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アナザーレイド  作者: 好日日和
VS 第16世界 カイナ編
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カイナの思い

 頭の中で疑問符が沢山浮かぶ。



 この星が終わりを迎えるのは私にとって関係ない。ましてや、私はアナザーレイドにおける対戦相手のはずだ。


 その私に助けを求めるカイナの意図が分からなかった。



「どういうことですか?説明して下さい」



「そうですね。何の状況も説明せずに失礼致しました。こちらを」



 そう言ってカイナは私達が座る円卓を見るよう促した。



 円卓の天板の色が変わり、星の映像が映し出された。



「これが今私達が住む星『ケンオウセイ』です。赤い部分は砂漠化した土地、黒い丸で示した場所は私達のような機械がいる場所です。緑色の点は植物が存在していることを表しています」



 そう説明を受けて星の映像を見ると、ほとんどが赤色だ。その中に数えるくらいの黒丸がある。更に植物がある場所は、黒丸の中のほんの僅かな部分しか無い。



「ご覧頂いたように星のほぼ100%が砂漠化しています。私達の拠点は星全体で11箇所しかありません。守ってきた植物達も、拠点が機能を止めると同時に消滅してきました」



 表情は変わらないが、声色から悲しみが伝わってくる。



「私達を造った種族は遥か昔に滅びました。私達は『カイナ』この星の言葉で『希望』という意味を与えられ造られました。



 初めの十数年は、この星の発展のため様々な研究や開発に使われていましたが、種族同士の争いが始まると、全ての『カイナ』は各々の国の兵器として利用されました。



 結果として、私達を造った種は滅び、他の生物も生きられない環境となりました。


 そんな環境下でも、酸素や食事を必要としない『カイナ』達だけは生き残ってきたのです」



「そうだったんだ…」



 地球でも、近い将来あり得そうな話であった。なんだか私も悲しい気持ちになる。



「長い年月の中で、朽ちていく仲間もいました。それでも私達はここにいます。


『どんな生物も、その生命の連鎖を絶やすことなく、生存していける環境をつくれ』


 これが『カイナ』の皆に与えられた根源の指令です。なんとしてでもこの指令を達成しなければならないのです」



「…もう生物が残っていないのに?」



「絶滅した種のDNAは保存しています。植物が育てばいつかそのDNAは復元できるのです。


 しかし、先に星が終わりを迎えてしまうのです」



「どうして?植物ならこの辺りにあるじゃない。どの花も木も、いきいきしてる様に見えるけど」



「何十年も前に飛び立った観測用宇宙航行船から信号がありました。ケンオウセイに巨大な隕石が飛来する、と。



 私達には隕石を迎え撃つための資源がもう無いのです。それに…」



 カイナの言葉が途切れる。


 しばしの沈黙の後、



「それに、仮に資源があったとして、何度試算しても巨大隕石を食い止める手段がないのです。


 あらゆる方法を持ってしても、隕石は小さくはなれど飛来自体を防ぐことはできません。



 ケンオウセイは終わりを迎える運命にあるのです」




 どれだけ長い年月、カイナ達がこの星を守ってきたのだろうか。きっと隕石が降ってきたこともあったはずだ。


 それを食い止めてきた高性能人工知能は、「できない」と判断したのだ。


 本当に手立てがないのだろう。




「貴方のような、人間なんかよりずっと知能が高いはずのロボットができないのに、私なんかがどう役に立つの?」



「わかりません…。ですが、私達は過去の情報を基に最適解を割り出して動いています。


 つまり経験したことのない事態には対応する力が弱いのです。



 今回の隕石は、私達が持ち合わせている過去の情報を遥かに超えています。



 メイさん、お願いする立場にないとは分かっています。

 ですが、なんとかこの危機を回避して星を守りたいのです。



 お願いです、どうか力を貸してください」



 カイナは深く頭を下げた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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