思惑
50話目です。ここまで書いて来られたのは皆様のおかけです!
真っ暗だった視界は急に明るくなった。
どうやら、長いすべり台は終わったみたいだ。お尻がジンジンする……。
「手荒な事をして申し訳ありません」
「だってお嬢ちゃんよぉ、怖がって行かないかもしれなかったろ?勘弁な!」
カイナとカンちゃんが謝罪する。
「いえ、大丈夫ですよ。生きてますしね。それよりここはどこですか?随分と綺麗ですね」
すべり台の先にあったのは、緑豊かなお庭だった。
小さな公園くらいの場所に、等間隔に樹木が植わっている。葉っぱの形がそれぞれ違うことから、沢山の種類があることが分かる。
それに綺麗に咲く花々。赤やピンク、青色などの花が見事に咲き乱れ、ふわりと優しい花々の香りがする。
「素敵な場所ですね」
「気に入って頂けましたか?私達の祖先が守ってきた植物たちです。どうぞ、こちらへお掛け下さい」
花のアーチをくぐった先に円卓と椅子があった。これらは鉄製なのか、銀色に輝いており、場違いな感じが否めない。
きっと、木一本でも大切なんだろう。
外じゃ植物が育つような環境ではなさそうだったからね。
腰掛けたカイナは真っ直ぐにこちらを見ている。
最初の映像で見た時には分からなかったが、カイナの目にあたる部分は人間と同じような場所にありカメラのレンズのようだ。
もう2つはサポート的な役割なのか、メインの目に比べて小さく、おまけ程度についている。
鼻や口はないため、表情はない。
しかし、話し方に抑揚があり、そこからなんとなく感情が読み取ることができた。
パールホワイトの表面には汚れ一つなく、華美な装飾もないのに美しさを感じる。
機能美ってこういうことを言うのかな?
カイナをマジマジみていると、警察風ロボットがお茶を出してくれた。
「ここの花から頂いたお茶です。お口にあえば良いのですが」
運ばれてきたカップには薄いピンクの液体と花びらが一枚浮かんでいる。
一口飲むと、その上品な香りが鼻から抜けてとても美味しい。
「とても美味しいお茶ですね」
「ありがとうございます。ふふっ。メイさんは本当に素直なかたですね。敵にはもう少し警戒したほうがいいですよ」
しまった…。また敵陣にあることを忘れていた。何度やらかすんだ私。
「ともあれ、私が出すものに毒などありません。メイさんのそうした素直さが素敵なところでもありますよ」
そう私を褒めてくれるカイナ。
優しいな…なんで今回はこの人と対戦なんだろう…。
「さて、本題に移ります。実は折り入ってお願いがあります」
「なんですか?バトルの便宜については図れませんよ」
そればかりは譲れない。私にも守るものがある。
「いえ、レイドバトルのことではございません。この星についてです」
「へ?」
「この星、ケンオウセイは間もなく終わりを迎えようとしています。私はそれを食い止めたいと考えています。そこでメイさんの力をお借りしたいのです」
カイナは大きなレンズを真っ直ぐ私に向けて、そう言った。
いつもお読み頂きありがとうございます!節目の回となりましたが、物語はまだ続きます。
これからもよろしくお願いします。




