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アナザーレイド  作者: 好日日和
VS 第32世界 アルツア編
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新しいスキル

 うーん…悩むなぁ。



 寝転がったままの私の目にはよく晴れた空の青とフワフワしているシロマちゃんだけが見える。


 アルツアと騎士達はどうしてるかな。

 ま、後でいっか。




 新しいスキルを一つだけ貰えるんだけど、情報がないから決め手に欠ける。



 こんな時は…



「助けて〜シロえもーん!」



「メイ様、私めをお呼びですか?新しい名を授けて頂けるとは…。恐悦至極にございます」



「あ、いや、今のはジャパニーズジョークというか、本気じゃないというのか…」


 やば、適当なあだ名でシロマちゃん呼んだら、勘違いされたようだ。



「このシロえもん、メイ様の要望に出来る限りお応え致します…!」



 尻尾がピコピコ動いてる…嬉しいんだ…



 まぁいっか、悲しませてないから放っておこう。


「あ、でねシロマちゃん。アルツアさんが持ってたスキルについて説明してほしいんだけど。内容が分からないから決めれなくて」



「畏まりました。ただし、メイ様のスキルでないため概略のみの説明となります。よろしいですか?」



「うん、お願い〜」


 早く決めて、帰ってご飯してお風呂入って寝たいな…



「『術式付加』についてです。これは魔法を他の物体に付加させることで威力の向上や魔法の使い方の新たなる方法を模索する手段となり得ます。



 次に『剣技向上』は剣や刀を持った状態であれば、それだけで上級者以上の剣捌き、身のこなし、抜刀術など剣に関連した技を得ることができます。



『物体騎乗』は目視出来る物体に乗り操ることが出来ます。ただし物理法則は無視できませんので、「雲に乗る」「風に乗る」とかはできません。しかしアルツア様は熟練度が低くなかったのか、液体にもスキルを発動出来ていたので、熟練度次第では変わってくるかもしれません。



『思念強化』は魔法を使うにあたり、イメージした内容を具現化する前に威力や大きさなどを自動で強く補正してくれます。魔法のオートサポート機能という面が強いです」




 うーん、更に迷うなぁ。


 どれも使い方次第では強力なスキルになり得る。



 ただ、『魔法』関連はこの第32世界のみの話かもしれない。

 他の世界でも同様の機序で魔法が使えるか分からないし、そもそも魔法がない世界もざらにあるだろう。



 ということで、術式付加と思念強化は無し。



 残りは物体騎乗と剣技向上なんだけど、



 いつも刀とか剣を持ち歩くのはしんどいよね。





 ということで消去法で『物体騎乗』を選択することにした。



「シロマちゃん、新しいスキルは『物体騎乗』でお願いします!」


「畏まりましたメイ様。審判員に伝えてまいります」



 ーーー

 しばらくして、青三角形の審判員がやってきた。


「スキルについては、間も無く付与されます、それと管理権限の移譲も滞りなく終了しました」



 つまりそれって…



 何か空が光った気がして上を見る。


 青空にピカピカ光るいくつもの点。




 そして次の瞬間、


 この星から見えていた2つの太陽は一つになってしまった。



 二つのうちの一つは私やアルツア達が目を細めて空を眺めている時に、誰かの手によって覆い被さられたように、スッと消えてしまったのだった。




 ゴゴゴゴ…


 地面が揺れる。



「地震か!?」

 アルツアが言う。


 いや、そんな揺れじゃなくて、この大地ごと何かに引っ張られている、そんな揺れだ。





『メイ君はそろそろ自分の世界に戻ろうか』



 突然聞こえたメディテイカム様の声。


 第12世界の創造主、メディテイカム様。



 管理権限の移譲により、この第32世界の創造主ともなったのだ。




「メディテイカム様、こちらの世界をどうなさるのですか?」



『それはまだ決めていないけど、とりあえず僕が把握しやすいように少し調()()したんだよ』



「もしかして、空の光や今の地震は…」



『あ、見えていたかな?いくつか星を爆発させて、元素量の調整をしたんだ。地震は魔法の研究をしやすいように、改良させてもらったよ』



 どこか楽しそうな声が聞こえてくる。




「メディテイカム様、この世界の人達をどうするのですか?」



『それもまだ未定だ。だいたいメイ君に教えてあげる義理もない』



「そんな…」




 確かに第32世界はメディテイカム様の管理下になった。



 この世界をどうするかは彼の考え次第だ。



 でも…



「この世界の環境を大きく変えるのはやめてください」


 言わずにはいれなかった。



 第32世界にも人は生きていて、生活している。



 ある日、そんな日常が壊されるなど誰が考えるだろうか。


 しかも人外の者の力によって。



 戦ったとはいえ、この星に多少でも情が移ってしまった私は、もしメディテイカム様が32世界を破壊するつもりなら、心が耐えることができない。



「もしメディテイカム様がこの世界の人達を無くすつもりでしたら、私はもう戦いを降りる選択をするかもしれません」



『創造主に対して脅しかい?随分と大きく出たものだね。まぁ一旦僕の世界に帰っていて』



 そう言うと、私だけが光に包まれた。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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