


表情のわからない球体が上機嫌に話す。


アナザーレイドは勝ち残りの戦いだ。


一対一で戦いが進んだとして、5ないし6回戦目で優勝者が決まる。


あと2、3回のレイドバトルでアナザーレイドは終わることになる。


「もう少し、だな」


誰にも聞こえない程の声でメディテイカムが呟いて、そのまま創造主達が集まる場を後にした。

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