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アナザーレイド  作者: 好日日和
VS 第16世界 カイナ編
47/62

案内役

猫型ロボットといえば、日本で最も有名なロボットを思い浮かべるが、私の足を触ったのは、ごく普通の猫だった。


ただ、メカメカしい。



足にすりすりしてくるメカ猫は、灰色の体に無機質な目、そして生物独特の温かみはない。



すりすりしてくるメカ猫をどうしていいか分からず、突っ立っていると、



「ふぅ…つい癖で。ありがとうございやした」



「猫がしゃべった!」



「そりゃあ会話が出来ないと困りますんで。あ、すりすりしてる時に身体情報を読み取らせてもらいやした」



…しまった…もう敵陣に居るんだった。



危機感の薄い自分に憤りを感じながら、とりあえず身体強化は発動した。



「あっしの名前はカンシチロウ。この辺りの案内役をしておりやす。して、お嬢さんは何者だい?生身の生物なら1分と経たずしてあの世逝きのはずだがねぇ」



「えっと…」


正直に答えていいものなのか。

少し悩んだ末に、



「窒素でエネルギーが産生されるよう、身体が適応したんです」


苦し紛れの返答だった。



「窒素で、ねぇ。


まぁいいや。お嬢さん、どこかに行きたいのかい?こういっちゃ自慢になるが、この辺りの地理は得意でね、よけりゃ案内してやるよ?」


「本当ですか!?是非お願いします!シュウ国まで!」



「シュウ国ね。あいわかった。じゃあお代のほうは…」



「え、お代取るんですか?」


「ほ?善意でやってるとでも?」



そりゃそうか…どこの世界もサービスに対価を払うのは当たり前だよなぁ。



「お代は体でいいぞ」


「え!?か、体!?」


そんな…私まだ…



恋人はいたことあったけど、デートしたくらいで、別れちゃったし…

それに相手が猫、しかもロボットって、もうそれある意味すごい上級者向けの…



「何考えてんだ。ほら、ここを撫でろ」


メカ猫は器用に前足で顎の下を指した。



「え?ここを?撫でる??」



「なんだい、最近の人間は猫の扱いも知らんのかい。ここをこう…すりすりするんだよ!」


言われた通りメカ猫の顎下をすりすりする。


すりすり…


すりすりすりすり…



「や、なかなか上手いじゃないか」


「ただの猫じゃん!」



メカといえど、習性は猫そのものだった。


ついでに耳の裏も掻くことになった。




「ふぅ…満足したぁ。じゃ、これで対価はオッケーな。シュウ国へいくぞ」



これでいいんだ…


そして変な想像した自分が恥ずかしい。。



「お嬢ちゃん、名前は?俺のことは気軽にカンちゃんとでも呼んでくれやいいよ」


「私は…メイ。よろしくね、か、カンちゃん」


「おう」




こうして変な猫型ロボットに案内役を頼むこととなった。




ーーー


自ら案内役と言うだけあって、カンちゃんの行動は素早かった。



まず、アンテナ(尻尾)で方向の確認。


次に何やらぶつぶつ呟いていたが、距離と時間、天候予想をしていたらしい。


それらが完了すると、カンちゃんはピョンと私のリュックに飛び乗った。



目的の方向へ目から緑色のレーザーを出すと、


「にゃあ」


と一声鳴いた。




すると、緑のレーザーに沿って砂嵐が止み、視界が開けた。



「俺には磁場をちょっと弄れる機能があってな、ここらへんの砂の粒は碍竜石が細かく砕けたもので…」



すごく興味ない話をしてくれた。


どうやら、カンちゃんの機能で砂嵐を止めたらしい。




猫でこれだけの機能なら、人型になったらどんな能力が使えるんだろ…



まぁ考えても分からないので、止んだ砂嵐を悠々と歩くカンちゃんの後ろを追った。

皆様のおかげで、PVが1000超えました!

こんな文章でも読んでくださる方いることに感動しております。

これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

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