出発準備
酸素は人間や地球に住まう生物にとってとても大切な元素である。
地球の大気中には約21%の酸素が含まれていて、私はそれを身体に取り込みエネルギーを生み出すことで活動することが可能だ。
逆に酸素が無ければ…
「どうしたらいいんだよー!」
思わず愚痴る。
「シロマちゃん、酸素が無い星なら、大気中の成分はどんな風になってるの?」
「窒素が8割、二酸化炭素が1割、その他が1割です。ちなみに酸素も0という訳ではありませんが、ほぼ無いものとお考え下さい」
「窒素、二酸化炭素だけかぁ」
そう言って自分が植物になることを思い付く。
が、それはとても大変なことだった。まず身体の細胞を光合成できるようにしなければならない。
そして自分で出した酸素をどう取り込んで、エネルギーとするのか…
私のイメージ力では考えつかなかった。
「シロマちゃーん、なんかいい方法ないなかぁ」
机に頭からを置いてシロマちゃんに問う。
「そうですね。窒素をそのままエネルギーにする方法を考えるか、そもそも酸素を必要としない身体に作り変えるかですね。
思素も少ないので魔法でどうこうは難しいかと」
「思素があるの!?」
思わず頭を上げた。
思素が僅かにでもあるなら、小さいながらも魔法が使えるかも!?
でも、向こうの世界に行ってすぐに試すことはできないから…
やっぱり酸素が無い身体に…
いやー、人間の身体ってすごい精密に創られているから、酸素の濃度間違えただけで死ぬ可能性もあるし、そもそも酸素がないならどこからエネルギーを得るのか。
答えが出ないまま悩むこと1日。
結露は
『酸素ボンベを持っていき、酸素が無くなる前に思素でどうにかする』
という余りにもお粗末な作戦だった。
でも、
これくらいしか思いつかなかったんだよー…
ーーー
酸素ボンベといっても、スキューバダイビングなどで使う大きなものではなく、薬局で売ってる簡易ボンベだ。
これならリュックに入るし、ある程度残量も分かる。
(ついでに安上がりだから)
10本の酸素ボンベを購入してリュックに詰める。隙間に水と携帯食料を入れたら、もう何も入らなかった。
「とりあえずこれでいいか…」
すごーく不安だが、それしかないと意を決した。
「シロマちゃん、今回はスキルの練習する暇がないから、とりあえず転移門まで向かおう」
「かしこまりました」
前回の戦いから、これといってスキルは増えていない。
心配だが仕方ない。不戦敗になるよりマシだ。
リュックに酸素ボンベをしこたま詰めた女は、一路日本一のテーマパークへ向かって走りだした。
(毎回新幹線じゃお金が持たないよ…)
戦いに赴くのにもお金がかかるなんて…
しかもテーマパーク行くのに、なんか損した気分になった。
せめてもの節約にスキルを使って行くことにした。幸い、体力はあるし回復も早い。
ーーー
「やっと着いた…。お金ケチるのやめよかな」
全力で走った結果、丸2日かかってしまった。
いくら体力があるとはいえ、時間の無駄だったと思う。
「メイ様、わざわざ速い乗り物を使わずとも、ゆっくりでも走るより速い乗り物があったのでは?」
シロマちゃんが今更な事を言う。
「先に言ってよ〜。考えてなかったよ」
…
夜行バスとか安い新幹線使えばよかった。
疲れがとれず、なかなか書き進められませんでした。。




