シュウ国
「ほら、ここがシュウ国さ」
カンちゃんについて行くこと丸1日。
どうやらシュウ国に到着したらしい。
「らしい」というのは、どう見ても自分の目に映るものが街や国の様相をしていないから。
不思議なことに街には砂嵐が吹いていなかった。しかし、
街は廃墟だった。
草木は一本もなく、地球の廃墟で見られる植物に覆われた建物など一つもない。塗装らガラス、建物の付属品も無いか壊れている。
ただ、全てのモノが壊れているわけでなく、複雑な形のロボットらしきものが、そこかしこで動いている。何をしているかは分からない。
「カンちゃん、ここがシュウ国…?」
「さっき言ったろう、間違いなくシュウ国さ。廃墟に見えるかもしれんが、ちゃんとここで生活している奴らもいるんだ。ちなみに国王もいるぜ」
「住人がいるの?」
「目の前にいるじゃあないか。彼らは皆、ここの住人だ」
どうやらあのロボット達はシュウ国の住人らしい。
ちなみにカンちゃんもシュウ国の住人だと教えてくれた。
「シロマちゃん、もうレイドバトルは開始してる?」
「はい、メイ様。既に開始から3時間ほど経過しました」
「あら、これまた随分と高性能な機体ですな。それでいてそのカタチ…なんとも唆る…」
そういえばシロマちゃんとカンちゃんの前で喋っていなかったな。
カンちゃんがシロマちゃんの尻尾の動きに合わせて顔を上下させている。
うん、やっぱり猫だわ。
「そいで?シュウ国に来た理由は?お代次第で手伝ってやってもいいぜ」
シロマちゃんは尻尾をくるくる回している。
つられてカンちゃんの顔もくるくるする。
「ありがとう。実は人探しをしてて、この人なんだけど。シロマちゃん、お願い」
シロマちゃんは動きを止めて宙に画面を出した。映っているのは今回の対戦相手「086-カイナ1156号」だ。
カンちゃんはじっとその画面を見ている。
そして
「こいつぁまた大物を探してんなぁ」と呟いた。
「本気で会いたいのかい?なんなら直ぐにでも会わせてやるぜ。その代わりお代は…」
「また撫でたらいいの?」
「いや、今度はお嬢ちゃんじゃない。そっちの白いアンタだ」
え?シロマちゃんに?
「その…なんていうかアンタを見てるとウズウズするんだよ。白いフォルムとか大きさとか、タイプなんだよ」
あ、そういうことね。
「シロマちゃん、お願い。尻尾をランダムに動かしながら、カンちゃんに捕まらないよう緩急つけて逃げ回って」
「かしこまりました。メイ様のお願いであれば仕方ありません」
シロマちゃんはお願いしたとおり、尻尾を器用に動かしがながら、カンちゃんに捕まらないよう飛び回る。
それをそれを真剣に追いかけている猫型ロボット。
「はぁはぁ…たまんねぇぜ!」
変態みたいなことをいいながら、シロマちゃんを追いかける。
猫がオモチャで遊ぶ様子を30分くらい見ることになった。
ーーー
「ふぅ…最高だったぜ…」
ようやく気が済んだのか、自分の身体をペロペロと舐めている。
(興奮冷めやらぬ、って感じか)
「じゃ、約束通り大物を呼んでやるぜ。覚悟しとけよ」
なんか不穏なことを言うカンちゃん。
そして、
「ここに生身の人間がいるぞー!!警戒レベル3だ!上級警備隊で頼む!!」
拡声器でも使ったと思うくらいの大きな声で、そう叫んだ。
数秒後、私は大きくて如何にも警察の格好をしたロボット数体に囲まれてしまった。
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